No.20 ハロウィンと七不思議
なげーよ!!1万文字ですよ今回、このせいで投稿時間が遅れてしまい申し訳ありません。
ハロウィンは国によって見方が違うので、他の宗教では11月1日宗教関連の祝日となっている国もあるのでお祈りをする人もいます。
今日は10月31日、食堂では全体夕食が行われている。
約束通りタマミちゃんと一緒のテーブルに座り、夕食を取る。
今日の夕食はハロウィンをイメージしたカボチャや蜘蛛の巣、魔女の帽子などの飾りが施された素敵なディナーだった。
夕食も食べ終わると、ラトゥーシュカさんがメガホンを取り、全体に声をかけている。
「「この後のパーティーに参加する生徒はバケットを持って、校舎の外へ集合するように」」
「バケットって、後でもらえるのかな?」
「今、寮母さんと寮父さんが持ってきてくれるから、誰かに貰えばいいと思うよー」
そのあと、タマミちゃんと別れバケットを出口で貰い外へと向かった。
「カンナ、こっちだと思うよ?」
とクレアさんの声がする。
よく見ると、何か持っており「カーン、カーン、カーン」と音を鳴らしている。
その持っているランタンから火の玉が出てきて周りを照らしてくれる。
「本当にクレア君の武器は便利だよね。雰囲気も最高だし」
「何でバケットはカブじゃなくてカボチャなんだ…、まぁいつもの事だけどな」
と裏生徒会の皆さんも集まっている。
「ルイスさんの所はカブなんですか?」
「俺の住んでるロンドンは違うけど、スコットランドだとカブを使ってる所があるからな。元々、隣国のアイルランド発祥だから本場はカブを使うんだよ」
そのあと、ラトゥーシュカさんが声を発する。
ラトゥーシュカさんは寮決めと時は遠くからだったので分からなかったが、近くで見ると、銀髪と私と同じ黄緑の瞳をしている。
「とりあえず、全員集まったな。正直言ってハロウィンは余り乗り気じゃない。教会で祈りを捧げるのが大事だからな。というか、ヴァニラは参加者側なんだな。神に祈りを捧げる方が、有益だと思うぞ」
「神への祈りなら、明日でも大丈夫ですから。それにカボチャのスウィーツにマヨネーズをかけたら美味しそうだと思いませんか?」
「…成る程、確かにそうだな。あとで試しておく」
(そうだった、ラトゥーシュカさんもマヨラーだった!!)
「とりあえず、今日の10時までに各寮へ行ったり守護精霊を見つけてお菓子を集めてくれ。バケットに入る分だけだぞ。ワット、去年網を使ってただろ。同じ事したら弾道ナイフで切り裂くからな覚悟しとけよ」
とまるで、雷でも落ちそうなぐらい怒っている。
「大丈夫だよ、ラトゥーシュカ君。“網は”使わないよ」
「あの、弾道ナイフってなんですか?」
「ロシアの暗器で短剣なんだけど、刀身をそのまま飛ばす事が出来て木に食い込むぐらい凄い威力だったと思うよ?」
(お、恐ろしい!!)
