No.15 10個目の島
試験内容を作るのはめんどくさ…、いや難しいですね!!
グダクダになってしまったのでもうやりません。
実技は個人でやる物なので地味な描写になってしまいますよね。
最後だけやりたかったので無理矢理考えました。
中間試験の近づいた守護霊学の授業、今日はヴァニラさんにも来てもらって一緒に試験会場でもある訓練所へと向かう。
「ヴィーン、顕現して。さぁ、一緒にこれに乗っていきましょうカンナ」
ヴァニラさんに捕まりながら、水上スキーに乗り私達の試験会場でもある訓練所の北側にある砂浜へと向かった。
(す、凄いスピードだった…)
水上スキー自体に乗るのが初めてだったので、体が慣れていないのもあるが、余りのスピードに酔いそうになった。
フラフラしながらも、ヴァニラさんについて行く。
すると、砂浜に脚立のついた箱のような物が複数置いてあり、大きい物や小さい物、カラフルな色をした物がある。
「ヴァニラさん、これって何ですか?」
「これはね、試験で使うトラップボックスって言われている物なの。私も初めて扱うから一緒に確認してみましょうか」
そう言って、ヴァニラは箱をかけてくれる。
しかし、1つ目の箱は空箱になっていた。
「あれ?何も入ってない?」
「白い箱はフェイントの意味もあるし、この空箱を壊すとタイムがその個数分引かれて最終結果として記録されるの。それと平均タイムで最終的な評価が決まる形になっているわ」
確かに箱が置かれているの場所はバラバラで、スタートからゴールまで100m程ある。
「じゃあ、言ってしまえばハードルとか障害物競走と一緒なんですね」
「確かにそうね。でも、砂浜の上で走るから動き辛いし、判断が鈍る。不利な状況の中でどのくらい武器をコントロールできるのか?そこを先生方は見たいんでしょうね」
そのあと、他の色の箱の中身を確認する。
2番目の青い箱には剣が2本入っており、発射出来るように固定されている。
(こ、これが飛んでくるの!?凄い怖い!!)
「でも何で、2本入っているんですか?」
「多分、1つ目が空箱だったでしょう?このままだと破壊出来ないからこの剣を使って、近くの空箱を破壊出来るようになっているんじゃないかしら?段取りもそうだし、計画性がないと空箱を全部破壊する事は不可能だと思うの」
「じゃあ、100mの流れを自分で決めないといけないんですね。でも例えばの話、全部スルーした状態でゴールしたらそれは記録になるんでしょうか?」
「それじゃあ、普通の100m走と変わらないもの。武器を使わずに実技試験を受けても先生方は評価しないし出来ないでしょうね。でも、タイムを確認しながらスルーする箱があってもいいと思うわ。ゴール手前で中間にある空箱を壊し忘れたから戻るなんて、そっちの方がタイムロスだもの」
「確かにそうですね。でも本番はこの箱達は配置が変わったり色が変わる場合もあるんでしょうか?」
「本番は全部黒塗りされて、何が入っているのか分からなくてなっているの。中身自体は練習と同じで剣とボールが入っているわ。それともう一つあるのだけど、こっちにきてくれる?」
とヴァニラさんに手招きされ、そちらに行くと脚立がない小さい紫の箱が端と端に置かれていた。
「これは何ですか?」
「今スイッチを入れるわ。近づいてみて」
そう言われ近づくと、片方から紐が「シュル」と出てきてもう片方に繋がる。
(す、凄いなんて幼稚なトラップ)
「うふふ、気が抜けたらころんじゃうわよね。これだけは絶対引っかかりたくないわ」
と笑いながら言っている。
「でもこれって、箱が2つ必要ですよね。1つ壊してしまえば、もう使えなくなるんじゃないでしょうか?」
「確かにそうね。でも破壊するのは空箱だけにして下さいってダブレットの注意書きにもあったし、試験や練習で何度も使っているから何度も壊されたらお金がいくらあっても足りないわ」
