第22話 再度深淵より帰還する part1
お待たせいたしました。Coボレッタです。
最近一話5000字くらいが平均と聞いた私。
というわけでこれからは毎回5000字がノルマとなります。
それではどうぞ!
『前回までのあらすじ!』
あの伝説の明けの明星、魔王ルシファーが現世に降臨 キタ━━━━ヽ(゜∀゜ )ノ━━━━!!!!
それはそれとして、復活にはかなり手間取ったらしく、復活の方法を聞いたサルガタナスは、哀れにも精神に異常をきたして崩壊してしまった!
何やらサマエルとは因縁があるらしく、そこにいるだけでどうなってるのかも分からなくなるくらいに凄まじいオーラの応酬!!
そこにちょこんっと入ってきた哀れな虫さんは、僕らの主人公壱原琉輝!!
あの首チョンパの惨劇から立ち直れず、絶望に打ちひしがれてたんだけど、ドSな魔王様はお構いなし!
何か言わせようとし、崩壊させたガラスから見るだけでも痛々しい杭を手足にブスリと刺されて大悶絶!!!
さらに追い打ちで腹パンならぬ腹蹴り!!
ドSってレベルを超えた所業に、彼は静止の声を上げるも、それがルシファーの素体に使われたかつてのルームメイトである稲志田奈々として認識していたため、魔王様は飽き飽きとした表情で首を絞めて上にフワーッ!っと浮遊して問い詰める!
そして止めに毒ガスを流し込まれ、壱原琉輝は死んでしまった。
ざんねん! りゅうきのものがたりは ここでおわってしまった!
とはならないのが今回のお話し!
さあどうなるのか!?お楽しみに!!
=*=*=*=*=**=*=*=*=*==*=*=*=*=**=*=*=*=*=
「・・・なあ。一ついいか?」
「なんだい?僕の愛しいリューキ?」
「さっきから何を長々と喋ってたんだ?それもどっか向こう側を向いて。」
「あぁー、ごめんごめん。君には見えなくてもいい事だったね。」
「・・・何を言ってる?」
「あー気にしないでいいよ。ぼくが話してるのは―――」
『―――君達なんだからね?外の観測者サマ達?』
そういうと、その銀髪の人物はこちら側に向けて手を振った。
しかしこちらからすれば、まったくその姿を見る事は出来ず、ただその場に文字が浮かぶだけだった。
『あー・・・見えないかー。やっぱそうだもんなぁー。いくらぼくの権能といえども、この【壁】を越える事は出来ないもんなぁー。』
その事実を確認したその人影は、こちらの通信を切って、物語に戻る。
『それじゃあまたねー。ここしばらくはこうやって君たちをモニタリングすることはないだろうからねー。』
「―――ふう。それで?」
「それで?じゃねえよ。結局誰と話してたんだよ。」
「まあ分かりやすく言うとお客様さ。多くの物語を観測して、それらを娯楽とする別次元のお客様さ。」
「うーん・・・よく分からないが、ようはオレ達は誰かに見られているってことか。」
「まあ本当に気にしなくていいよ。彼らは見てるだけで何もすることは出来ないからね。」
「そうなのか・・・」
こうして一つの疑問に幕を閉じたところで、本題に移るとしようか。
「なぁ・・・」
「なぁにぃ?」
「オレって本当に死んだんだよな?」
「そだよー。出血多量に栄養失調、毒ガスによる内臓の機能低下。それに伴う多くの内出血を込々で、絞殺及び毒殺にて大往生。無事深淵逝きでこの始末★ってわけSA!」
「こんな悲惨な状況になったことを大往生とは言わねぇよ。」
会話のテンションはさておき、これで確信が付いた。
―――間違いなく、オレは死んでいる。
さっきから妙に浮いてるような感覚があったが、そもそも真っ黒な深淵が床なのかとは思わなかったからな。
そもそも、足が付いてないんだ。
いや、ちゃんと脚はあるのだが。
それに、身体が冷え切っている。
例えるなら、真冬の外で、ほぼ裸のような格好をして走り回った後の身体みたいなものだ。
自分でも言ってて分かんないな、この例え。
死んでるなら当然、血は流れない。ならば、体温なんてないにも等しい。