このスクールは全員武器を持っているのと同じだから、喧嘩になれば戦争沙汰だ。
その後、周囲を見渡すとラントユンカー君の姿を見つけた。
近づいて声をかけてみる。
「ラントユンカー君も参加してたんだね。ドイツではハロウィンは有名なの?」
「いや、どちらかと言うとクリスマスの方が有名だな。冬休みは地元のミュンヘンでクリスマスマーケットがあるから直ぐに帰国しようと思ってる。学校行事に参加しないのもつまらないだろう?それにこう言うのは特性の方が有利だからな」
「有利?どう言う事?」
「オクトール諸島を回るんだぞ?バスなんかより、車の方が待たずに移動出来るだろ」
(な、成る程。戦いは既に始まってたんだね)
そのあと、ラトゥーシュカさんの号令が聞こえる。
「それでは、初め!!」
「アンペルマン、顕現を」 「ヴィーン、顕現して」
とそれぞれ車とスケートボードに変え行ってしまった。
「もう、これだから特性は!!カンナ君僕達も行くよ!!」
「は、はい」
そしてバス停の所まで行きお菓子を集める為、移動する事にした。
「でも、最初はどこから行くんですか?」
「寮父さんと寮母さんは確実に寮にいるんだけど、守護精霊は移動してるんだよね。今年はシュン君にシルフの見張りをしてもらってるから大助かりだよ。食堂で見張りをしてくれてるから周った後、ここに戻ってこればいいよ。1番目はグノムアランドに行くよ!ここは1番確実だからね」
と4人でバスに乗り込みグノムアランド寮へ向かう。
バスの中でクレアさんが話を始めた。
「ねぇ、カンナはシャトランスの七不思議って知ってる?」
「確かアカリさんから聞いた事があります。10個目の島があるって」
「それは5番目のやつだな。正体はクラーケンだったって言う話だろ」
「他にはどんなのがあるですか?」
「こっから見えるのだと海岸に停泊してる幽霊船とかじゃない?僕は見た事ないけど、目撃者がいるらしいよ」
とワットさんが窓の方を指差している。
「幽霊船って、どう言う事ですか!?」
「6番目の海賊船が見えるってやつだと思うの?今日はどうなんだろ?見えるのかな?」
その言葉に全員で窓を見渡してみる。しかし、左側の窓には見えなかった。
八咫烏さんは右に移動し、探しているようだった。
『おい、あれじゃねぇか?こっちから見えるぜ』
「えっ、本当!?凄い大発見だよ、写真撮ろ!!そもそも、写るのかわからないけど!!」
とワットさんは興奮している。
バスが動いている状態では危険なので、バスから降りた後、船の方へ移動してみる。
その船はボロボロの状態で帆や木材が廃れてしまっている。
しかし、船のしたの部分は穴が空いている訳でもないので浮きはしているようだ。
絵画や映画に出てくるような中世の海賊船がイメージとしては1番近いだろうか?
ワットさんは「パシャ、パシャ」連写しながら写真をとってる。
「ワットさん、それってちゃんと写っているんですか?」
「うん、見て。バッチリ撮れてるよ」
と写真を見せてくれる。
「これ、どっから流れてきやがったんだ?普段こんなの見かけねぇぞ」
確かに、私も一度も見た事がなかった。
これだけ大きければ隠す場所もないだろうに。
「ワット、お菓子を貰いに行くんじゃなかったの?急いだ方がいいと思うよ?」
「あっ、ヤバい時間なくなっちゃう。皆、急ごう!!」
とグノムアランド寮へ向かう。
一度行った事のある玄関の方に行くと、1人の若い男性が立っていた。
私と同じような、アジア人の容姿をしており、中華料理を作りそうな帽子と服装をしている。
「皆マッテタヨ。我のお菓子モッテケ泥棒」
とお菓子を渡している。
「エイセイ、私達にもお菓子をもらえないかな?沢山あった方がいいと思うよ?」
「アイヤー、今年もきたネ。悪ガキ共。去年は連帯責任で怒られたから、我は味方してやれないヨ。バレないようにスルンダヨ」