(た、確かに。このスクールなら尚更かも)
「じゃあ説明も終わったし、ゆっくりやってみましょうか?ルイ、顕現してちょうだい」
すると、ルイさんは大きな盾へと変化する。
「ルイさんは盾なんですね。八咫烏さんも顕現せよ」
私も鏡を用意し、練習を行う。
「まずは1つ目と2つ目の箱ね。ここの攻略はさっきも言った通り空箱はスルーして、2つ目に向かって剣を弾いたあと空箱を壊す。この時、剣を弾いてそれを手にするって言うやり方もあるけど、タイムを短くしたいなら発射された剣の軌道を変えてそのまま箱を当てるやり方もあるわね。見本を見せるわ」
そのあとヴァニラさんは青い箱の近くに行く、箱から1mの範囲に入ると箱が自動で開き剣が発射される。
それを盾で受け流すように軌道を変え、斜め後ろの空箱に当てている。
破壊された白い箱はゆっくりと動き、自動で元の形に戻っている。
剣もまるで磁石に吸い寄せられるように、元の場所へ戻っている。
(す、凄い。ヴァニラさんも上手いし、科学の力も凄い)
「じゃあ、カンナもやってみましょうか。たしか「吸収」と「反射」が使えるのよね。その2つを使って私と同じ様にやってみて」
「はい」
多分、多分ヴァニラさんがやっていた方法がタイムロスが少なくなるのだろう。
だとすれば、
「吸収せよ」
吸収の状態で剣を鏡に入れ、空箱を「反射」で破壊する。
「反射せよ」
予想通り箱を破壊できた。
「初めてなのに上手ね。そんな感じで100mまでやってみましょうか」
「はい、よろしくお願いします」
そのあと、トラップを確認しながら100mまで進み、タイムを計りながら練習を行う。
「1回目は35:05秒、うまくいけば30秒は切れると思うわ。平均は32秒だから繰り返し練習してみましょう。流れが掴めれば練習用なら良いタイムが出ると思うわ」
そのあとも練習を続けるが、ある事に気づいた。
鏡を持ちながら走っているので、思っている以上に疲れるのだ。
「いいね、八咫烏さんは走らなくて」
『は?何ってんだよお前、霊体に戻せばいいだろ。必要な時に鏡を出せばいいんだから』
「…あっ、そっか」
慣れない環境で頭が回らなかった。
こういう時こそ、基礎を大切にしなくてはいけない。
『やっぱりお前はバカンナだな。その頭、誰かと取り替えてもらったらどうだ』
「ちょっと頭が回らなかっただけ!!」
と喧嘩していると、ヴァニラさんが笑いながら近づいてくる。
「うふふ、ちょっと休憩しましょうか」
砂浜から少し離れた木陰で休憩を取る。
そこからは、練習していてよく見ていなかったが綺麗な海と島が見える。
「あの島は何がある島なんだろう?」
「あそこはグノムアランド寮がある島じゃないかしら?」
「ヴァニラさんのいるニンフスピアリ寮はどこですか?」
「うちは反対側になるわね。中央からみて南西部にある島よ。寮から空港や娯楽施設のある島も見えるわね」
と2人でたわいの無い話をした。
そのあと練習に戻り、今度は顕現と戻れを繰り返しながら100mを走る。
「凄い、32秒平均まで縮んだわ。やっぱり効果があるわね。30秒も夢じゃないわ、頑張りましょう!」
そのあと練習を続けたが30秒を切ることが出来なかった。
私は合気道を始めたとは言え、まだまだ体力があるわけではないので、回数を重ねると逆にタイムが落ちてしまった。
そのまま1週間が過ぎ、本番を迎える事になった。
テスト期間の2日目、最後のコマ訓練所に赴き実施試験の準備をする。
今回は本番という事で指導者のヴァニラさんや審査員としてペルケレ先生も来ている。
しかし、ヴァニラさんが何故が「むすっ」とした顔で目前のコースを見ている。
「あの、ヴァニラさんどうしたんですか?」
