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Enemycircular(エネミーサーキュラー)  作者: Coボレッタ
真実の花 紳
23/28

第19話 生命が交わる時 前編

どうも、3流作家です。

投稿までそれなりに待たせたこと、申し訳ございません。

ボキャブラリが貧弱な私では、この文字数・読破時間しかないことをここに賃借します。

結構展開をどうするか悩んでて、このままじゃ出せる日数に限りがあるのを悟りまして。

そんなに内容があるわけではないのに、本来まとめて出す内容を、前編後編と分けることとしましたことを、ここにお詫び申し上げます。本当に申し訳ない。

ともあれ、ここまで見てくださった皆様ならば、「大丈夫だ、問題ない」といなして読んでくれるかもしれません。本当にありがとうございます。

それでは、前置きがそこそこ長くなったことで、本編をご覧ください。

あれから、3時間ほど立っただろうか。

オレの身体はさっきより軽くなり、身体の軋みも、噓みたいになくなっていた。


「お目覚めですか、琉輝様。」


ノエルが、オレを起こす。


「まあ、さっきまで錆び付いていた身体が、噓みたいに軽くなった。ありがとう。」

「いえいえ、圧縮治療室が役に立ったなら、私も主任として誇らしいです。」


控えめながら、どこか純粋な感じで笑いかけるノエルに現を抜かすが、それはそれとしてオレは、一つの疑問点に切り込んでいった。


「さっきから、気になったんだが、その圧縮治療室って、なんだ?」

「そうですね。そこの説明をする前に、相対性理論の説明はいりますでしょうか?」


相対性理論。

確か、光は重力によって歪んだり、時間の流れに対する論文だった覚えがある。

…まあ、今になってはそこのところも曖昧なんだよな。

明確な記憶以外は思い出せないっていうか。


「まあ、大雑把には覚えてるから、別に必要ってわけじゃないな。」

「でしたら話が早くて助かります。」

「んで?圧縮治療室と、相対性理論が、どう関連性があるってわけだ?」

「結論からいいますと、ここに入った時点で、外界とは時間の流れが異なります。」

「まあ、さっきも言ってたな。外では2年くらい経ってるが、ここでは2時間ちょいしか経ってないって。」


あの時は妙に稲志田の知能指数が下がっていた気がするが、そこは置いといて。


「はい。琉輝様は5時間程治療を受けたので、外界では5年も経過していることとなります。」

「でも、それって体感時間での話だろ?それなら、今頃オレに何かしらの後遺症とかあるはずだろ。」

「琉輝様の場合ですと、今回の症状は、顔色の低下。突然の失神。そして身体の軋みや頭痛などがみられました。これらの症状から、貧血。それも、かなりのパターンに渡る貧血ですね。」

