No.12 貴方の話
授業の中でペルケレが熊の守護霊を「オツォ」と呼んでいますが、フィンランド神話にいる熊の精霊と同じ名前です。フィンランド神話では熊は神聖なものとして扱われ、フィンランド人の祖先とも言われいます。
今日もペルケレ先生の教室で「守護霊学」の授業があり、終わりが近づくとペルケレ先生が話を振る。
「今日から次の授業までに皆さんには調べ物をしてもらいたいと思います」
(調べ物?)
「今更ではありますが、皆さんは自分の守護霊に対しての知識はどのくらいあるでしょうか?私もそうなのですが、私は彼の事をオツォと呼んでいます。以前私は、オツォ、熊の生態についての知識が余りありませんでした。これから共に過ごすパートナーとして相手の知識を持っておくと言うのは大切だと思います」
(確かに…私も八咫烏さんについて余り知らないな…)
「ですので、宿題という形で来週私の授業までに図書室やPC室を使って個々で調べてきてもらい。その情報を纏めて発表して欲しいと思います」
そのあと、用紙が渡され授業が終わった。
今日の授業が終わった後、忘れない内に図書室の赴き調べ物をすることにした。
図書室は6、7、8階の一部を使い8階は自習室6、7階は書籍が数万冊ある。
吹き抜けになっているので、どの階からも入る事ができかなり広い図書室だ。
私は6階から入り、八咫烏についての書籍を探す。
「ねぇ、八咫烏って何で調べれば出てくるの?」
『ニホン神話とかで調べれば出てくるんじゃねぇか?俺様は特別な鳥だからな、鳥類の本なんかじゃ出てこねぇぞ』
「ニホン神話か…余り知らないかも」
『はぁ、お前本当にニホン人かよ!!』
「仕方ないでしょ、学校で習うわけでもないし」
自分の国の神話だが、神様の名前も内容もよく知らない。
アマテラスオオミカミという神様がいる事ぐらいしか、私には知識がなかった。
そのあと、図書室の案内図を見ながら神話関連の書籍を探す。
「あっ、ここじゃない?ニホン神話」
本棚の下の方に数冊だが見つける事が出来た、しかしある問題があった。
「ニホン語の本、全然ない…」
そう、ほとんどが他言語で英語が一番多いのだが、本を開くとびっしりと書いてあるのと同時に私にはわからない単語が沢山出てくる。
ニホン語の本も確認するが、言葉の表現が古いのか私には難しく読みにくかった。
そのあと、薄めで写真やイラストが載っている本を手にしてみる、英語だが私には分かり易かった。
その時、あるページを見ていると八咫烏さんが声を発する。
『これ、俺様と大王じゃねぇか?』
「えっ、ここ?」
そのページには確かに、山の中で鎧を着た男性達とその向こうで飛んでいる黒い鳥のようなものが描かれた絵が載っていた。
『なんだよ、俺様も大王ももっとカッコ良く描けよな。俺様は後ろ向きで顔も見えないし、大王もヘトヘトじゃねぇか。もっと嘘でもいいから壮大に見えるように描けよな』
と文句を言っている。
(嫌々、描いた人に失礼でしょう)
「なら、このページに八咫烏さんの事が書いてあるかもしれないね」
そう言いながら私はそのページを確認する。
しかし単語しかわからず、多分ニホン語がそのまま載っているものだと「Emperor Jimmu」「Kumano」「Kashihara」などはわかった。
「guided」などの単語もあるので案内したという事までわかった。
「そういえば、八咫烏さんは大王を案内したって言ってたよね。言ってる事は本当だったんだ」
『当たり前だろ、俺様を何だと思ってんだ!嘘なんか付くわけねぇだろ』
と言われ頭を突かれる。機嫌を悪くしてしまったらしい。
「でもやっぱり英語じゃよくわからないね。司書さんに聞いて本を探してもらおうかな」
そのあと、カウンターの方にいる司書さんに声をかけてみる。
「あの、ニホン神話の本を探していまして。ニホン語で分かり易いものを探しているのですが」
「分かりました。少し、お待ち下さい」
そのあと、司書さんがタブレットを使い本を探してくれる。
「申し訳ありません。何冊かはあるのですがおすすめの物は現在貸し出しをしているようで」
「そうですか、因みにいつ貸し出されたのかわかりますか?直ぐ返却されるなら予約しておきたいんですけど」
「申し訳ありませんが、返却期限が一週間後ですので直ぐには帰ってこないと思います」
(ま、まいったな。丁度、一週間後じゃ授業に間に合わない)
他の本は分かりにくいし、ネットで調べてもいいのだが、英語を直訳すると分からなくなってしまうので、本の方がいいと私は思っていた。
「あの、因みに貸し出しをしているのって誰ですか?少しでもいいので、見せて貰いたいんです。相手の方が納得してくれれば調べ物をしたいだけなので、見せてもらう事は出来ないでしょうか?」
本来、貸し出し情報は個人情報でもあるので教えてもらうのは難しいだろう。
しかし、私の焦った表情に司書さんが小声で教えてくれた。
「現在、貸し出しをしているのはウグイスガワ・ヒデキチさんです。いつものようにニホン庭園に方にいらっしゃると思いますので、今の時間もそちらにいると思いますよ」
「ヒデキチさん、生徒会のですか?というかニホン庭園ってどこに?」
「校舎を出て東側に各国をイメージした庭園があるんです。ニホンをイメージしたお庭もありますので行けばわかると思いますよ」
「分かりました、ありがとうございます」
その言葉を頼りに、私は校舎から出てヒデキチさんがいるであろう、東側にある庭園を目指した。
No.12を呼んでいただきありがとうございました。
文中にあった絵については、実際に八咫烏を調べた時の出てきた絵をそのまま描写しています。
安達 吟光先生本当に申し訳ごさいません。教科書でも見たことあるような素敵な作品を描いている方ですので興味のある方はご覧下さい。
次はNo.13「梅と鶯」をお送りします。




