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女神のサイコロ  作者: チョッキリ
第6章 ソシア討伐
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第10話 合流

― ザカー平原 ソシア巣穴 ルーム1 2日目 午後 ―

       <依頼期限まで残り5日>


「人質がいて、装備持ちだったとはいえ、4人がかりで、3体のソシアにかなり苦戦したわね…本当にヴァルナは大丈夫かしら?やはり誰か残るべきだったんじゃ?」


グラシアナは入り口の方角を心配そうに見る。


「…わからない。けど、これ、1人いなかったら多分、誰か死んでた」


ユージンが静かに事実を述べる。あのソシアたちの装備のクオリティは予想外だ。


オルロの話では、この先の「寝室(ルーム)」にはもっと強力なソシアあるいはハイ・ソシアがいる可能性が高いという。


ヴァルナ(アイツ)のことも気になるし、ここで撤退すべきだろうか…)


「『ヒール』」


ルッカが毛布に包まれた女性を回復魔法で(いや)す。


女性は震えながら「ありがとうございます」と小さく礼を述べる。


オルロはしゃがんで、彼女の目線に合わせ、(つと)めて穏やかに声をかける。


「とりあえず…あー…正しい表現かどうかはわからないが、助かって良かった」


女性は首をふるふる、と振った。


「?」


「いるんです…」


女性は毛布の上から自分の腹部を指さす。


「ここに、あいつらの子どもが…どうしよう…また生まれてくる…」


女性は恐怖でカタカタ、と身体を震わせた。


「…ユージン、ダメだ。この先に今、行くのは難しいと思う。それにヴァルナも心配だ」


オルロはユージンを振り返って意見を述べる。


ユージンも頷いた。


「ちょっと話を聞ける精神状態じゃなさそうだよね。この奥にもまだ捕らわれている人はいるだろうけど、一旦戻ろうか」


「…いや、ダメじゃ。今進む」


「「「「「!?」」」」」


後ろから声がかかり、振り返ると、そこにはほとんど装備として意味をなさないほど壊れかけた防具と、ガタガタになった双剣を持ったヴァルナが立っていた。


今までも凄みはあったが、今は、満身創痍(まんしんそうい)にもかかわらず、今まで以上に強者特有のオーラをまとっていた。


「ヴァルナ!!…今、治療するね」


ルッカが駆け寄り、その場に胡坐(あぐら)をかいて座ったヴァルナに治癒魔法をかける。


「…意見を聞こうか」


ルッカの治療を受けているヴァルナに、静かにユージンが尋ねる。


「7体と戦った。全部倒したが…ありゃ、かなり厄介じゃ。ハイなんちゃらってやつと同じくらい複数のやつらはヤバい」


「あの7体を全部!?アンタ…本当に規格外ね」


3体でも4人がかりでなんとか倒したばかりだというのに、7体倒してきたというヴァルナにグラシアナは驚く。


「おかげでほとんどすっぽんぽんになってしまったがのぅ」


むき出しに近い乳房を揺らして、ヴァルナはカッカッカッ、と豪快に笑う。


それを見ていたユージンとオルロはルッカとグラシアナの視線に気づき、視線を逸らした。




ヴァルナは治療が終わると、手を開閉したり、身体をひねったりして身体が傷まないか確認する。


「おお~~~、凄いのぅ。確かに折れた筈じゃが…」


ヴァルナは身体の試運転を終えるとルッカに「助かったぞ」と礼を言う。


「えへへ~。どういたしまして」


ルッカはそれに対し、照れたように笑った。


「さてと…」


ヴァルナはひとつ伸びをすると、ソシアの死体や転がっている人間から使えそうな装備を物色を始めた。


「鉄の剣は…無さそうじゃの。まあ銅の剣で妥協するか。…お、鎧とブーツは同じものがあるぞ」


「ちょ、ちょっと…」


グラシアナが驚いて遺品に手をつけようとするヴァルナを制止しようとすると、ヴァルナはグラシアナを見て、