「…引っかかったんです」
「え?」
「引っかかったんですよ!!あの紐トラップに!!昨日の実技試験で盛大に転んでタイムロスもしてしまって。いい年して転ぶなんて、お父様になんと結果を報告したらいいのか!!」
(あぁ、成る程)
その言葉にペルケレ先生もクスクス笑っている。
「ヴァニラさん、武器も最近変わったばっかりで貴方もカンナさんも言ってしまえば1年生なんですから。慢心しない方がいいですよ。本番まで何があるのかわかりませんから」
「ペルケレ先生の仰る通りです」
と落ち込みながらヴァニラさんは言っている。
「ではカンナさん。始めましょうか?」
「はい、よろしくお願いします」
試験は一発勝負、2回目をやるとボックスの中身がわかってしまうので正式なタイムを測れないからだ。
砂浜の方に行き、いつも履いている茶色のブーツの紐を確認する。
そのあと緊張をほぐす為に深呼吸をしようとした時だった。
「あれ?あんな近くに島ってあったっけ?」
『おい、どうしたカンナ?』
見間違いだろうか?この前の練習で見た時より、島が近くにあるような気がするのだ。それに大きく感じる。
「カンナさん、準備できましたか?」
とペルケレ先生が声をかけてくるので返事を返す。
「はい、大丈夫です!!」
100m先でヴァニラさんがタイムを計ってくれている。
彼女の方にも手を挙げ、準備出来たと合図する。
「箱の内訳は小さい箱が4つの2セット、空箱が4つ、剣を入れた箱が2つ、ボールを入れた箱が2つです。空箱を破壊した個数×3秒でタイムを引きます」
さらっとコースを見て見ると、最後の方に連続して小箱が4つ並んでいる。
それ以外は走ってみないとわからない。
「顕現せよ」
鏡を準備し、ペルケレ先生の合図を待つ。
「それでは、始め」
その言葉と同時に走り出す。
1つ目の箱の範囲に入るとボールが飛び出してくる。
(初手はボールか)
「吸収せよ」
ボールを吸収し、2つ目の箱に向かうすると中身に剣が入っている。
『カンナ慌てるなよ。剣は2つあるんだ、一つをボールで弾いて一つを吸収しておけ』
「わかった、反射せよ。吸収せよ」
(最初の試練の時、臨機応変に出来なかった。ここでリベンジしないと)
「反射」と「吸収」を交互に使い鏡の中に剣を入れる。
3つ目は空箱なので。剣で箱を破壊する。
4つ目は空箱、5つ目はボールだ。
ヴァニラさんと練習した通りその場で吸収し、斜め後ろにある空箱を破壊する。
これで空箱は2つ目だ。
6つ目は剣が入っており、最後の2つは空箱だ。
しかし端と端に並んでおり全て壊すのは難しいだろう。
タイム的にも片方だけ壊し、最後はヴァニラさんと同じように転ばないように紐トラップを通過しゴールした。
「お疲れ様、タイムは31:08秒でした。カンナは本番に強いのね。今までで、1番早いタイムだったわ」
「でも、なかなか30秒切るのは難しいですね。期末でリベンジします」
「カンナさん、お疲れ様でした。破壊した空箱は3つでしたので、9秒分引いて22:08秒で記録しておきますね。では最後に指導者のヴァニラさんからの評価とコメントを入れてもらってもいいですか?」
とヴァニラさんにタブレットを渡し評価とコメントをもらっている時だった。
『…待ってたよ、カンナ』
誰かの声がする。
『…君を…迎えに来たんだ…一緒に行こう』
(なに、この声)
声の主を探し、周りをキョロキョロ見渡す。
ペルケレ先生やヴァニラさんも動きを止め、その声に耳を傾けている。
どこから聞こえる?
目の前?右?左?
いや違う、後ろだ、後ろから聞こえるのだ。
母譲りの好奇心からか後ろを振り向いてしまう。
後ろにいたものは先程、私が島だと思っていたものだった。
“何かが”動き出し、8本の足が見える。
何cm?何m?いや、何kmだ?
