No.8 顕現せよ
守護霊学の2回目、今日はミッシェル先生の教室で授業を行う。
「前回、ペルケレ先生から色々な話があったと思いますが、今日は皆さんも一緒に実際に武器にする方法を学んでいきたいと思います」
(おぉ、八咫烏さんも武器になる時が来た!!)
「まず用語の説明をしたいと思います。ほら、こっちに来て」
とシマウマさんを手招きしている。
『俺を呼ぶんじゃねぇ』
「今回だけですから協力して下さい。守護霊動物が武器や実体になる事を「顕現」と言います。元々、神仏が鮮明に現れる事を意味していますが、一番適切な言葉だと思い守護霊にもそれを使っています。「顕現」は2種類あり、武器となる「通常顕現」と実物のまま現れる「実物顕現」があります」
(あっ、もしかしてトワコ先生がやっていたもの実物顕現かな?)
実際にそう言ってたし、守護霊のユニコーンさんもその言葉に反応して実物になっていた。
それなら寮決めの時、アポリナルさんやシーグリットさんがやっていた事にも合点がいく。
「霊体に戻したい時は「戻れ」といえば戻ります。守護霊は主を守る為、どんな場所でも、声に反応します。武器になれば離れていても手元に戻ってくるでしょう」
(なるほど、そんな事まで出来るんだ!!)
「ただ一つ注意して欲しいのが、顕現の際、実物→武器にそのまま切り替える事はできません。必ず、霊体に戻してから次の顕現をして下さい。流れとしては、「実物顕現せよ」→「戻れ」→「顕現せよ」この通りになります。では、私がお手本を見せますのでみなさんも一緒にやってみましょう」
「まずは「実物顕現せよ」」
というと、シマウマさんもそうだし八咫烏さんも実体になる。
(おぉ、凄い!!私にもちゃんとできてる!!)
「次に「戻れ」」
すると、霊体に戻る。
「最後に「顕現せよ」」
(どんな武器になるんだろう?凄い楽しみ!!)
するとシマウマさんは手榴弾になっている。
八咫烏さんも私の手元にやってくる。
何やら、丸いもののようだ。
そのあと、自分の顔が映し出されている。
「えっ、なにこれ!?鏡!?」
とりあえず、表と裏を確認する。
どうやら、古代の鏡のようで歴史の教科書にも載ってるような鏡だった。
「ねぇ、なんで鏡なの?」
と八咫烏さんに声をかけてみる。
この状態でも喋れるのであろうか?と思っていたが声が返ってくる。
『いいじゃねぇか、たまには自分を見つめ直すことも大事だぜ』
その言葉に苛つき叩き割ろうかと思い、腕を振り上げた。
『待て待て、破ろうとするんじゃねぇ!!』
やろうとしていた事を見破られてしまったので、手を離した。
(でも、鏡なんてどうやって使うのかな?)
武器として使えるのなら、それなりの使い方がある筈なのだが思いつかなかった。
「では皆さん、顕現が出来ましたね。安全上、皆さんの武器はスクールの方でも把握させていただくので1人1人見せて下さい」
ミッシェル先生はタブレットを持ち、それぞれの席に行って確認をとっている。
クラスメートはどんな武器を持っているのかな?と思い、少し覗いてみる。
斜め前にいたタマミちゃんはどうやら傘の様だった。開いて確認している。
その時、ミッシェル先生の声が聞こえた。
「ショットガンですね。Aランクでいいですか?」
と話をしているのはシュン君だった。隼さんはショットガンになったようだ。
(す、凄い!!やっぱり、坊っちゃんは違う!!)
もしかして、銃器系を見慣れているからそうなったのかという、変なイメージをシュン君に押しつけてしまった。
(でも、羨ましいなAランクなんて)
先生は気にしなくてもいいと言っていたけど、ランクがある以上気になってしまう。
私は鏡なので、CかDランクだろう。
せっかく、自分の霊感が活かせると思って入学したけど、私なんてこんなものなのかもしれない。
そのあと、ミッシェル先生が私の所まで来て確認をしてくれる。
「鏡ですね、防具のように見えますのでDランクでいいですか?」
「はい、それでお願いします」
そのあと、全生徒の武器が確認し終わった。
どうやら、このクラスにはシュン君を含め3人の純性の守護霊さんがいたらしい。
しかし、その数に違和感を感じる。
純性は混性の4分の1なのだから、このクラスは20人いる5人になるのではないか?と思った。
私はミッシェル先生に質問をしてみる。
「あの、一つ質問をしてもいいですか?」
「はい、マドモアゼル カンナなんでしょうか?」
「ペルケレ先生の時、純性は混性の4分の1の割合だと習いました。ですが、このクラスでの純性は3人、数が合わないと思ってしまって」
その質問にクラスメートもミッシェル先生も頷いている。
「いい質問ですね、実はその数字というのは最終的なデータなのです」
「最終的なデータですか?」
「えぇ、現在は確かに3人ですが、実は混性から純性に武器が変化する「繰り上がり」というのがあるのです。ですから今後、武器が変わる生徒がこの中にも出てくるかもしれません」
(「繰り上がり」そんな事もあるんだ!!)
という事はあと2人繰り上がりをする人物がいるのかもしれない。
(気になる、誰なんだろう?)
「ですが「繰り上がり」をすると、以前使っていた武器が使えなくなるというデメリットもあります。変化の条件もわかっていませんので、定かではありませんが、戦う意志のある人物に純性の武器を授かる権利があると言われています」
「ミッシェル先生、丁寧に教えてくださってありがとうございました」
純性の武器は元々戦う為のもの、だからこそ戦う意志がなければ相応しくないと言っているのかも知れない。
確かに、私も戦う意志なんてないのだから、混性なのに納得してしまう。
「それでは、皆さんには2週間後にある「最初の試練」と呼ばれている実技試験について説明したいと思います」
その言葉に私もそうだが、クラス中が騒めいている。
実技があると聞いていたが、こんなに早い段階で行われるとは思っていなかった。
そのあと、ミッシェル先生の話が始まった。
No.8を読んでいただきありがとうございました。
シマウマ、八咫烏、隼、クラゲの武器について説明します。
シマウマ→手榴弾
(シマウマが懐かない事や遠くに行ってしまうことから、離れた所で使用できる武器、投げる武器という事で手榴弾を選びました)
八咫烏→鏡
(別の話でも説明しましたが、八咫鏡から選びました。「八咫」が一緒なので言葉遊びもありますね。八咫には大きいという意味があり長さで表すなら144cmとなりますが、今作の八咫烏は普通のカラスと大きさは一緒で、鏡も現代使われている八咫鏡の大きさである45.5cmです)
隼→ショットガン
(元々、銃器系をどの動物でやろうかと悩んでいたのですが、鳥類のスピード感や急降下する姿が弾丸のように見えたので鳥類に銃器系を持たせています。飛び道具とも言われていますのでピッタリだったと思います。ショットガンはシンプルな構造で初心者にも扱いやすいという事で選びました。ショットガンは大型ですが、拳銃のような小型の銃も用意しています。詳しい事は今後のお楽しみという事で)
クラゲ→傘
(クラゲの形が傘のように見えたので選びました。雨や水を連想させるという意味でもぴったりだったと思います。ガードや攻撃ができるバランス型の武器として登場させたいと思います)
次はNo.9「最初の試練」をお送りします。




