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深夜の緊急コール  作者: 如月一歩
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第3話 午前4時15分 エスカレーション

 現時点では、計画停止の終了時刻である午前5時までに復旧のめどがたたないと、武藤は判断した。このため、田畑へ関係者への連絡を入れるよう指示した。

 エスカレーションのルートは、リーダーの田畑から現在の上司である渋谷課長へ連絡し、その上の大林部長、さらにその上の村岡役員へ、緊急事態であることを伝達する取り決めであった。

 田畑からは「渋谷課長と連絡が取れないんです。携帯に何度もかけてもつながらないんです。そのため、すみません、今は企画室の武藤さんに、お電話させていただいたんです」と、苦悶の表情で状況を武藤へ説明した。

 

 田畑の部下の秋田が「リモート接続の環境はOKです!ルーターの電源がOFF状態だったので、ONにしました。武藤さんの端末からアクセスできるはずです!」と大声で走ってきた。田畑との電話越しに、武藤は状況を瞬時に理解した。

 「わかった。俺がリモートでシステムログを調査する。田畑は、渋谷課長の携帯ではなく、自宅電話へコールしろ。それで出なかったら、大林部長へ電話。緊急事態だから、遠慮するな。この電話は秋田と代われ。俺が秋田と会話しながら、調査を進めるよ。さあ、急げ! 時間との勝負だけど、あせってもしょうがない。落ち着ていこう!」

 武藤は田畑へ指示しながら、自分自身に冷静さを保つことを言い聞かせていた。

 

 秋田にログインIDやパスワードを確認しながら、武藤は自宅のノートパソコンから栃木のコンピューターセンターのオンラインシステムへ接続した。作業中、秋田が調査した内容をヒアリングすると、案件④の通信プロトコル関連に不具合がありそうなことがわかってきた。エラー情報を秋田が見つけていた。

 大規模な業務システムも、基本的な構造は一般のパソコンに似ている。今回の事象は、WindowsのようなOSは正常に稼働しているが、ExcelやWordのようなアプリケーションに不具合があって、端末が固まってしまっている状況であった。

 ログに出力されたエラー情報と、変更案件の情報が合致したため、調査対象をこの部分に集中することとした。武藤は秋田に、プログラムの変更箇所を確認させ、その案件の担当者を特定するよう、指示を出した。

 

 田畑からエスカレーションの状況報告が武藤へあがってきた。渋谷課長を捕まえることができ、その上の報告は課長へやらせることにした、と怒り口調で田畑が話し始めた。ちょうどそのとき、センターに大林部長から電話が入り、「田畑を出せ」との伝言であった。田畑は武藤との会話を中断し、固定電話の机へ走っていった。

 

 緊急事態で現場は混乱中なのに、その最前線の現場に報告を求めようとする姿勢に、武藤は苛立ちを覚えたが、部長が要求してくることはすぐにわかった。長時間システム停止になった場合、社内の関係部署だけでなく、他社への連絡、さらに役員への説明などが必要となる。「なんだかわかりませんが、復旧しません」という報告では話にならない。少しでも原因や復旧めどの情報がないと、説明しきれない。

 武藤は、ここで喧嘩しても時間をロスするだけなので、調査と復旧を担当するAチーム、報告をするBチームに戦力を分ける決断をした。

  Aチーム 田畑、佐藤、秋山、パッケージベンダーの担当3名

  Bチーム 秋田、木村、渋谷課長(自宅)

  遊軍 武藤


 サブリーダーの秋田へチーム編成を指示し、田畑をAチームに専念して指揮をとらせるようにした。木村にはホワイトボードに対応記録を書かせ、情報を集中管理できるようにした。

 時間は午前4時20分。内向きの対応で足を引っ張られ、進まない。

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