No.26 初詣
厳島神社の描写をする為だけにHPや動画を見て、フェリーの時刻表まで調べてますからね。
気分はもう旅行気分です。
「セツナ、そっちは準備出来た?」
「これで、よし。苦しゅうない?」
と私とタマミちゃんはスズカさんとセツナさんに着物の着付けをしてもらった。
「着付けをして頂いてありがとうございました。それじゃあ、シュン君と一緒に行ってきます」
「お着物も綺麗だねー。早く神社に行きたいなー。着付けありがとうございましたー。行ってきますー」
と2人に手を振って玄関の方へ行く。
「おせち料理用意しとくけぇのぉ、楽しんで行ってきんさい」
「はい」 「おせち楽しみー」
完全にこの家の子供になってしまったようで、スズカさんの手料理が美味しいのか食事が毎日楽しみだった。
次の日の朝に帰るので、この日が最後の昼食になる。
そのあと、シュン君とも合流してヒロシマ駅の方へと向かう。
駅に向かう途中、路面電車が走っているのを見かけた。
「ヒロシマって路面電車走ってるよね?トウキョウも走っているところもあるけど、全国でも数カ所しかないよね?」
「確かにそうだな。路面電車もそうだし、地元の球団は戦後の復興の象徴なんだ。だから俺もそうだし、皆んなも大切に思ってる。二度と同じ過ちを繰り返さないように残したいんだ。この平和と希望を俺達はずっと保ち続けたい。その努力をしていきたいんだ」
「…うん、そうだね」
私もこの平和が永久に続く事を願ってやまない。
それを教えてくれた先人達の為にも。
「そういえば、路面電車もミヤジマに行けるのー?」
「あぁ、少し時間はかかるがいけるな。でも、電車の方がいいだろう。2人ともいこうか」
そうして、ヒロシマ駅からミヤジマグチ駅へと到着し、そのあとフェリーに乗る。
「わー、船に乗るの楽しみだなー。ワクワクするー」
3人で乗り込み、フェリーが出港すると船着場からどんどん遠ざかって行く。
その途中で入れ替わるように他のフェリーの姿も見る事が出来た。
「あっ、大鳥居が見えてきたよ!もうすぐだね」
そのあと、船着場にフェリーが到着し、順路に従い神社を目指す。
その途中で鹿さんの姿も見る事が出来た。
「鹿を見ると、小梅さんを思い出すね」
「ナラも有名だが、ミヤジマも鹿が有名だからな。沢山いる。でも白い鹿は小梅さんぐらいなものだろうな」
今日は元旦だし、きっとあちらも大忙しだろう。
そのあとも3人で歩くと美しい神社が見えてくる。
「なんだろう凄い神聖と言うか、別世界に来たみたい」
燃えるように真っ赤な回廊とそれに対比するように海が広がっている。
「わー、凄い綺麗だねー。歩いてみようよー」
その時だった、神社が綺麗だったので周りを見ているとある事に気づく。
「ねぇ、あれってカラスかな?」
神社の入り口の石灯籠にブロンズ製のカラスが止まっている。
「本当だ、何度も来た事があるのに気がつかなかったな」
「もしかして、八咫烏さんの仲間だったりして」
『そういえば、俺様の縄張りにも何羽かいたな。しかも、夫婦の奴らばっかりだったような気がするぜ』
そんな話をしながら回廊を通り、中央にある参殿へと赴く。
「イツクシマ神社の神様って女性なんだね。しかも3人いるし」
そう、奥の方にだが3人の女性の神様がこちらに手を振っている。
タマミちゃんも彼女達に手を振っていた。
「3姉妹だからな。神社と同じく華やかでいいと思う」
多分、私達にしか3人の姿は見えていないから、余計な事をするのはやめておこう。
願い事をし、参拝を終えた。
「2人とも何のお願いをしたのー?って、願い事は言っちゃダメだよねー」
「私は毎年同じ願い事をしてるんだ」
(…お父さんに会えますようにって。叶った事は1度もないけど)
「じゃあ、私と大体一緒だねー。シュン君は?」
「内緒だ。そうだ、帰りのしゃもじを買って帰らないと」
「しゃもじ?何に使うの?」
「リーグ戦で優勝…」
と途中まで言った後、シュン君は口を塞いだ。
「大丈夫か?」
とシュン君は3姉妹に声をかけると手を水平に広げ、野球で使うセーフの動作をしてくれた。
「よかったね、シュン君」
「助かったな。しゃもじは必勝祈願のお守りなんだ。寮に持って行こうと思ってな。帰りに買って帰ろう」
そのあと、イツクシマ神社を周るが、3姉妹が私達を気に入ってくれたのかついてきてくれる。
「シュン君、いいのかなー?女神様達ついて来ちゃってるよー」
「元々、見える人なんてそうそういないからな。3姉妹も新鮮なんだろう。そのままにしてあげてくれ」
「と言うか、シュン君も扱いに慣れてるよね。毎回こんな感じなの?」
「幼い頃から来てるからな。もう家族みたいなものだろう」
そのあと、シュン君が立ち止まる。
それに合わせて私達も立ち止まるが、何かあったのだろうか?
