No.16 お茶会
ヴァニラちゃんは本当にいいキャラですよね。
女性キャラでいじられて笑いが取れるのは作者にとってとても魅力的なキャラです。
そういえば、作者は前の連載で男子会はやっているんですよね。女子会は初めてやりました。
口調をバラバラにしないと文中でわかりにくくなるので大変ですけど、楽しかったです。
中間試験が最終日の金曜日のこと、今日の試験がおわりロッカーに戻った時のことだった。
ロッカーに手をかけた時、声をかけられる。
「やっほー、カンナ試験お疲れ」
「ミランダさん、こんにちは。やっと試験が終わりましたね。どうですか、手応えの方は?」
「生徒会役員として、赤点なんて許されないでしょ。特にライアンには負けたくないからね。こう見えても努力してんのよ。あっそうだ、実はね、紹介したい人がいるの。午後から時間ある?」
「はい、今日はクラブも無いので大丈夫ですけど。紹介したい人って?」
「私のルームメイト。カンナと同じニホン人だから気が合うんじゃないかと思って。本場のアフタヌーンティーをカンナにも味わって欲しいし、よかったら一緒にお茶会しない?紅茶だったら、さすがにヴァニラもマヨネーズなんか出さないでしょ。前の昼食のリベンジ」
(た、確かに、この前は酷かったからな…)
それにミランダさんのルームメイトも気になる。是非、参加してみたい。
「はい、是非参加させて下さい。でも、どこでやるんですか?」
「今日、ルームメイトのアカリがお茶菓子を作ってくれるの。だからグノムアランド寮でいい?」
グノムアランド、他の寮にお邪魔するのは初めてだ。
すぐ承諾し、午後3時からお茶会を開く事とのことだったので昼食を食べ、一回寮に戻り、私服に着替えた後、グノムアランド寮へ向かった。
入り口はどこかなと探していると、ヴァニラさんに会う事が出来た。
ヴァニラさんも私服姿で水色のニットワンピースを着ている。
「ヴァニラさん、こんにちは。お茶会ですか?にしても、ここの寮ってとても大きいですね」
「グノムアランドは大所帯ですものね。2つ建物を使っているし、200人はいるから」
確かに寮を見ると、2つの建物に渡り廊下がかけられ生徒が行き来しているのがわかる。
「あの、入り口ってどっちから入ったらいいんでしょうか?」
「ミランダの部屋の近くから入ればいいと思うわ。一緒にいきましょう」
そう言われ、ヴァニラさんと一緒に右側の建物に入る。
一階の廊下を進むと、ドラゴニクヴァルガンより広いリビングに辿り着いた。
大きいソファーやカウンターテーブルもある。
まるでカフェのような感じだった。
リビングを見ている時だった、誰かがこちらへ近づいてくる。
藍色の髪と瞳をし髪を後ろでまとめ、白い割烹着姿でその下には黒い袴と着物を着ているようだった。足元は私と同じ茶色のブーツを履いている。
「まぁ、どうしよう。もう2人が来ちゃったのね。2人ともごめんなさい、まだ焼き菓子が作り終わってないの。ミラちゃんに紅茶を入れてもらっているからここで待ってて。ハリ坊ちゃんも守護霊のみんなに遊んでもらったら?」
と足元にいるハリネズミさんに声をかけている。
『ふん、別に俺は興味ないけどお前達が遊びたいなら遊んでやってもいいぞ。別に仲良くなりたいとか思ってないんだからな』
『おっ、ここにいいボールがあるじゃねぇか。俺様達と遊ぼうぜ、お前ボールな』
「ちょっと、あんた達クリケットでもするつもり?フラミンゴはいないわよ」
とミランダさんが紅茶を持ってリビングに入ってきた。
ソファー近くのテーブルに置き「ここに座って」と言われ席に着く。
「そうだ、改めて紹介するわね。この子が私のルームメイトのアカリ」
「初めまして、ミラちゃんから話は聞いてます。ミノベ・アカリです。カンナちゃんは同じニホン人なんだよね。これからよろしくね」
「はい、アカリさんよろしくお願いします」
とお互い握手を交わした。
「ミラちゃん、後はお願いしていい?私も私服に着替えてくるから」
「OK、あとは任せておいて」
そのあと、アカリさんは退出しミランダさんもキッチンに戻りお茶菓子を用意してくれた。
4人揃ったので、ミランダさんやアカリさんが座ったあと話を始める。
「中間試験も終わったし、こういう女子会があってもいいでしょ?で、ママは何でこっちにいるの?あっちで仲間と遊んでこればいいのに」
と話をしているのはテーブルに乗っている、ミランダさんの守護霊の蛇さんだった。
『やだわん、ミラちゃん。私だって乙女の一員じゃない❤︎あんな野蛮な野郎どもと一緒にして欲しくないわん』
女性口調のはずなのに何故か声が野太い、オネエというやつだろうか?