「うふふ、大丈夫だよエイセイ。今年はね、頼れる仲間が増えたんだよ。カンナ君、鏡を出してくれる?」
「えっ、鏡ですか?」
そうワットさんに言われた通り、鏡を出す。
「エイセイ、そのカボチャのお饅頭1つ頂戴」
と言ってエイセイさんからもらっている。
「カンナ君の「最初の試練」の映像を見た時、いい事思いついちゃったんだよね。カンナ君、吸収中にしてくれない?」
(な、何をしようとしているんだ…)
ワットさんがお菓子を鏡の側に置くと、お菓子が中に入ってしまった。
「ねぇ、カンナ君。これってさ、何個でも入れられるよね?で、持ち帰る時反射にすれば全部取り出せる訳でしょ?鏡の中にお菓子を隠しておけば、網を使うよりも軽量で運べる。僕って天才じゃない!!」
(ワットさん、どれだけ食いしん坊なんだろう。食べ物に対する探究心が凄い)
「シュン君も待たせているから、そのお礼にお菓子を持ってかないと。ほらカンナ君、シュン君の分も鏡に入れて置いて」
と大量にお饅頭を入れられてしまった。
「いいのか?グノームも持ってんだぞ。バランス考えろよ」
「全部食べるから大丈夫!!じゃあ、裏の鉱山に行ってみようか。グノームもお爺ちゃんだからそんな遠くまで行かないでしょ」
そのあと、4人で鉱山に向かった。
そちらに行くと、グノームさんが小梅さんの上に乗りヒデキチさんもお菓子の入ったバケットを持っている。
その側では袋を持ち、大量にお菓子を詰めている女子生徒もいた。
「やった、これなら誰にもバレないの!!やっぱり、ブラックジャックは最強なの!!」
(共犯者がいた!!まさか同じ事をやってる人がいるなんて思わなかった)
その女子生徒は私達に気づくと、その袋を隠し始め口笛を吹いてそっぽ向いている。
「ルーシー殿、夜に口笛を吹くと蛇が出る。やめた方がいいのではないか?」
「ルーシーさん?」
ルーシーさんは小柄で、ブラウンの毛先が内側に向いている癖のある髪をポニーテールにしている。
頬にはそばかすがあり、瞳は髪を同じ色だ。
ジャンバースカートの上にケープを着ており、グノムアランド寮のリボンをつけている。
「ふん用が終わったから、さっさととんずらするの!!シャーリー・ルーシーその名をグレープちゃんと一緒にリーグ戦で轟かせてやるの!!覚悟しておくの!!」
(あっ、ちゃんと自己紹介はしてくれるんだ)
しかし、守護霊は見えないのでブラックジャック?と言う武器になっているのかもしれない。
「カンナ君、同業者が来ない内に沢山入れておこう」
と言われ、また大量にお饅頭を入れられてしまった。
これ全部食べられるのだろうか?
いや、ワットさんなら食べられるかもしれない。
「これでグノムアランドは完了だな。次はどうする?」
「そしたら斜めに移動するのが効率が良いと思うよ?ニンフスピアリに行ってみたら?」
「それじゃあ、次はニンフスピアリにLet’s go!!」
そしてニンフスピアリ寮へバスに乗り移動している時だった。
「あれ、サラマンダー様じゃないですか!?」
そう、上空にサラマンダー様が飛んでいるのだ。
よくみると、実物顕現した状態で上に人を乗せている。
「あれは丁度、ニンフスピアリに向かってるね。あはは、火の寮の守護精霊が水の寮にいるなんて面白いよね。でも、素直の自分の寮にいる訳がないもんね」
ニンフスピアリ寮に着くと、その近くでサラマンダー様も地面に降りる。
よくみると、その背中にはヨハンナさんとアーリフ君がいた。
「カンナ、君もこっちに来てたんだ。こんな夜はミイラも動きそうだよね。お菓子がいい?それとも、いたずらする方がカンナは好きかな?」
「折角だから、キマイラちゃんもついてこればよかったのにね。お兄ちゃんはスウィーツが好きだけど、キマイラちゃんはお肉の方がよかったみたい。スフィンクスちゃんと一緒にお留守番してるよ」