「なんじゃ?お主は儂にすっぽんぽんでおれと?まあ戦闘がないならそれでも良いが、ソシアと戦うならそれなりの準備が必要じゃろう?」


とまるで骨の髄まで戦闘民族のような発言をする。戦闘がないなら裸でいても構わないとのたまうヴァルナは壊れた鎧とブーツをさっさと脱ぎ捨てた。


それをぼーっと眺める男性陣をグラシアナが「あっち向いてなさいよ」と叱り飛ばす。


ヴァルナは気にした様子もなく、物色した装備を身に着けていく。


そして最後に、背中の(さや)にまだ若干耐久が残っている鉄の剣2本を収め、両手に銅の剣を握った。


「…さっきの話の続きじゃが、今日を逃せば、あやつらはさらに増え、より強力になるぞ。さっき1体、泳がせたのもおったしの」


ヴァルナは銅の剣をヒュンッ、と振り、感触を確かめながら喋る。ユージンがオルロと視線を合わせると、オルロは肩をすくめる。


「…無駄死にする気はない。勝算は?」


「ある。さっきの戦いで、どうやら儂はレベル2になったようじゃ」


「「「「!?」」」」


ユージンの問いにヴァルナはニヤリ、と笑う。


先ほどの戦いが終わった直後だった。表現しがたい感覚だが、突然、今までの自分とは別の生き物になった確信がある。


それはハイ・ソシアを倒したから、7体のソシアを倒したから、という自信からくるものではない。―――これが、この感覚こそが噂に聞く「レベルアップ」の感覚だ。


「数が減った今なら()、儂がいればなんとかなると思うぞ。明日だとちょっとわからんが…」


(確かにソシアはすぐに数が増えるし、成長していく。この襲撃を受け、明日のソシアは更に強くなるかもしれない)


オルロはリョーから得た知識と照らし合わせて、頭をポリポリと掻く。


「…しょうがない、行くしかなさそうだ」


「やっちゃおう。ヴァルナ」


ルッカが両手で拳をぐっと作り、大きく頷く。それを見て「ああ」と笑って、ヴァルナは頷き返した。


「グラシアナは?」


ユージンがグラシアナを見上げると、


「ルッカがそういうならアタシも付き合うわ。本当は撤退した方がいいでしょうけど、ヴァルナは止まらなさそうだしね」


と彼女もため息をついて応える。


「…わかった。保護した女性は置いていくわけにもいかないから連れていく。それでもいいね?」


ユージンも皆の意志を確認し、しぶしぶ頷いた。


「当たり前じゃ。放って置くわけなかろう。儂は王になる女じゃぞ?」


ヴァルナはニヤリと笑う。


「はいはい」


ユージンはそれを適当にあしらう。





パーティの方針は決まった。




 —————————— ステータス更新 ——————————



【ヴァルナ(第6章第9話終了時)】


 性別:女

 年齢:28歳

 職業:戦士

 種族:ドワーフ(ヒューマンとドワーフのハーフ)

 加護:火神の加護

 故郷:ミンドル王国

 使用言語:共通語、ドワーフ語


 レベル:2

 ギルド等級:Eランク

 所持金:250G


 戦闘ステータス(装備による修正あり):

 HP:39→45、MP:14→44

 攻撃力:27→43、防御力:25→30、魔法攻撃力:-3→-1、魔法防御力:4→6

 素早さ:6→15、命中:12→24、回避:6→15、クリティカル:1→13、防護点:1


 固有スキル:潜伏、危険察知

 戦闘スキル:二刀流(Master)


 装備:皮の鎧(耐久度16/20)、銅の片手剣(耐久度16/20)、銅の片手剣(耐久度17/20)、銅のブーツ(耐久度18/20)

 持ち物:冒険者セット、薬草5個、携帯食5個、たいまつ2個、鉄の片手剣(耐久度6/20)、鉄の片手剣(耐久度7/20)



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― 新着の感想 ―
[良い点] 単独で戦ったぶん、経験値がいいですが、死にかけましたからね……。かなりヤバい橋を渡ったなぁと思いました! ヒヤヒヤ!
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