「ママって呼んでいるんですか?」
「そっ、お節介だからママ。いつも私の側にいるのよ、しつこいぐらいに」
(凄いストレートなネーミングだ)
『ミラちゃん、お節介だなんて酷いじゃない。私はミラちゃんファーストなだけ❤︎周りなんかどうでもいいのよ。守護霊は主を守り、その願いを叶えるものなんだから』
「はいはい、ママいつもありがとね」
とお節介とか言いながら、笑顔で適当に受け流しているのを見るに、ミランダさんも照れ隠しをしているのかも知れない。
本当は構ってくれるママさんが好きなのだろう。信頼感を感じる。
「まっ、女子会というのは建前で。カンナ、貴方クラーケンに襲われたんですって。大丈夫?怪我とかしてない?」
「私もたまたま、ミラちゃんと一緒にいてその話を聞いたの。2人で実技をやってた時でしょ?大丈夫だった?」
とミランダさんもアカリさんも心配そうにこちらと見つめてくる。
「私もカンナも怪我はしていないのだけどあの時、自分が襲われるのではないかと思って何も出来なかったの。カンナ、本当にごめんなさい。私、何も出来なかったわ」
「そんなこと、あんな状況になれば誰だって怖いし動けませんよ。ヴァニラさんのせいでもないし、誰のせいでもありません」
「…ありがとう、カンナ」
「お茶会はね、アカリが提案してくれたの。昨日怖い思いをして、何か悩みを抱えているなら私達が相談に乗ってあげようよって」
「ミラちゃん、秘密にしてって言ったのに。でも、怖い思いをする程それを理解してもらえなくて自分1人で抱えてしまう事もあると思うの。寮生活で親しい家族も側にいないから一層そうなると思って」
2人のその言葉に安堵する。
別に血が繋がっている訳でもない、家族でもないのに2人が頼もしいお姉さんに見えた。
「とはいえ、私達も悩みだらけだけどね。特にミラちゃんはシェリーちゃんに悩みを打ち明ける程だもの」
「ちょ、ちょっとアカリ!!それは私のイメージが壊れるから言わない約束でしょ!!」
その言葉にアカリさんは澄ました顔で紅茶を飲んでいる。
「だって、勝手に秘密を言うんだもの。お返し」
「あの、シェリーちゃんって誰の事ですか?」
とアカリさんに聞くと、私とヴァニラさんにヒソヒソと教えてくれた。
「シェリーちゃんはね、ミラちゃんが持ってるぬいぐるみなの。幼い頃からずっと使っているみたいでね。今も抱っこしないと眠れないらしいの」
(か、可愛い)
ミランダさんは大人っぽい印象があるけど、そう言った一面があるなんて初めて知った。
「うふふ、ミランダは可愛い趣味を持っているのね」
「ちょっとあんた達、聞こえているんだからね」
ミランダさんは怒っているが、私達は笑ってしまった。
「そういえば、ミラちゃん今日眠れるの?シェリーちゃんの首のところが保ずれて綿が出ちゃったんでしょ?直してもらえそう?」
「今日丁度、裁縫のプロフェッショナルに会えたから直してもらえるようにお願いしたわ」
「まぁ、その話はいいのよ。という訳でカンナ、ヴァニラその時の事詳しく教えてくれる?生徒会で集まった時もペルケレ先生から聞いたけど皆驚いていたわ。クラーケンがそんなことした例、一回もないもの」
「クラーケンって確かシャトランスの七不思議の一つだっけ?オクトール諸島には10個目の島があるっていう」
「10 個目の諸島ですか?」
それについてヴァニラさんが説明してくれる。
「クラーケンはね、大きいからよく島に間違えられるの。そのあと近くまで来た海賊船を海の中へ引きずり込む。北欧で同じような話があった気がするわ」
確かにあの大きさでは島に間違えられるだろう。私も見間違えてたぐらいだ。
「クラーケンって元々大人しいのよ、人間がお祈りするのを待つぐらいには。だからオクトール諸島で放し飼いにしてたの、危害も加えないからって」
「大人しいクラーケンが私を襲ってきた…」
だとしたらそれ相当の理由があるはずなのだ。
それにクラーケンは「あの人に会わせてあげる」と言っていた。
それが彼の目的なのだろうか?