「お2人ともサラマンダー様に乗せてもらってたんですね。いいな私も乗せてもらいたいです。サラマンダー様ならバスよりも早く移動出来そうですね」
「アポリナルさんも乗りたいって言ってたけど、サラマンダー様は2人までしか重くて乗せられないって言ってたよ。またいい機会があったら、カンナちゃんも乗せてもらったらどうかな?あっ、ガンテツさんが焼いてくれたパンプキンパイをどうぞ」
とヨハンナさんに言われ、皆に渡してもらった。
「やったこれで2種類目、順調だね。寮に行ったら3種類目だよカンナ君。早くメメの所に行こうよ」
「メメは今年はプリンを作るって言ってたな。自分の寮に戻る事になるが行くか」
「メメって、お婆ちゃんの事ですか?」
フランス語でメメは祖母の愛称だ。
「メメはフランス人だからそう言われてたと思うよ?本名はブラダマンデだったかな?」
その後、ニンフスピアリ寮へ行く。
ニンフスピアリ寮は湖の近くにあり、地下に寮がある。
白を基調とした、公園の休憩所としても使われている大きなガゼボの下に階段があり、そこを降りると壁にはガラスのような物が貼られており、湖の中が見えるようになっている。
「メメ、いるか?」
とルイスさんが呼びかけると1人のお婆ちゃんが出てきてくれた。
「ハイハイ、ここにいますよ」
メメさんは白髪で綺麗な青い瞳に花柄のエプロンをしている。
その手にはラッピングされたプリンがトレーに並んでいた。
「僕、メメの作るお菓子大好き。…マムの料理はこっちに来てから余り食べられなくなっちゃったよ。マルコも美味しい料理を作ってくれるしね」
「あらあら、そんな事言っちゃいけませんよ。マモンの料理が恋しくなる時が来るんだから」
そう言いながらプリンを渡してくれた。
「そういえば、まだ見た事ないんですけどウンディーネ様でしたっけ?どこにいらっしゃるんですか?」
「そういえば、タマミがウンディーネに付いて行くと言ってましたよ。兄妹揃って好かれているみたいね」
「ウンディーネはいつも水辺にいるけど範囲が広すぎると思うの?気長に探した方がいいんじゃないかな?」
水辺というと、訓練所の砂浜が1番印象に残っている。
まだ行ってない所なので、皆さんに提案してみた。
「訓練所ってまだ行ってないですよね?砂浜もありますし、そちらに行ってるのかもしれませんね」
「確かにそれはあるよね。でも、その前にシルヴェスタアースの方に行っておきたいな。そっちの方が確実だし。マルコがカップケーキを作ってくれるって言ってたから」
「じゃあ、次はそっちの方に行ってみるか」
バスに乗っている間、七不思議の続きを教えてもらった。
「5と6はわかりましたけど、他は何があるんですか?」
「凄い下らない事だったと思うよ。校舎の階段の数を数えたら死ぬとかそんなんばっか」
「あれ全部登ったら本当に死ぬやつが出てくるから案外間違ってはないよな」
「確かに、あれって全部登ったら何段になるんでしょうね。半日はかかりますよね」
「あっ、でも目撃者がいたやつがあったと思うよ?最後の7番目のやつだったかな?」
「あーあれ、校舎の中で彷徨う女性の霊がいるってやつ?会話した人もいるけど、怖くて近づけなかった人もいるから何なんだろうね?」
女性の霊というと、最初に母親の事を思い浮かべてしまった。
私も大きくなって安心してくれたのか、天国で安らかに過ごしているのかもしれない。
私が小学校に上がる頃にはふといなくなってしまった。
寮の近くのバス停を降りるとその先は森へと通じている。
「毎回思うけど鬱陶しいよね、この木。シルフの面倒臭い性格が一瞬でわかるよね。ルイス君のチェーンソーで何本か切ってくれない?」
「いや、俺の武器をこんな事の為に使うなよ」
「チェーンソーって本来、木を切る為の物だったと思うよ?」
と漫才みたいなやりとりをしていると、1つの建物が見えてくる。
シルヴェスタアース寮だ。
