No.47 新しい仲間
今回は短めと言っても3000文字ですからね。いつもが長すぎなんですよ。
シャンランが登場するので中国語が文中に入るので説明だけ。
爸爸 (バーバ)→おばちゃんではなく、お父さん、ニュアンスとしてはパパが1番近いですね。
很好吃 (フェンハオチー)→ 美味しかったという意味です。北京で何か食べたみたいですね。
実際にあるものを文中で記載しています。
最後の方ですが、カンナちゃんが登場しないので三人称視点になっています。
「・・・」と入ったところからですね。
3回戦が終わって数日後の事、今日も次の4回戦に向けてラトゥーシュカさんとともに対策を考えている時だった。
「アイヤー、本当にやってるヨ。楽しそうネ、私も混ぜて欲しいヨ」
とその言葉通り花が綻ぶような満面の笑みを向けて1人の女子生徒がこちらに近づいてきた。
ブラウンの髪を2つのお団子ヘヤーにし、金色の瞳をしている。
私も知っているライトイエローの中華服と黒のロングパンツを着ており黒い上着?を腰に巻いている。
足元は黒のカンフーシューズと、まるで太極拳やチュウゴク拳法でもやりそうな格好をしている。
そして、彼女の足元には白い毛並みに黒い顔をした守護霊のお猿さんがいた。
「シャンランか。今、カンナの次の試合に向けて対策を考えている所だ。対戦相手ならまた今度にしろ」
「ふふん、我だってそこまで戦闘狂じゃないヨ。今日はそこにいるカンナに戦い方をレクチャーしにきたネ。我に感謝するヨ」
「えっ、私の手伝いをしてくれるんですか!?是非お願いします、シャンランさん」
そのあと、広い場所に移動しシャンランさんにレクチャーを受ける。
その様子をラトゥーシュカさんは見守っていた。
「この時の為にモーニングスターを持ってきておいて良かったネ。いい?カンナ。アカリはこの武器を2つに分けてそれぞれ使い分けているネ。1つ目は本体が繋がったままのメイス(混)、もう一つは本体と棒の部分が鎖で繋がったフレイル(連接混)ネ。アカリはこの2つを使い分けて、これまで試合を勝ち上がってきたヨ。だから試合中の距離感がわかり辛いんだヨ。達人がやると尚更ネ」
とシャンランさんは今持っているモーニングスターをメイスの状態からトゲのある鉄球部分を外し、そこから鉄球と繋がった鎖がジャラジャラ出てくる。
鎖の長さは1m30cmぐらいだろうか?
「成る程、だからヒデキチさんも対策がし辛いって言ってたんですね。なら、どうやってモーニングスターを攻略すればいいですか?」
その会話にラトゥーシュカさんも入ってくる。
「こういうのはどうだ?八咫烏かカンナお前達どちらかを囮にして、片方が点を稼ぐ。常にどちらかがアカリをマークするんだ。それならアカリに動かれずに済むし、勝機もいくらかあるだろ」
「じゃあ、4回戦は剣で戦うより私と八咫烏さん別々に戦う方がいいんですかね?私は合気道もありますし、接近戦なら対応できますけど」
「なら私の八卦掌でも良いねネ。カンナ、体術の練習をするヨ。爸爸は槍依存症で「体術なんて糞食らえだ」って言ってたけど、武器に頼るだけじゃ強くなれないヨ。心身共に強くなってこそ真の勝者になれるんだヨ。行くよカンナ!」
「はい、シャンランさんお願いします!!」
そのあとシャンランさんと体術の練習をするが、いかんせん合気道と八卦掌では動きも違うし、シャンランさんの動きが早すぎる。
腕を掴まれ、足で脇下近くに蹴りを入れられる。
その怖さと痛さで思わず縮こまってしまった。
「おいシャンラン、力加減を考えろ。お前が全力でやったらカンナ死ぬぞ」
「急所はちゃんと外してるヨ。私達だってそこまで鬼畜じゃないネ」
「嘘ですよねシャンランさん、凄い痛いんですけど!!」
しばらく動けそうにないので、休憩がてらシャンランさんとお話しする事にした。
