第6.5話 絆の会 稲志田奈々編
キャラとの絆が深まり、意外なカミングアウトも。 今回は次回の前振りみたいなものです。
「学園祭?」
「そう!我が雛沢附大が誇る1大イベント!多くの来賓来校者が挙って集う、附大生達の戦いさ☆キラーン」
「あー気にしないでください警視。そいつこの時期になるとテンションがいつもの3倍おかしくなるので。無礼講もいいところですよ。」
11月も半ば、オレ達はこの頃、大学の校舎に通い詰めてきた。
覚吏も言うように、この時期になると、雛沢附大学園祭というのが行われる。
大葉警視に詰め寄る覚吏を引き剝がしつつ、計画しているアレを実行に移そうとしていた。
「いよいよ明日か・・・出店。」
「俺達しかできない催し物とかワクワクしますけどね!」
「琉輝君、エリック君。私たちも楽しんでいこう!」
「そっすね!奈々先輩!よぉ~し!頑張るぞー!」
「「えいえいおー!」」
エリックのやつ、すっかり稲志田と仲良しだな。
稲志田も柔らかくなって。
ほほえましいったら、ありゃしない。
「おーい。語彙力が死んでるぞ~?」
うるせぇ。はやくげんばにでももどれ。
「IQダダ下がりだなオイ・・・・あっ、最後に一つ!」
「なんだ~?いわせてやるからはやくいえ~?」
「もう口にしてんじゃん!なんだよ!普段のキレキレのツッコミはどこ行った!なんか寂しいよ!(´:ω;`)」
「琉輝先輩はもうダメみたいですね・・・・見てください。このふやけっぷり。」
「普段は鳥みたいに鋭い眼がこんなにとろけている・・・・確かにダメだ。」
あ^~。しあわせ~・・・・
「りゅ、琉輝君。疲れているなら部屋で休んだら・・・・って、気を失ってるううううううううううう!?!?!?」
「せんぱぁーい!!!!」
「ダメだー!ゲル化して手に負えねえええええええ!!!!」
天使《稲志田》の囁きで溶けてしまった。文字通り。
後から聞いた話だと、オレを運んだ後、稲志田はすっかり弱気になっていた。
それを聞いたオレはほぼ逝きかけました。
ワイワイ・・・・・
彼らがひと悶着起こしている時、その場から離れた大葉啓二。
その傍にいた、一人の少女の姿が。
「あんなのがあたしと同じ特異班のチームだなんて・・・・本当に大丈夫?《《景虎》》。」
少女は彼を景虎と呼ぶ。
「ああ。きっと大丈夫さ。・・・・・それはそれとして、《《その名前で呼ぶなら》》、外に行こうか。」
「っつても、倉庫の中だけどね。」
大葉と少女は、玄関を出る。
そして、2人の姿は瞬く間に変わる。
男は黒髪の優男という感じから、エキセントリックなニューハーフに。
少女は無気力で小柄な感じから、やや平均的なスタイルの攻撃的な美少女に。
「さぁさぁ、何の話するぅ?ここしばらくみんなと過ごしてどう思ったとか、最近あんまし姿見せてなかった件とか、どういう話するぅ!?」
「うっさい、景虎。あたしはあたし。あいつらはあいつら。別に関わりたくって関わってるわけじゃない。」
「あらぁ~つれないわねぇ。せっかく楽しいイベントとかあるのにねぇ?」
「・・・学園祭でしょ。分かってる。」
少女と景虎と呼ばれる男は学園の外に出る。
「・・・あいつらにはもう言った?」
「ええ。わたしと風環ちゃんは親戚関係で外出するって。学園にはほんとの事を伝えたけどね。」
そして、2人は学園の本人認識AIのカメラの前に立ち、しばらくもせずに。
【スキャン完了。鷲尾景虎(大葉啓二)様、木戸川凛様、いってらっしゃいませ。】
学園を出た。
「さあ、今日はいいホテルを予約してあるから、そこで一夜を過ごしましょう!」
「このままじゃスキャンダル沙汰だから、元に戻してよ。」
「はいはい。・・・それ!」
そして、2人は先ほどの姿に戻った。
「・・・ほんと便利だよね・・・その能力。」
「わたしの想像変身、イカシテルでしょ?」
「はいはい。イカシテルイカシテル。」
そのまま、2人は夜に消えていった。