「でも、こんな森の中じゃ魔女とか出てきそうですよね。ハロウィンなら尚更」
「何言ってるのカンナ君、君だってそうじゃない。カラスを使役しているんだから。というか僕達もどっこいどっこいだけどね、今は私服だけど、黒の制服をきて動物を使役してるんだから魔女集会でもやってんのかって話だよ」
(た、確かに)
寮の中に入ると、思ったより明るい感じで安心した。
外見は蔦が張り巡らされ不気味な洋館に見えていたからだ。
「マルコは気分屋だからまた仕事サボって、女の子をナンパしに行ってるのかもしれない。どっかに置いといてくれてるでしょ。あっ、あった」
と入り口近くにトレーが置いてあり、その上にカップケーキが置いてあった。
その時だった、後ろの入り口から誰かが入ってくる。
コック服を身につけた男性がこちらを見て、目を見開いている。
そのあと笑顔で私の手を握り、こう告げた。
「どうしてここに天使がいるんだい?ここにいては悪魔達に意地悪されてしまうよ。さぁ、僕と一緒に楽園へいこう。でも天界の神々は君を離さないだろうね。君はなんて罪な天使なんだ!!」
その言葉に他の皆さんはいつもの事だとガンスルーしている。
「あ、あの。皆さん助けて下さい!!」
「マルコのナンパは挨拶と同じだからそのままでいいと思うよ?」
「マルコ、これ貰ってくよ。鏡にも一杯入れとこっと」
「レディファーストは結構だが、ナンパする精神がわからねぇ」
と私をよそに3人でお菓子を詰めている。
やっと手を離してもらい「また来てね❤︎」とウインクされてしまった。
シュン君やワットさん、クレアさんはいつもこんな人と一緒にいるのかと想像しただけで疲れてしまった。
「えっと、次はどこに行きますか?」
「お菓子は全種類集まったし、時間的に周れるのはあと一箇所だけかな。カンナ君の寮か訓練所だっけ?校舎は最後でもいいしね」
「じゃあ、タマミちゃんの所でもいいですか?お菓子のお裾分けもしたいし。寮は帰ればお菓子を出してもらえますから」
「確かにそうだな、そういえばあそこの寮父と一緒にトワコ先生もスクール最強とか噂されてたな」
「ドラゴニクヴァルガンは人間兵器でも持ってんのかね。ガンテツさんも元軍人でしょ?マーシャルアーツとか使えるのかな?僕も教わりたいよ」
「2人とも夢見過ぎだと思うよ?でも、カンナはそういう人達に囲まれているからやっぱり凄いと思うよ?」
(そんな風に言われてるの!!ガンテツさんとトワコ先生)
ガンテツさんは無口だけど普通にいい人だし、トワコ先生もクラブの時は厳しい所もあるけどその分褒めてくれるからいい人達だと思う。
そのあと、バスに乗るがもういい時間だ。
ちょっとうとうとしそうになったので目を覚ます為に話を始めた。
「もう、七不思議の話は終わりなんですか?」
「こんなもんでしょ。あっ、でもシャトランスには“ある”ジンクスがあるんだよね」
「あれだろ?でもどうなんだろうな。キョウさんだって行方不明になってるとかタマミが言ってたけど…」
「メイさんもだったと思うよ?というか、5人は確実に行方がわかってないよね?」
その言葉に不安感を感じた。
何か言ってはいけない事を言ってしまったような気がする。
「ごめんなさい、なんか暗い話になってしまって」
「僕が話を振ったんだからカンナ君のせいじゃないでしょ?でもね、これは偶然じゃなくて誰かが意図的に引き起こしてのかも知れないね。「チャンピオンリーグの優勝者は卒業後“全員”行方不明」になっているんだから」
「“全員”が…どういう事ですか!?」
「今の1年生以外は優勝者を何人か見た事があるんだ。特に5〜8回大会までは同級生同士で王座を取り合って、9回目はお前の所の前寮長だった。だけど、卒業後連絡を取れた人は1人もいない。俺は5人知ってるけど、卒業後会ったていう話を聞いた事もない」
「じゃあ、タマミちゃんのお兄さん。キョウさんは大会で優勝して皆さんと一緒に消えてしまったって事ですか!?」