今まで名前だけ知っていて、本人については知らない事ばかりだったので話を聞いてみたいと思ったのだ。
「あの、さっきの八卦掌っていう武術は結構実戦向きですよね?合気道とはまた違うというか、シャンランさんはどなたに習ったんですか?お師匠さんがいるって前ライアンさんから聞いたんですけど?」
「グイフェイの事ネ。休学中は彼女の家に居候させてもらったヨ。実家より広いし快適だったネ。まぁ、すぐ家族にバレたけどネ。私は爸爸に急に家に戻ってきたら心配かけると思って戻れなかったヨ。外では怖がられてるけど、家族には甘々だからネ。特に子供好きだから我にはミルクプリン並みに甘々ヨ。はぁ、またペキンに行って食べたいよ很好吃ネ」
と何かを思い出したのかヨダレを垂らしながら楽しそうに言っている。
修行ではなくて旅行にでも行ってたんじゃないかというぐらいだ。
「グイフェイは元々うちの門下生で、昔から爸爸に八卦掌を習ってたんだヨ。だから小さい頃から知り合いだったネ。いつもペキン市から隣市の私の実家があるテンシン市まで通ってたネ。我が勝手に師匠って呼んでるだけで実際は兄弟弟子ヨ」
「へぇ、じゃあ入学や卒業のタイミングは違いますけど同じ出身で元々交流があったんですね。グイフェイさんの守護霊って何ですか?」
「動物の姿は孔雀、武器になると鉄扇ネ。だからグイフェイは防御も攻撃も出来るバランス系だけど、同級生が凄い人達ばかりで寮長に選ばれたのは良いものの大会に出る自信も気力もなかったんだヨ。実際、1〜4大会は1期生の取り合いで、下級生もそうだけどそのレベルについていけなかった同級生のモチベーションが下がったぐらいだヨ。だからグイフェイも入学したのは良いものの自信喪失して自分の武器を好きになれなかったネ。そのあと、自分を強く出来る生かせる武器は何だろうってずっと色んな武器を扱ってタ。我も対戦相手の武器や戦い方を知る為に習っているヨ」
「成る程、確かに1期生の皆さんは凄かったみたいですからね。当時在校生だったグイフェイさんやヨハンナさんのお兄さん達も苦労したのかもしれません。そういえば、シャンランさんの武器ってなんですか?見せてもらっても良いですか?」
「勿論ヨ。これだけは爸爸にいつも教えてもらってたネ。槍の扱いが得意だからその動きを参考にさせてもらってるヨ。孫悟空顕現するよろシ」
そのあと、自由気ままに木に登っていた孫悟空さんがシャンランさんの手元にやってくる。
何やら赤く、棒の端と端には金の箍がついている。
猿という守護霊にその武器の姿、私も知っているあの武器かもしれない。
「あの、もしかしてそれって如意棒ですか?」
「正解、勿論これは本物ヨ。本当なら8t、長さ5m30cmだけど我でもそれを扱うのは無理な話だから、8kg、長さは半分の2m15cmに調節してもらってるネ。勿論、長さはかえれられるヨ。マッチ棒ぐらいの長さに出来るし、天界から地獄が届く長さにだって変えられるネ」
「こんなの物語の中だけだと思ってました。実際にシャンランさんが如意棒を使って戦っている所が見たいです」
「それは今後のお楽しみヨ。さぁ、そこまで喋れるならもう元気になったネ。体術の練習をするヨ。他にも色々と対策を考えないといけないネ。アカリは努力家だし、4年生という事もあって経験も豊富にアル。試合まで時間がないネ。全て出来る事はきちんとやるヨ!!」
「はい、よろしくお願いします。シャンランさん!!」
そして私とシャンランさんは特訓の続きを始める事にした。
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シャトランス・地下
「何を見ておられるのですか、Dr.ケンシロウ3回戦の試合ですか?今年は誰が守護者になるのでしょうか。いずれにしても、私達は次の守護者が決まれば“お迎え”に上がりますから両者対面出来るでしょう」
