No.10 鳥の共闘
カンナちゃんは八咫烏と性格が反対だと言っていますが、カンナちゃんも結構気が強いですよね。
作者は人間と守護霊の組み合わせを正反対か似た物同士でやっていますが、正反対同士でも根っこは一緒な気がします。
木曜日の「守護霊学」今日は「最初の試練」が行われる日だ。
教室でミッシェル先生の説明を受ける。
「それでは皆さん。ペアで協力しこの試練を乗り越えて下さい。私はこれから訓練所に行き準備をしてきます。1番目のペアから順番に、13:20から1階の入り口を出て外で待っていて下さい。今日は特性の生徒に協力してもらいペアごとに訓練所まで連れて行ってもらいます」
そのあと、それぞれのペアの時間をミッシェルは書き残し教室をあとにした。
(…はぁ、凄い緊張してきた。私、大丈夫かな上手くできればいいけど)
そんな不安な気持ちでいると、八咫烏さんも気付いたのか声をかけてくる。
『なんだよ、お前緊張してんのか?あれだけあいつらと練習したんだから大丈夫だろう!俺様もいる、安心しろお前を成功まで導いてやる』
「…うん、ありがとう。八咫烏さん」
お互い性格が反対な所もあってこういう時は凄く頼りになる。
案外、最初は嫌々だったけど相性がいいのかもしれない。
そのあと、13:20になり1番目のペアが教室を出た。
彼らに皆で「頑張ってね」と声をかける。
皆、緊張するのは一緒だ。だからこそ、クラスメートで支え合うべきだと思う。
そのあと、タマミちゃんのペアも教室を出る。
「タマミちゃん、頑張ってね!」
「うん、ありがとーカンナちゃん。気軽にやるのが一番だよー」
その後も皆、教室から出て行き私とシュン君だけになった。
時間になるギリギリまで作戦を確認し、教室を出る。
1階の入り口を出て外で迎えがくるのを待っていた。
「ここで良いんだよね?」
「あぁ、ミッシェル先生もそう言ってたしな」
すると、車ぐらいのスピードで黒い何かが向かってくる。
よくみると、黒い毛並みの馬に男子生徒が跨がりこちらに近づいてくる。
Uターンした後、私達の目の前で止まった。
「アンペルマン、ここで止まってくれ」
『了解致しました』
そのあと、馬から降り声をかけてくる。
「Aクラスの最後のペアで間違いないか?ヤシロ・カンナとシモダイラ・シュンだな」
「はい、そうですけど。貴方は?」
ブラウンの短髪をセンター分けにし、緑の瞳をしている。
手には黒革の手袋を付け、私と同じブレザーの筈なのだが中に黒のベストを着ていて、スーツのような着こなしに見える。
胸には寮決めの時渡されたのだろう。男子用の蝶ネクタイをつけている。
色はグノムアランドのライトイエローだ。
「名乗るのが遅れたな、Dクラスのヴァーグナー・ラントユンカーだ。時間厳守だ、早く出発するぞ」
「あ、あの。馬でお迎えに来てくれたんですか?一頭しかいませんけど?」
「1人だったから通常顕現させてないだけだ。アンペルマン、戻れ顕現を」
すると、彼の守護霊であるお馬さんが車へと変化する。
「凄いな、車種はなんだ?ドイツ製のように見えるが?」
とシュン君はじっとその車を見ている。
「2人ともこれに乗れ、訓練所に行くぞ」
「は、はい」
そして、シュン君と一緒に車へ乗り込んだ。
「あの、何でラントユンカー君は送ってくれるの?」
「僕は特性だからな、皆と同じように戦えない。だから担任のシェパード先生に相談して、生徒達を送る事でこの試験をパスしようと考えた」
「成る程、確かに車じゃ実技は出来ないしね。ラントユンカー君は頭が良いんだね」
「当然だろ、僕を誰だと思っているんだ」
と鼻で笑っている。
「だが、車も状況によれば立派な武器だと思うぞ。お爺ちゃんも一番身近にある丈夫な武器は車だと良く言っていた」
(シュン君のお爺さん、カーチェイスにでも巻き込まれたのかな…)
「成る程、お前の祖父もいい事を言うな。いい勉強になった」
(えっ、誰か突っ込んだ方がいいの!?私?)