「これっておかしいと思うよ?なんでチャンピオンリーグの優勝者なんだろう?他のリーグの優勝者や実力のある卒業生もいるのに何でチャンピオンリーグだけなんだろう?」
「だからきな臭いんでしょ。集団失踪事件と一緒だよ。最初の1期生が4人、そのあとの5期生が4人、そして去年優勝した6期生が1人、ちょっとずつだけど合計で9人いなくなってるのは確かなんだから」
「10回目の優勝者が決まればこれで10人。やっぱりおかしいよな。玉座に座ってるはずなのに、バズビーズチェア呪いの椅子に座ってる感じだ。気味が悪い」
「何とか次の犠牲者を止める方法は無いんでしょうか…」
キョウさん以外にも集団失踪事件に巻き込まれた人がいる。
もしかしたら、その事件には大きな影が潜んでいるのかも知れない。
そのあと訓練所に着き、砂浜の方に行ってみる。
するとウンディーネ様とタマミちゃんがいた。
キョウさんの話を聞いたのもあってタマミちゃんの顔を見ると安心する。
思わず抱きしめてしまった。
「カンナちゃんどうしたのー、疲れちゃったー?」
「うん、もういい時間だし眠くなっちゃって。思わず寄りかかっちゃった。あっそうだ、お菓子沢山周って集めてきたからよかったらどうぞ」
「わー、ありがとー。凄い一杯あるねー。ウンディーネ様も食べるー?」
と海を眺めているのであろうウンディーネ様を見るとプリンを食べていた。
『いえ、これは違うのですよ。待っている内に1つ食べたらいつのまにか10個、20個と…』
「来て損したんだけど、殆ど残ってないじゃん」
「ウンディーネ様も食いしん坊だねー。あと4つだし、これで最後だねー。厚着してきたけど海の近くは寒いよー」
「タマミちゃん、お疲れ様。私達は校舎に戻るから気をつけて帰ってね」
「うんー、そう言えばカンナちゃん大きな守護霊にあったんだっけー?ヴァニラさんも会ったって言ってたど、もしかして鯨みたいなやつ?私も会いたかったなー」
「ううん、クラーケン巨大なタコだったの。でもどうして鯨なの?」
「お兄ちゃんの守護霊が鯨なんだー。夏休みによく一緒に遊んだよー。大人しくて、可愛かったなー男の子だけどねー」
そんなお兄さんとの思い出を聞いた後、2人と別れ校舎へと向かった。
「結構いい時間になっちゃったね。もう10時だよ。シュン君真面目だから悪い事しちゃったな。お菓子持ってけば許してくれるよね」
「シュンは鈍感だから大丈夫だと思うよ?シルフの話を聞いてたらあっという間だと思うの?」
「早く食堂に行ってやろうぜ、もう誰もいないだろ」
シュン君を迎えにいこうと、食堂の扉を手にかけた時だった。
シュン君と女性の声がする。
しかもその声は凄く心地良くて、懐かしい声だった。
ずっと一緒にいて欲しい人の声だった。
私は思わず勢いをつけて扉を開けてしまう。
「ママ!!」
着物姿のシュン君とその横で座っている少女、そして私と同じオレンジの髪とお爺ちゃんと同じ青い瞳を持つ私の母親がいた。
幽霊という事もあり、手先や足元が透けてしまっている。
母親は目を見開き、私にゆっくりと近づいてくる。
「ママ、ずっと会いたかった…。どうして遠くにいっちゃったの、ずっと寂しかったよ…」
『ごめんなさい、本当にごめんなさい。私にはやらなきゃいけない事があったの。だから、カンナの元を離れてシャトランスに来るしかなかった。私もずっと会いたかったわ』
と優しく、抱きしめてくれる。
触感なんてない。温度だってない。でも私にはこれで十分だった。
「やっぱり、カンナさんのお母さんだったんだな。引き留めておいてよかった」
「校舎を彷徨う女性の霊ってカンナ君のお母さんだったんだね。という事はもしかして、貴方はシャトランスの全てを知っているの?」
その言葉に母は目を見開いている。
そしてワットさん達にこう語りかけた。