「あのクラーケンって守護霊なんですか?」
あの時のクラーケンは霊ではなく、実物のように見えたので守護霊と聞いて驚いたのだ。
「現実にクラーケンがいたら困るし、誰かの守護霊なのかもしれないね」
そのアカリさんの言葉に「ハッ」とする。
だとしたら、クラーケンは私と自分の主を合わせようとしていたのではないかと思った。
あのまま連れ去られていたらその人に会う事になっていたのかもしれない。
疑問も多々あるが皆さんの話を聞く。
「まぁ、あの砂浜はしばらく閉鎖ね。というか、折角女子4人で集まっているのにタコの話をしてるなんておかしいでしょ!?もっと、オシャレとかスウィーツとか恋愛について…あっ、ダメだ1人地雷がいるわ」
とミランダさんはヴァニラさんに目を向けている。
「ミランダどうしたの?」
「う〜ん、こうなったら暴露合戦ね。皆、この写真をみて。…アカリ写真をアップにする時ってどうやるんだっけ?」
「もう、ミラちゃんは相変わらずね。はい、これでよし。周りにしてもらわないで自分でもやってみたら?」
「別にいいでしょ、その時その時教えてもらえれば。ちょっと、カンナこれみて」
その写真に写ってたのはヴァニラさんと50代前半の男性だろうか?
笑顔で写っており仲が良さそうに見える。
「ヴァニラさんのお父さんですか?」
「そう、思うでしょ。ヴァニラ、言ってやってこの人のこと」
「私の婚約者ですけど?何か?」
と首を傾げながら言っている。
「こ、婚約者ですか!?」
「そ、最初聞いた時ビックリしたわ。いやちょっと所じゃないけど、違和感はあったのよね。ヴァニラはね、お父さんが有名な政治家で自分もその娘だから繋がりが欲しくて求婚者が続出したの。それで騒ぎを収める為に婚約者を決めないといけなくなったんですって」
「でも、こんな年配の男性と婚約しなくてもいいのでは?ヴァニラさんが可哀想ですよ」
「そんなことないわ、どちらにしたって婚約者は決めないといけないもの。相手もいい方だし、勝手にだけど婚約者にシャトランスのネクタイをプレゼントしたの。そのお礼に寮と同じ色のブローチと、ルイとヴィーンの事も理解してくれて赤い蝶ネクタイをプレゼントしてくれたの」
確かに写真の男性はニンフスピアリの水色のネクタイをしている。
「でもヴァニラちゃんの好みの男性って、確かシェパード先生みたいな人だよね。ヴァニラちゃんが1年生の時、シェパード先生に告白したって噂が流れていたけど…」
「や、やめて!!それは私の黒歴史なの!!」
「本当なんですか?ヴァニラさん?」
人の好みのタイプなんて人それぞれなのだから掘り返すのは失礼だと思うが気になってしまった。
「カンナ、ガチよ。目撃者が何人もいるんだもの。あれは傑作だったわ。しかも、ガチで振られてたもんね。なんて返事がかえってきたんだっけヴァニラ」
「「私には妻や娘と息子がいるから、君の気持ちには答えられない」って」
と悔しそうにヴァニラさんは言っている。
その反応から本当に告白したのではないかとわかるぐらいだった。
「…あの、失礼なんですがヴァニラさんは年配の男性がお好きなんですか?」
その私の言葉にヴァニラさんは悟りを開いた顔で私を見つめてくる。
「カンナ、男性というのはね55歳以上からが食べ頃なのよ。シェパード先生に振られてわかったの、理想のおじさまは作りあげるしかないんだって。お父様も呆れてだけど、これだけは譲れなかったの。今の婚約者も少しずつ誘導して私好みのおじさまに出来るように育成してるの」
(ヴァニラさんがニホンの昔話みたいな事をしようとしている!?)