これ以上ボケられても困るので話を移す。
「そういえば馬の事を「アンペルマン」って呼んでるんだね。意味とかあるの?」
「アンペルマンは、僕の母国ドイツの歩行者用の信号機で使われている帽子を被った男の子のキャラクターだ。グッズも沢山あるしな。お前達の所にも同じような物はないのか?」
「確かに男性が使われている信号機はあるけど、グッズは見たことないよ。有名なキャラクターなの?」
「有名も何も世界的に人気なキャラクターだぞ。知らないお前達のほうが珍しいぐらいだ」
「えっ、そんなに!?」
知らなかった自分が恥ずかしくなる。
外国の人と話すと文化や常識も異なる事に気づかされた。
でも、新しいことを知れて嬉しい気持ちのほうが大きい。
(…もっと他国の人とお話ししてみたいな)
そう思いながら皆と話した後、訓練所に着く。
クラスの皆は既に終わっているのか、施設の入り口付近で待っていたようだ。
楽しい話もできたので、緊張も解れてきた。
後は、練習通りやるだけだ。
9番目のペアが終わり、ミッシェル先生に中に入るように指示される。
「それでは、ここ地下をイメージしたステージで戦闘を行なってもらいます。敵は一体のランダム、5分の制限時間がありますが時間内に倒してしまっても構いません。ライフは敵の頭上に表示されます。では2人とも、ゴーグルをつけて下さい」
そう、指示され練習通りゴーグルをつける。
「では、2人とも武器の準備をして下さい。敵が出てくる際はアナウンスが流れます。2人で協力し、無事に試練を乗り越えて下さい。それでは2人とも、Boone chance(幸運を祈ります)」
「顕現せよ」 「隼、顕現」
『いつでも大丈夫だぜ』 『最速で仕留めますわ』
そのあと、アナウンスが流れる。
「「これより、シュミレーションバトルtape:Gを発動します。プレイヤーは武器を構えて下さい」」
tape:Gは練習でも戦った中で一番怖いモンスターだ。
足が竦み緊張するが、自分の心を奮い立たせる。
「カンナさんは作戦通りモンスターから5m付近に、俺は15mにいる」
「わかった」
(大丈夫、私には一緒に戦ってくれる仲間がいる)
「「カウントを開始します。5…4…3…2…1…スタート!」」
私の5m先にグールが出現する。
その容姿は人型である筈なのに人ではない。
両手両足の長さが等しく前屈みで私の前に立ち塞がる。
その手先には猫よりも大きく鋭い鉤爪があり、その長い腕が私に向かって振り落とされる。
私の後で「カシャン」と音がする。シュンが弾を装填している。
私も「吸収」の準備をし、シュン君と目合わせ、彼が合図として手挙げたあと「バンッ」と発砲する。
(よし!一発目は吸収できた。敵も近くにいる)
「反射せよ!!」
3m先にいたグールに弾が当たる。ライフも4分の1削れたようだ。
「ウゥゥ、痛い痛い痛い、殺す殺す殺す」
早口で泣くようにその声を発する。私が怖いと思った理由はこの声なのだ。
戦わなくてないけないのに、罪悪感に苛まれる自分がいる。
グールは動きを止める事なく、こちらに襲いかかってくる。
『ビビるなよ、カンナ!シュン達の方向に下がれ。あいつらの遠くに行くなよ!!』
シュン君達の方に行かなければ弾を吸収できない。
「大丈夫、わかった!」
自分の心を落ち着かせる為、グールの声をかき消すように大声で返事をする。
1m以内には敵はやってこない。反射もあってライフも削れているようだ。
「シュン君、2発目打って!!」
シュン君は準備ができている。同じように手を挙げ発砲する。
私は出来るだけグールを引きつけながら「吸収」の準備をする。
「吸収」にするとグッと敵との距離が縮まってしまう。
しかし、近くで有ればある程ダメージが大きくなるのも確かだ。
出来るだけ攻撃を回避しながら弾を吸収する。
しかし、グールの動きを気にして上手く弾が吸収出来ない。
シュン君との距離が5m近くになって、やっと吸収出来た。
(やっと鏡に入ってくれた、作戦は沢山考えたけど上手くいかないよね臨機応変にやらないと)
「反射せよ!!」
至近距離で弾を出す。敵もライフが減り、後一発分だ。
「カンナさん、敵が俺の5m以内に入った。反射のままでいてくれ。俺が仕留める」
「シュン君、後はお願い」
これは作戦の一つだ、シュン君は5m以内なら確実に仕留められる。
私は自分を守ることに専念し、発砲されるのを待った。
ショットガンを再装填し、発砲する。
見事、命中しグールを倒すことに成功した。
「ウゥゥゥ、ガァァァァ」
グールがうめき声を出し、その場で倒れた。
「「クリアです。タイムは2:18:43でした。Aクラス最速タイムです」」
ゴーグルを外すと、グールの正体が人形であった事に安堵する。
無事、戦闘を終える事ができ、シュン君と拳を合わせた。
「緊張したけど、上手く出来てよかったね。何気に最速タイムだし。はぁ、これで力を使い切っちゃったよ。でも、シュン君達がペアで良かった。ありがとう」
「俺もカンナさん達がペアで良かった。武器の相性も良かったんだろうな」
そのあと、外にいたミッシェル先生が入室し拍手をしながら私達に声をかけてくる。
「2人とも素晴らしいコンビネーションでした。バトルの様子をカメラで見せてもらいましたよ。ではお互いに握手を、リーグ戦も試合のあとお互い握手を交わします。相手を称え、自分のより一層の鍛錬に尽力して下さい」
「はい」
2人でそう言い合い、シュン君と握手を交わした。
そして無事「最初の試練」は終了したのでした。
No.10を読んでいただきありがとうございました。
これにてFile1は終了となります。次File2は「生徒会と裏生徒会」です。
生徒会と裏生徒会をメインに置いたストーリーを作っていきます。
因みにラントユンカーは作中でも書いていますが、ドイツ出身です。
馬もアンペルマンと名前をつけていますが、ほかのキャラクターも守護霊に固有の名前をつけている生徒もいます。
黒い毛並みをしていましたが、これはドイツ生まれで日本のレースを走っている競走馬がいた為、同じ毛並みにしています。
馬が車に変化するのは、馬が車と同じスピードで走る事が出来るからです。
時速50〜60kmと言われています。ドイツ出身にしたのは日本でも有名な自動車メーカーがあるためですね。
オクトール諸島に公道はないので運転しても大丈夫です。というか守護霊の乗り物は基本的に自動運転です。
次はNo.11「生徒総会」をお送りします。