・・・そりゃ冷え切るわけだよ。
とにかく、これで完全に死んでるのが把握出来た。
ならば、オレが奴に掛ける言葉は一つだ。
「なあ八十神。」
「どうしたんだい?リュウ。」
「色々語弊を招きそうな呼び方だが綺麗にスルーするとしよう。」
「スルーだけに?(´^ω^`)ブフォwww」
「(# ゜Д゜)オマエイイカゲンニダマレ!!」
「(´・ω・`)」
覚吏以外にこんなやり取りすんのなんか新鮮だが、こうしてムカつくのは一緒か。
「死んだオレってどこに行くんだ?天国か?それとも地獄か?」
「ノンノン!そんな御伽噺みたいなとこは空想だにょん!あるわけないじゃんそんなとこwwwww」
「―――真面目に答えろ。お前相手にどうこう出来るわけないと理解しているが殴るぞ。」
「あー、ははは・・・ じゃあ仕方ないか。こうしてぶつくさ喋っても、無駄に引き伸ばしてるだけだーって言われちゃうし。」
「おう早く答えろ。それとも答えられないのか?」
「あー、もう分かった!降参だ!キミみたいな冗談通じないのは素直に行くとするか!」
さっきからそうしろって言ってんだけどな(#^ω^)
「これから君を連れていくのはとある待ち人の所さ。」
「待ち人・・・閻魔様のとこにでも連れていくのか?」
「君はちょっとばかり面倒なこと聞くなぁ。そーいうのは冥王星の奴に言えよぉ。」
「・・・冥王星?」
「あー・・・何でもない!」
何かをはぐらかす八十神だが、一息ついて語り始めた。
「君は、彼にはもう会ったかい?」
「彼…?」
「そう!君に似てるけどぜんぜん似てない、まるで悪辣さが滲み出たようなゲス野郎にはもう会ったかい?」
「あー・・・」
―――そう言われると、不思議と鮮明に思い出してきた。
あの黒髪のイカれ野郎を・・・
〔……んなぁ~んて!気分はどうだぁ?お~い。最高かぁ!?最高かぁ!?!?
―――ヴァ~ッッッカ!!!んなわけねえだろくそったれ!サイッッッテェ!!!最低辺の最底辺だよ!ド畜生がァーーーー!!
……そうだよ!ここは深淵っていう最ッッ高にくそったれなディストピアでユートピアだよ!ウェルカム壱原琉輝!ようこそ壱原琉輝!わかったらとっととクソして寝ろ!……あっ。ここってクソするとこじゃないし、そもそもそういう事出来ない場所だったわーーーー!!!!ギャーッはッハッハっは!!!〕
〔普段の鉄のように冷たくて、多少の犠牲を厭わない。身内にはすっげー優しい、思考回路が猛禽類みたいなおっかないアンタが善意だとすれば、どんな汚い手ですら良しとし、困っている奴はつい見逃せず助ける。時には他人にすら寄生し、操り人形だったり苗床にしたりと、いろいろ情熱的なオレが、アンタにとっては『悪意』みたいなもんなんだよ。〕
『〔人間というのは脆いものだ。すぐ何かと危機に陥って壊れちまう。だからオレは、オレを埋め込むことにした。細胞や生体因子の活動を活発化させるのはもちろんのこと、肉体的・精神的な不老長寿は約束されたようなものだ。〕』
『〔まあ、しばらくの間は感情の抑制は効かなくなり繫殖欲求が異常なほど膨れあがるが、最終的には記憶すらオレに喰われ、赤ん坊のように泣きわめくようにしてある。何しろ身体はオレを埋め込んだ時のままだからなぁ。どうなるのか見当もつかねえや^^〕』
「―――アイツか…」
しっかりと思い出した時には、右手で頭を抱え、大きなため息をついた。
「その様子だとちゃぁんと思い出したようだね?」
「あんときはお前が化けてたけどな!」
思わず、オレは八十神に対して怒号を上げた。
『詳しくは、【第十四話:深淵からの帰還】で確かめてみてね!』
そして露骨な宣伝らしいことをする八十神であった。
「まあ彼も言ってたけど、そん時はからくりがあったからね。説明不足でゴメンね!」
そういや、あいつもそう言ってたな・・・
〔これ以上ふざけてっとからくりバレっしもうやめるか。〕
・・・からくりって何だ?まさか裏で打ち合わせでもしてたのか?