「ヴァ、ヴァニラちゃんしっかり!!」
ヴァニラさんはもうダメみたいだ。アカリさんが肩を揺すっても反応しない。
「はぁ、これをガストンさんが知らないのが唯一の救いだわ」
「ガストンさん?」
「そっ、シェパード先生の息子さん。私が2年の時、一緒に生徒会をやらせてもらって面識あるし。同じ寮だからグノムアランドのエースというかボスだったよね」
「凄かったよねガストンさん。大会の成績もそうだし生徒会長としても立派な人だったよね。憧れる人もいるんじゃないかな?」
「へぇ、シェパード先生の息子さんもシャトランスにいらっしゃったんですね」
「私も憧れてるし、ほんと武器も混性でほとんど生身に近いのに何であそこまで強くなれるのか何度も聞いたわ。でも父親がここで教師をやっているのが一番プレッシャーに感じけど頑張れる理由だって言ってた」
「ガストンさんいつも「親父の面は汚させない」「自分じゃなくて支えてくれた親父の為にいい結果を残したい」って言ってたもんね」
「とても素敵な親子愛ですね」
その話を聞くと、とても羨ましいなと思ってしまう。
私には祖父母がいてくれるけど、両親がいないのはやっぱり寂しい気持ちになる。
でも、こうして家族のように話が出来る人達に出会えて本当に良かったと思っている。
こうして、ヴァニラさんが正気を取り戻したあと、お茶会はお開きとなった。
No.16を読んでいただきありがとうございました。
ヴァニラちゃんのおじさま好きは、作者がとある偽吹き替えの動画に毒されてしまったからだと思います。
ハリ坊は「ツンデレ」ママは「オネエキャラ」ですね。
ハリ坊は物理的にツンツンしているのとお腹は針がないのでツンデレです。
ママは蛇の容姿が中性的だとおもったからですね。オスですがメスにも見えるならオネエにしようと思いました。蛇とハリネズミの組み合わせですが、ハリネズミの中に蛇の毒に耐性のあるものがいるそうなのでピッタリかなと思ってルームメイトの守護霊にしました。
ミノベ・アカリちゃんは漢字表記は美濃 明星です。これは武器の名前に擬えています。
愛知県の出身で冷やし中華はマヨネーズ派です。
アカリの藍色の髪とミランダのピンクの髪で反対色になるようにしました。
藍色は青をちょっと薄めたような色ですね。
制服は着物を着ているキャラがいなかったので大正時代の女学生みたいなイメージでやってます。
リボンは付けられないのでタスキの色が寮カラーという感じですね。
ガストンについてですが、元々シェパード先生がオーストラリア在住ニュージーランド生まれとNo.2で書いていましたが、これは息子の守護霊を決める為でもありました。
オーストラリアには2つぐらい代表的な動物がいると思いますが、作者は片方しか武器を決められず国籍もオセアニアでは1ヶ国になってしまうのは避ける為、親子の生まれを別々にしました。
苗字のクインズベリーも実は息子を意識して選んでいます。とあるスポーツの用語ですね。
ガストンの守護霊がそのスポーツの動作をするので揃えています。うさぎは反則技名になるので違います。
実はガストンというのはフランス語圏の名前なので違和感はあると思いますが、これには作者なりの理由がありますのでそれについては今後わかってくると思います。
次はNo.17「奇妙なお誘い」をお送りします。
やっと作者が好きな悪ガキトリオ、裏生徒会メンバーが登場しますのでお楽しみ、