「貧血…」

「幸いにも、因子によって生成されたスキル抗体によって、血球の置換にはなっていますが、それでもヘモグロビン値は著しく低く、慢性的に症状は続くものかと。」


どうやら、思ってたよりもヤバいみたいだな。


「ですが、圧縮治療室では、外部に反重力場を展開することで、空間に反転した斥力を発生し、重力に差異を起こし…」

「簡単に頼む。」

「ようは、この部屋の重力をずらして、その分の経過時間を直接的に治療に当てるというものです。」

「うん。」


分かったような、分からないような。


「そういえば、稲志田は訓練室って言ってたな。」

「はい。体調が回復次第、訓練室に向かうようにと、お嬢様からの言い伝えです。」

「その場所って?」

「ここから真っ直ぐ行って、中央エリアへの渡り通路から、さらに中心部へ向かう先にございます。」


…………だいぶ遠く感じるな。

そう思い、軽くため息をつく。


「ご安心ください。道中の全てを向かわせることはありません。」

「……というと?」

「既に部屋の外に待機させてる者がいます。本人には直接事情を伝えてあるので、後はそのままごゆっくり。」

「はあ……」


つまりタクシー代わりの人間が、オレを連れていくってことか。

渋々、オレは治療室から出ていった。


「…………お世話になりました。」

「具合が悪くなったら、いつでも来てくださいね。」


華やかな笑顔をもらい、そのまま退出した。

そして、扉の向こうに立っていたのは。


「待ち兼ねたぞ。壱原琉輝。」


銀髪の青年―――鳴笠+だ。

そしてどこか、雰囲気が異なっているように感じた。

あの時オレを迎えに来た、穏やかな感じではなく、その雰囲気は―――


「…………!?」


衝撃的だった。

その雰囲気は、先月学園を襲った連中の主犯である、

サルガタナスの雰囲気そのものだったからだ。


「…………どうしてここにいやがる。」

思わず、そう口走った。


「―――それはどういった意図かな?壱原琉輝。」

まるで温度すら感じさせない口調で、そう返した。


「…ッ。」

言えるはずがない。

今、目の前にいるのが―――

「学園を襲った凶悪犯だってことを、確信もなく口に出せるわけがない。―――だろう?」


「…!?」

何故、オレの考えていることが分かるんだ!?


「私にはもう一つの異能力(スキル)がある。他人の精神に介入出来る、精神(マインド・イン)介入(ヴェーション)というものだ。」

「二つのスキル…だと!?」


とても有り得ない話だ。

ただでさえスキルを行使するのにマナの消費が激しいというのに、それを二つも持っているだなんて!

可能性としては非常に低い話ではあるが、この不可能を可能にするなら―――


「世界でも有数レベルの都市伝説である、複合異(マルチスキル)能力者(プレイヤー)でもなければ有り得ない・・・だろう?」


やっぱり、考えを読まれている!?

何もかもお見通し…それに、インヴェーションとあるように、オレの記憶の改竄すら可能なら。


―――ある意味覚吏以上に恐ろしいかもな、サルガタナス・・・!


『ここで、マルチスキルプレイヤーについて説明しよう!マルチスキルプレイヤーを説明する前に、エネミー因子のあれこれとは何かを解説しようではないか!人体に宿るエネミー因子には、特徴的な波長が存在する!スキルとは即ち、この波長から生まれるものなのだ!!そして、この波長が人体に影響を及ぼすことで、千種万別の異能を振るえるんDA☆

そしてマルチスキルプレイヤーとは、その波長を2つ以上持ち合わせている人種のことで、これによって、多くのスキルを扱えるんDA☆

でもその代わりに寿命が圧倒的に短いので、存在自体が都市伝説とされる理由なんDA☆

以上、八十神磊徒がお送り致しました!!』

『―――あっ、まだまだ出番はあるから、引き続きよろしく!

・・・作者君は友人を編集者として、文面をチェックしてもらう方がいいと思う。誤字をわざわざ直すのだって大変なんだぜ?僕/私が言うんだから間違いない!』


「…お嬢様から訓練室に誘われているのだろう?」

「ああ。」


どんな関係性になろうとも、今は稲志田と同じ住人。

つまるところ、オレの仲間だといっても過言ではない。

…………ないのだが、このやるせなさよ。


「お前はエリクシール完成の協力。それに我々にオーバーロードの対処法を身をもって享受させた。この恩を返すためには、お前をお嬢様の元に送り届けることだ。」


稲志田への忠誠心は厚いな…

だが、オレはどうしても聞きたいことがある。


「…………なぁ。一つだけ聞いてもいいか?」

「私が答えられる範囲ならばなんでも。」

「エリクシールって、なんなんだ?」

「簡単に言えば、ELoの再臨に必要な物だ。」

「またエルか…そのエルってのはなんだ?」

「我等の神祖たるEternal Locking one。原初の霊魂にして永遠の象徴。それがEloだ。」

「エターナルロッキングワン…………それがエリクシールと関係するのか?」

「言っただろう。永遠の象徴、それがELoだと。エリクシール…いや、エリクサーと呼ぼう。その方が通りがいいはずだ。」


…どっちも似たようなもんだけどな。

不老不死を齎すとされるエリクサー。それがオレから採れるってことは、何かしら役割があるとでも言うのか?