だけど、あいつは八十神に封印されたはずだ。それならば打ち合わせをしていてもおかしくはないな。
・・・いや、そんなことは今関係ない。
それよりも重要なのは、アイツがオレを待っているってことだ。
「そんで?あいつはどこにいる?」
「まーまー焦らないで。そう言うと思って、こんなサプライズを用意しました!!」
そう言うと、八十神は指を鳴らした。
するとどうだろうか。
何もない真っ暗で不定形な深淵が光に包まれた。
「!?」
思わず顔を覆ったが、幸いにもその光はとても優しかった。
「はい、もう目ぇ開けていいよー!」
八十神がそう言うと、その言葉に従い目を開いた。
「―――!?」
目の前に入ってきた光景は、文字通り目を疑う程のものだった。
それは―――
「これ・・・は・・・?」
それは庭園だった。
いや、庭園というには余りにも壮大かつ神秘的だった。
まるで、聖書に出て来るエデンの園そのもののような・・・
まあ一言で纏めると、「名状しがたき楽園」といったものか。
「ジャーン!驚いただろぉ!!これこそ、我が創造の能力さ!!」
「・・・クリエイション?」
「そう!僕の、僕だけの異能力さ!」
そういえばコイツのスキルって今まで知らなかったな。
というか、使う素振りすらなかったし。
「能力はそんまま、創造を意のままにする力さ!」
「・・・また規模の大きいもんだな。どれくらい出来るんだ?」
「ふっふっふー。良くぞ聞いてくれました!!ぼくの範囲では物なんかは勿論のこと、無機物や有機物ですらお手の物!何なら概念すら思いのままに―――」
―――待て。聞き捨てならん単語が唐突に飛び出してきたぞ。
それ以外にも聞き捨てならん単語もあった気がするがそこは敢えてスルーしよう。
―――概念って何だ概念って。
こんなのスルー出来るわけないだろ。
「どうしたの琉輝?そんな訝しむような顔して。」
「概念って何だよ。」
「え?」
「だから。概念って何だよ。」
「いや、だからぁ。有機物や無機物の他にも、概念すら自由に創り出せるって―――」
「―――反則だろそんなのぉ!!!!」
「うるせえなあ!!!俺だってわかってんだよ、んな事ぉ!!!!自分がご都合主義過ぎる能力持ってるキャラだってこともしっかり分かってんだよぉ!!!!」
どうして逆ギレしてんだか。
・・・まあ、オレには理解できない悩みなのかもしれないな。
「・・・んで?あいつはどこに居る?」
話しの流れを戻す。
いい加減に話しを進めたいしな。
「そうだねぇ・・・あそこかな?」
そう言うと八十神は庭園の斜め上辺りを指差す。
「・・・?」
―――見えねえ。
なんも見えないんだよ。
流石に目印的な何かがあればいいんだが・・・
「もしかして見えない感じ?」
オレは躊躇いもなく即答した。
「あちゃー・・・失敗失敗。結構手間取ったからなぁ、あれは。」
「手間取ったって?」
「ああ、もうすぐわかるさ。君に喜んでほしくて考えたからね!」
八十神がそう言うと、突然何かが落ちてきたような音がした。
音が鈍くてよく分からなかったが、振り返るとすぐにそれの正体が分かった。
黒く輝く目。
その姿は、古よりずっと変わらなかったらしい。
原初的にして、もっとも親しみが深い生物。
それが―――
「―――鮫エエエエエエエエエエエエエエエエエエエェェェェェェェェ!?!?!?!?!?!?」
鮫。
この壮大でのどかな緑色があるこの庭園で、鮫。
景観をぶち壊して突如として現したその生物に、完全に意表を突かれ仰天した。
うん。絶対に冷静でいられないやつだ。
「おいどういうことだよこれぇ!!何で鮫なんか出してくるんだよ!!」
「面白いからに決まってるでしょ?それに鮫ってエンタメでは基本だしね!」
「だとしてもこの状況で出すもんじゃねえだろ!!景観ってのを分かってるのか!?」
「えーい、そんなの知らねえやーいっと!それじゃあ、定位置に着いてー!」
「おい話し聞けって・・・定位置ィ!?待て、オレは何も聞いてな―――」
話しを聞き出そうとする前に、鮫の尾びれがオレの尻に直撃した。
「いってぇ!!」
その後、オレはまったく知らない場所に飛ばされた。
いやまあ、そりゃあこんなとこで知ってる知らないもないんだが・・・
「―――何だこれぇ!!!!!」
それはどうみても、某アスレチック番組のセットのような障害物ばかりだった。
それからしばらくもせず、スピーカー越しの声が聞こえてきた。
「ハーイそれじゃー、地獄のアスレチックマラソンはーじめーるよー!!」
「―――はぁ!?」
というわけで、オレは突如として、アスレチックマラソンなるものを始めさせられた。
それがまさか、あんなことになるとはあの時のオレは知る余地もなかったのであった…