『貴方達もシャトランスの生徒さんね。これは忠告よ。このスクールは悪い大人達の欲望を満たす為に作られたものなの。外から見れば、ただの実験施設に過ぎないわ。貴方達、生徒も実験台と一緒なの。大人達のせいで犠牲になった生徒達を何人も見た事があるわ。どうか、その武器は自分自身を守る為の使って頂戴。ドンドン規模が大きくなって私1人では手に負えないの。だから、貴方達に呼びかけるしかない。逃げる事は恥ではないわ、この島を離れた方が身の為だと思うの』
「そんな事、百も承知だ。でも、この力を授かった以上、自分だけじゃなくて誰かを守りたいと思うんじゃないのか?俺はこのスクールが好きだし、仲間を大切に思ってる。味方が沢山いるんだ、それが大きな力になる事だってあるだろ?」
「ママ、私の大切な友達のお兄さんや卒業生がもし、何かに巻き込まれているなら救い出したいの。まだまだ分からない事だらけだけど、1人じゃダメでも皆で力を合わせれば子供でも解決出来る事があると思うの」
『カンナ…申し訳ないけど私は貴方の事が1番心配なの。貴方は狙われている、そして利用されようとしている。どの生徒達よりも。だから私はここに来たの。遠くからでも貴方を守れるならそれでいいって。どうしてここに来てしまったの?いや、その質問は愚問よね。私の娘ですもの。霊感を持っていればここに入学してもおかしくないのよね。本当はお爺ちゃんやお婆ちゃんの所で安らかに暮らして欲しかった』
「ママ…」
その苦しそうな表情に母の言葉や裏生徒会の皆さんから聞いた話が真実であった事を改めて自覚した。
『外にね、私の話を聞いて協力してくれてる卒業生達がいるの。どうか自分の命を大切にして、そして1人で抱え込まないで。カンナには素敵な仲間がいるもの。…私はここでどんな結末になろうとも最後まで見届けるわ』
母はここの全てを知り、何も出来ずにいる。
どれだけの月日をここで過ごしたのだろう。
本音を言うならずっと側にいて欲しかった。
でも、私の事を思っていてくれたのは嬉しかった。
母は校舎の中で留まり続けるという。
私達は母に見送られた後、各寮へ戻ることにした。
その帰りにシュン君が声をかけてくる。
「カンナさん、ロケットペンダントを持ってないか?レイカさんが言ってたんだ。「自分に似た女の子に見せてもらって」と」
「ペンダント?私は持ってないけどママの実家にあるのかな?冬休みに探してみるね」
「カンナ君、今日は色々あったけど楽しかったね。僕達は帰るよ。バイバイ」
とシュン君とクレアさん、ワットさんはシルヴェスタアース寮行きのバスに乗っている。
「俺達も帰るか。人の霊を見ると、親父の事を思い出すな。まだお袋と一緒にいるのか、わからねぇけど」
「ルイスさんもお父さんが亡くなっているんですか?
「4、5歳の頃病でな。でも、霊の言葉は呪いと一緒だからな「お母さんは何も悪くない」ってずっと言われ続けてた。男爵夫人としての地位もそうだし、保険金や財産目当てで結婚して、自分の死を喜んでいる奴に良くそんな聖人みたいな事が言えるなと何度も思った。そう聞かされる子供達の身にもなれって思うよな」
そのあと、ニンフスピアリ寮のバス停に着きルイスさんと別れた。
私もそのあと、ドラゴニクヴァルガン寮のバス停に着き帰路に着くことにした。
No.20を読んで頂きありがとうございました。
ルーシーちゃんはカナダ出身で「赤毛のアン」の作者のお名前と主人公の苗字を合わせています。
守護霊はルーシーちゃんが小柄なことや容姿などがヒントになってくれるかもしれません。
頬に袋を持ってる動物ですね。
次はEx02「シュンとレイカの話」をお送りします。
カンナちゃんがレイカ(母親)と会う前のやり取りをシュン視点で書いております。
短いのでNo.21「不思議な客人」と同時投稿します。こちらも短いですね。今回が長すぎです。




