第二話 行動
お待たせいたしました。
「さて・・・これからどうするか・・・」
しがらみに捕らえられていたが、これで晴れて自由になった。
といってもまだまだ新米だが、そこは―
「このわたしが何とかする。だろ?リュウ。」
「社長。リュウって呼ばないで下さい。」
こんなくだらないやりとりだが、実際そうするしかない。
オレはここの社長である覚吏に頼るしかないのだから。
「えぇー、いいじゃないか。減るもんじゃないし。」
「・・・・・もう好きにしてください。」
ーオレはもうヤバいと思う。こいつにまともに関わるだけ時間の無駄だ。
「それじゃあリュウ。早速だが、君に特別指令だ。」
「・・・ミッション?」
今まで聞いたことない。ここまで半年間、無能力者として勤めていたが。
特別指令なんてワードは聞いたこともない。
「それもそう。これは特に優秀な人材じゃなきゃ出来ない仕事さ。しかもトップシークレットのね。」
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「・・・・大丈夫か?頭おかしい奴の心読んだか?」
「ちっがーう!わたしは至って普通!正常!決して非常識ではなーい!!あとさっき、まともに関わるだけ時間の無駄ってどういうことだー!!」
―覚吏)(さとり)がおかしいのはいつも通りだが、今日は飛びぬけておかしい。
何なんだ?特別指令って。
半年間隠れて特訓して、準備万端なオレだが、ほぼほぼ新米だぞ?
いきなり召喚しておいて能力解禁日に上級者専用の依頼とか・・・・・・
あぁ。そういうことか。ナルホドネ。
「―――ハァ!?オレに死ねってかぁ!?色んな意味で死ねってか!?これのどこが正常なんだよ!十分非常識だわ、マヌケ!!!」
―我慢の限界だった。
ヤバいと思ったが、憤りを抑えきれなかった。
「とうとうとち狂ったかお前!?何があった!?変なもん喰ったか!?」
「だーかーらー!!わたしはどこもおかしくないって言ってるでしょうが!これは上からの正式な依頼なの!」
「あぁ~そうかい!上からの指令かい!言い訳ご苦労s・・・・・・え?」
「そう!上から。ちゃんとここに書いてあるでしょう?『葛飾警察署』って。」
ーそうして覚吏は、ある書類・・・というか、書き置きをオレの前に出した。
「雛沢覚吏警部補。ここ最近、異能犯罪者による犯罪行為が横行している。奴らを一人でも多く検挙しなければならない。そこでだが、君が経営している総警会社から、一人だけ派遣として特別指令を依頼してくれ。
―もしも断られそうになった場合、こう言うがいい。
『―拒否権はない』と。
君には期待しているよ。
葛飾警察署長 大葉 啓二」
そして、お互いに理解したであろうその時。
「「 あ ァ ァ ァ ん ま り だ ァ ァ ア ァ! ! ! ! ! 」」
「何なの、パワハラ!?パワハラなの!?これ!?」
「何で警察署長が処刑宣告してくるかなァ~ッ!?」
「断れる訳ないじゃん!?上司だよ!?こんなの絶対適当じゃん!」
「なんなの!?自由になったと思ったら今度は鬼畜難易度のクソゲー!?」
「こんなの実質、『やらないと減給だからね。』って言われてるのと同じじゃん!」
「いっぱいいるじゃん!?100人以上いるよね!?何でその中でオレなの!?」
「いやー。正直信頼してるから。やってくれるって信じてるから。」
「ねぇ馬鹿なの!?ふざけるミ!絶対めんどいからオレを選んだよね!?」
「!?!?・・・何でバレた!?さてはお前もエスパーだなぁ~?このこの~。」
「ねぇいい加減にしろよ!ふざけんのも大概にしろよ!そういうとこだよ!覚吏
さとり
姉ちゃんの悪いところ!!!」
「ね・・・姉ちゃんって、呼んだ・・・ッ!?あぁ~やっぱしそうなんだよなぁ~。これだからリュウは優しい子なんだよ~。さっきも心配してくれたし。」
「-ッ!!!!もういい!やりゃあいいんでしょ!?やりゃあ!」
ークッソ馬鹿馬鹿しい会話から、オレは人生最初にして、最大の試練に向かおうとしていた。
異能犯罪者
異能者の中で、異形能力を犯罪行為に使用するものを指す。