目の前には1組の男女がいる。
「シュン君どうしたの?」
「3姉妹がカップルを見ると怒るからな。少し離れるぞ」
(え、えっ!?)
3姉妹は機嫌を悪くしたのか親指を3人とも下に下げている。
「あれだよねー。カップルで行くと別れるってやつー。エノシマにも同じ話あるよー」
「ちょっと、タマミちゃん。…あっ、そういえば公園のスワンボートに乗ると別れるって話もトウキョウにあった気がする」
「でも、伯父さんはそんな話デタラメだって言ってたんだ。何でも、昔ミヤジマに遊ぶ所があったみたいでな。男性達は独り占めしようとして女性を遠ざけていたらしい。本当なのか?3姉妹」
そのシュン君の質問に3姉妹は「ニコッ」と笑って応えてくれた。
そのあと、お守りやしゃもじなどのお土産を買って、ミヤジマを後にした。
そして次の日の朝、車で駅まで送ってもらった。
「じゃあ、2人とも気をつけて。2学期にまた会おう」
「本当にお世話になりました。凄く楽しかったです。シュン君、またね」
「凄い居心地良かったねー。また、2学期に会おうねーシュン君」
今日はお爺さんが運転をしてくれたので、笑顔で見送ってくれた。
「またいつでも来んさい。いつでも歓迎するけぇ」
「はい、ありがとうございました。お世話になりました」
そのあと、タマミちゃんと2人で新幹線に乗り帰路につく。
「本当に楽しかったねー。カンナちゃん」
「うん、最初はどうなるかと思ったけど。皆さんいい人達ばかりだったし、居心地良かったよね」
そのあと、何箇所もの駅を通過し次はシンヨコハマに停車するアナウンスがなる。
「あっ、私もうそろそろ降りるねー。じゃあね、カンナちゃん。また2学期に会おうねー」
「うんバイバイ、タマミちゃん。気をつけてね」
そのあと、トウキョウ駅まで着き電車を乗り換えながら実家へと足を運ぶ。
実家と言っても祖父母の家だ。
元々、両親と住んでいたマンションは何年も前に引き払ってしまった。
住宅街を進むと、1つの一軒家へと辿り着く。
そこには、母の旧姓である「犬養」の表札がある。
『おい、ここがお前の家か?』
「うん、今開けるね」
ポケットから鍵と取り出し、家の中へと足を進めた。
No.26を読んでいただきありがとうございました。
厳島神社のカラスについてですが神鴉と言います。
厳島神社を建てる際、カラス達が佐伯鞍職を宮島まで案内しそこに神社を建設したというお話があります。
このカラス達は親子で存在し、親は子供が成長すると熊野へと向かい、子供達は弥山の方へ飛んで行きます。八咫烏さんが夫婦ばかりと言っていましたがこれは親鳥が熊野に来ているからですね。
子供達は宮島に留まり大人になるとまた熊野に飛んでいくのかもしれません。
この神社で祀られているのは宗像三女神です。
凄いギャグ要員として登場していますが、アマテラスオオミカミがスサノオの剣を噛み砕いて霧として吐き出した事で生まれた「道」の最高神でもあり航海の安全や交通安全の神様でもある気高い存在です。
三女神ではなく3姉妹と表記していますがバチが当たるのでやめましょう。真似しないで下さいね。
あとシュンが伯父さんに教えてもらった事についてですが、カップルで行くと別れるには裏話があるそうです。
江戸時代、広島の城下には遊郭があったのですが幕府の命令により場所を移さないといけなくなったそうです。
そこで選んだのが神聖な場所でもあった宮島でした。宮島に遊郭を移しちゃダメでしょ。
当時の男性達は宮島に行き遊郭を訪れていました。ですがそれをよく思わない奥様方は一緒に宮島に行こうと言います。ですが男性達はそれを誤魔化す為、一緒に行くと別れるからといい何とか遊郭から遠ざけようと説得を試みていました。
それが今でも続いていると言う事ですね。
三女神は縁結びもしていますので嫉妬する事はありません、厳島神社は結婚式場としても人気が高いです。
空気を読んで付き合って下さっただけです。
次はNo.27「私の実家」をお送りします。