その言葉にケンシロウは椅子と身体を回し、彼に話かける。
「誰かと思えばヤンか。子守はどうした、私はこの為にお前達を目覚めさせたはずだか?それにもう完成したのだから守護者は必要ない。それより、私には彼女が必要だ。彼女をここに連れてきて欲しい」
「ジャンヌが側におりますから安心して下さい。そこに映っている女子生徒の事ですか?貴方の娘でしょ。貴方がここに呼んで差し上げれば良いのでは?それに私が許しても他の8人が許しませんよ。特にマルソは仲間を売った私を許しませんから。予定通り行ってもらわないと困ります。身内で揉め事を起こすのはもうこりごりですからね」
「…もう娘とは何年も会っていない。今更何を話しても私の話に耳を傾けてはくれないだろう。守護者の事は私が責任を持とう。好きにしなさい、予定通り行えばいい。だが、もう時間がない。材料は新鮮な内に行わなければならない。どうしてもカンナが必要だ。あの子を見ればわかるだろう。動いてはいるものの完全体ではない。準備出来次第、娘を連れてきて欲しい」
「畏まりました。にしても親子というのは関係を保つのに苦労するものです。よろしければマニュアル本を貸して差し上げましょうか?私には効果ありませんでしたが、人によるかと」
「そんなものに頼るから関係が崩れるのだぞヤン。…私も言えた義理ではないが、マニュアル人間というのも困りものだな。気持ちだけ受け取っておこう」
そのあと、ヤンはケンシロウの元を離れた。
「私はあの子を作る為に何人もの犠牲を払ったんだ。私はその犠牲を無駄にしてはならない。どんな方法を使ってもだ」
こうして夜は更けていった。
No.47を読んでいただきありがとうございました。
シャンランの守護霊である猿のモデルはハヌマンラングールという種類の猿です。
孫悟空には様々なモデル説があり作者も悩みましたがインドの神であるハヌマーンがモデルではないかという説があったので関係して似た容姿を持つ猿を選びました。
シャンランの瞳が金色なのは同じように孫悟空が金色の瞳を持っていると言われているからですね。
白い毛並みも持っているそうなので主と守護霊で合わさるようにしました。
シャンランの父親ですが八卦掌や槍の達人である李書文をモデルにしています。
実在の人物ですが、かなりバイオレンスで試合中や稽古中に相手に怪我や死傷者が出たぐらいでした。
周りから恐れられていましたが、身内には優しく家族も「怖いと思った事がない」と言った程でした。
子供好きで養子や弟子をとって稽古をしたり、高齢になると子供達から「お爺ちゃん、お爺ちゃん」と言われ親しまれていたそうです。
師匠の玉環ですが、楊貴妃の本名をそのまま使っています。
苗字は王にしようかなと思っています。
何故かというと、シャンランの守護霊の孫悟空に関係があります。
実はグイフェイは西遊記に登場する牛魔王の妻である鉄扇公主、日本だと羅刹女と呼ばれるキャラクターをイメージして作りました。
牛魔王繋がりという事で王にしました。
グノムアランド寮父に中国出身の嬴政がいますがこれも始皇帝の本名です。
もろ、孫悟空とか如意棒とか出してますけど昔話なので許してください。
ローファンタジーですからハイファンタジー以上に作者の作品では何でも起こります。
ケンシロウとヤンは娘より長い付き合いになるので案外仲がいいです。
「仲間を売った」とヤンが言っていましたが守護者達を捕らえる為、抵抗しないように逃げ出す事がないように作者が考えた案に基づいた発言です。
なので守護者同士は友情が崩壊していたり疑心暗鬼になったりトラウマを抱える子もいます。
それについては第2部で守護者達が話してくれると思いますのでお楽しみ。
次は「チャンピオンリーグ・4回戦」をお送りします。
9/1の16時投稿予定です。