「エリクサーの効能は、あらゆる害に対し耐性を得るという、まさに不老不死を齎し卑金属を黄金に変えうる伝承に恥じぬものだろう?」

「それがオレから取れたんだろう?なら上々じゃないか。」

「―――それこそが嬉しい誤算だ。壱原琉輝。」

「…………は?」

「本来ならば、あの場で多くの命を奪いそのアルマから錬成しようと思ったのだが、貴様の指のみで、エリクサーは完成された状態で生成された。我々も予想だにしなかった、嬉しい誤算だよ。」

「くっ…!」

「それにしても。―――一つだけと言いながら、Eloについても聞いてしまうとは。

アハハハハ!やはり()には見所がある!!

お嬢様が貴様を推薦した理由が明確になったさ!アハハハハ!!!」


そう言い、温度すら感じなかったはずのサルガタナスが、感情を表に出して笑い出した。

とても不気味だ。これ以上ない怪談話はきっとないだろう。

―――感情の温度すら感じない殺人鬼が、突然感情を剝き出しにして大笑いしたんだからな。


「・・・ともあれ、ブエルから話は聞いてる。お前の()()もな。」

「・・・?」


容態?

オレに悪いとこなんてあったか?


「・・・まあその話は置いといて、お前には無理はさせられない。」

「・・・そこんとこ考慮してくれてるのは嬉しいんだが―――」

「そこでお前のためにこれを用意した。これを見るがいい。」


そこにあったのは、十字架が張り付けられた、ショベルのないショベルカーにしか見えなかった。


「・・・これは?」

「なあに気にするな。お前に楽させるために用意したのだからな。急ピッチで。」

「急ピッチって、こんな手の込んだ公開処刑器具を作れるもんなのか!?」

「まあ普通に時間は掛かるな。何しろ開発に2年かけたからな。」


急ピッチの概念が崩れ去った気がするのはオレだけか?

ご丁寧に枷とか付いてるし。

あと気になったのはかごみたいなヘルメットだ。

あれ絶対ロクなもんじゃないだろ。


「まあとにかく上がれ。後はゆっくりしていけ。」

「……………。」


オレはもう何も言わず、十字架に張り付けになった。


「それでいい。大人しくしてくれたのは高評価だ。」

「どーも。」

「それじゃ、すこしビックリするぞ。」


そう言うと、目の前に網目が降りてきた。

…………まあ、どうせこんなこったろうと―――


「―――おやすみ、琉輝。」


そう聞こえた直後、頭から激しい電流が流れ、瞬く間に眠りについた。


「…ッ。」


気が付くとだだっ広い空間に転がっていた。

天井も異様に高く、よく見れば中央にガラスで分断されてある。

よく見れば誰かが倒れているのが見える。

黒髪の女性。―――それが稲志田だと気付くには、多少の時間がかかった。


「…………ここが訓練室なのか?」


それっぽいと言えばそうだが、いくらなんでもあっさりとしたものだ。


しかし。


規模だけで見れば、どんなスポーツでも出来てしまいそうな敷地に、わざわざガラスを設置する必要があるのか?


「…………指定位置に配置した。後は任せる。」

「だってよ、トレアちゃん。判断は任せるぜ。」

「サルガタナス、サタナキア。今までご苦労様です。我々の計画は完遂間近。気を抜かず遂行しましょう。」

「了解だ、アガリアレプト。既に幼体のDNAサンプルは入手した。後はネビロス様に献上するだけだ。」

「手際がいいねぇサルガタナスゥ。俺たちはのんびりするとしよう。」


銀髪の青年と赤髪の青年。そして紫色の髪の女性が、はるか上の制御室に居た。

サルガタナスの手には黒髪が握られ、厳重に保存されている。


「さて、そろそろか。」

「―――幼体の意識が覚醒しました。」

「音声と映像を。」

「はっ!」


―――そして、この時に定められた。

星々の意思の化身が、この世界線にて交わるその時を。

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