その島“だった”ものは動き出し、まるで生きているようだった。
「カンナ…おいで。あの人のものへ連れて行ってあげる」
「カンナ!!」
一瞬にして右手と右足を掴まれ、海の方へ引きずり込まれる。
その触手を私は見た事がある。まるで巨大なタコのようだった。
(…あの人って誰?ママ…それとも)
海に引きずり込まれる途中、私は死を覚悟した。
こんな怪物、1人ではどうにもならない素直に餌食になるだけだ。
『おい、テメェ。カンナを離しやがれ!!』
その言葉にハッとする。八咫烏さんが私を助けようとしてくれているのだ。
(そうだ、1人じゃダメなら助けを求めないと)
私は最大限抵抗し、大声で叫ぶ。
「嫌だ、離して!!ペルケレ先生、ヴァニラさんお願いです。助けてください!!」
その大声に気づき呆然と見ていた2人が「ハッ」と私の方を向いてくれる。
「ヴァニラさんはここで待っていて下さい。オツォ、顕現して下さい!!」
『ふん、武器になるなんざ久しぶりじゃねぇか。小娘を助けるなんて思わなかったけどな』
「ペルケレ先生、気を付けて下さい」
するとオツォさんが大型のハンマーへと変化する。
ペルケレ先生はそれを振り上げ、触手を攻撃している。
攻撃が届いたのか、触手の動きが止まる。
「さぁ、今のうちに離れて!!」
触手から解放され、ヴァニラさんが近寄ってくる。
ルイさんも盾になっており、私を守ってくれている。
「…い、痛いよ。何でこんな事するの…カンナは僕の事嫌いなの」
その言葉に何だか可哀想だなと思ってしまった。
「オツォ、電気を流して下さい。しばらくクラーケンの動きを止めておきます」
『ふん、お前も容赦しねぇな』
ハンマーに電気が入り、ビリビリと雷のような物が見える。
それを海へと振りかざしたあと、クラーケンにも届いたのか暴れている。
「…あ、あの。そこまでしなくても」
「このクラーケンはオクトール諸島で昔から住み着いている守護霊の一つなんです。人を襲わないので大人しく見ていましたが、まさかこうなるなんて思いませんでした」
守護霊、あのクラーケンも?
それに何故私の事を知っていたのだろうか?
「カンナ、ここにいては危ないわ。移動しましょう?」
「…そうですね」
「私はこのままクラーケンの見張りをしましょう。ヴァニラさんは放課後、生徒会役員を集めてもらえますか?カンナさんはしばらく、ヴァニラさんに付いてもらって下さい。気を付けて戻って下さいね」
そのあと、ヴァニラさんに連れられ校舎の方に戻った。
あのクラーケンはなんだったのだろうか?
そんな疑問と不安を抱えながら1日を過ごした。
No.15を読んでいただきありがとうございます。
やっとNo.1の伏線を回収出来ました。
文中でタコの形をしたアトラクションとか変な例えをしていましたよね。
オクトール諸島の由来も「オクトパス」やラテン語で8を意味する「オクト」から名付けています。
クラーケンはイカやタコの姿をしていると言われていますが、今作はタコとなっています。
これはクラーケンの主に関係しています。
初期はクラーケンがこのオクトール諸島の正体だったみたいな設定にしていますが少し変更しています。
ルイとオツォが顕現しましたのでそれぞれ説明します。
白熊→盾
(白熊は寒い地域で暮らしていますので、体に厚い脂肪を持っています。これを装甲に見立てて盾としました。
他にも、グリーンランドで白熊が紋章として使われていてその枠が盾の様に見えたので選びました。)
熊→ハンマー(大型)
(フィンランド神話で主神ウッコが使用しているのがハンマーです。電気も同様に操る事ができます。北欧神話の軍神トールに類似しています。タケミカヅチとも似ていますね)
次はNo.16「お茶会」をお送りします。




