第17話 いざいかん、新宿へ。
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ここから物語が加速していき、なろうでしか見られないストーリーとなっておりますので、どうかご愛読していただければ嬉しいです!
「明けましておめでとうだな。琉輝くん。」
「ああ、明けましておめでとう。稲志田。」
あの事件からはや一ヶ月。
新年の抱負を定めるため、オレたちは五方山熊野神社に来ていた。
かの陰陽師、安倍晴明をルーツとした、イザナミ神を祭神として祀る歴史ある神社は、葛飾区屈指の名所でありパワースポットでもある。
この異能世界でもなお信奉されているこの神社は、非常に縁起がいいとされていて、特に縁結びについての都市伝説として、【新年の抱負を納めた番いは、魂までその縁が約束されている】と言い伝えられている。
所詮都市伝説ではあるが、奇妙な巡り合わせであるにも関わらず、こうして新年を迎えられたのは、きっと真実なんだろうな。
「ねえ、今年の抱負を聞かせてくれないかな。」
「・・・まあ、少しだけなら。」
「うん。」
「・・・今年は、オレにとって素晴らしいものでありますように。かな?」
少し気恥ずかしくも、オレは稲志田にそう言った。
「・・・なあんだ。私と一緒か。」
「そうなのか?」
「うん。今年は素晴らしい一年でありますようにって。」
そう言った後、オレと稲志田は嬉しさがこぼれて笑いを生み出した。
お互いに同じ抱負を持つのが、なんだかあったかく感じたからだ。
「あ、そうだ。私ね、琉輝くんに言いたいことがあったんだった。」
「どうした?オレに何かようか?」
そう言い、稲志田は空気を吸い、高らかに言った。
「―――率直に言います!私の家で働いてみませんか!!」
「……は?」
「ああ、まだ実家の住所言ってなかったよね。うん。」
「そういう問題じゃねえ。稲志田の実家?どういう風の吹き回しだ?」
「新宿って、知ってるよね。魔術課の近くに実家があるんだけど…」
「人の話を聞け!!てか、新宿!?魔術課ァ!?」
「うん。そこの近くに実家があるの。」
新宿。この異能世界では、【異能学術都市・新宿】として名を連ねている、れっきとした世界的学園都市である。
特に、新宿に本部を構えている魔術課は世界でも数本の指に並ぶ研究機関としても有名で、あの生体医学の権威とされた【DEMON社】の支社があると言う噂すらあるヤバいところだ。
その近くが稲志田の実家だぁ!?
「・・・ホントか?」
「そうだよ。現魔術課長で現官房長官でもある稲志田音尋が、私のパパ…もとい!お父様だからね!」
「い、稲志田…音尋…!?」
稲志田音尋。多くの派閥抗争が当たり前だった当時の魔術課をまとめ上げた稀代の天才にして、官房長官を兼任する日本の実質的なトップ。
その活躍は多くて表現しきれないが、各行政機関のトップが困った時のご意見番として知恵を貸し、世界的名誉とされる多くの賞状を受賞したなど、日本が誇る英雄として有名なあの稲志田音尋の娘が、今オレの目の前にいる稲志田奈々張本人だとぉ!?!?
「も…」
「も?」
「申し訳ありません!!そんな偉大な御方のご子息とは今までにはつゆ知らず、こんな私のような汚らわしき極悪人が、軽薄を通り越して慇懃無礼な行いをしてしまい誠に申し訳ございません!!」
「ふえぇ!?いいんだよ琉輝くん、そんな畏まらなくて!」
「これまでの数々の無礼、拭いきれるか分かりませんが、今この時をもって、我が首頭を貴女に捧げることで、その償いとさせて頂きます!!」
その時琉輝くんの手が、鋭い刀のようになった。
「ストップストーップ!やり過ぎだよ!そこまでしなくてもいいから~!」
「しかし、オレなんかのような薄汚い悪人が、貴女のような高貴な御方と対等に過ごしてきたなんて、関係者から抹殺されても不思議じゃない。ならばここで―――」
「だーかーらー!!今まで通りでいいんだよぉ!!恥ずかしくなってくるからやーめーてーぇ!!」
「…普通にしてもいいのか?」
「ぜーんぜんOK!なんなら、学校に入る時もそう言っておいたから!普通の人間として接してもいいって言ったから!!」
周囲のざわめく声を耳にし、静かに呼吸を整えた後、周りに一礼をしてその場を後にした。
「あー……そうだな……ッスー。( ´ー`)フゥー...こういうの、慣れないな。」
「ま、まあ私もデリカシーに欠けた発言だったかなーとは思ってるよ。うん。」
「魔術課、官房長官、新宿……どれも耳を疑ったが、ホントなのか?」
「全部真実。一切の偽りなし!」
「…じゃあ信じよう。それで?具体的には何をすればいい?」
そして、オレは稲志田に具体的な内容を聞いた。
「簡単なことだよ。住み込みで執事として働くだけ。後はいつも通りにやっていいよ。」
「……思ったよりシンプルだな。いつも通り…ってどういうことだ?」
「ほら、寮でいつも洗濯掃除食事の準備とかしてるでしょ?」
「まあな。」
「それを、私んちでやるだけ!ね、いつも通りでしょ?」
「いやまあ確かにそうなんだが、それって葛飾から新宿に引っ越すってことだろ?」
「それも心配ご無用!しっかりと連絡して許可も取ってあるのだ!」
「許可って誰から?」
「社長に景虎さん、それに厳一朗さんにもかな?」
速攻で許可しそうな奴らのフルコースじゃねぇか。
「…まあそれなら。」
なんというか、もうここまで来たら逃げられないんだろうなって。
「よっしゃあ!それじゃ、迎えの車の連絡するから、一旦寮に戻ろう!」
そしてそのまま、オレたちは寮に戻り―――
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「こうして、オレは稲志田んちで住み込みの執事として働くことになりました。」
「うわーんおにいちゃーん!!離れるのさびしいですー!!」
「泣くなよ、ティアちゃん!オデだっで、グズ、ぜんばいど離れるなんで、グズッ、寂しいにぎまっでるっでぃ…ウグ。」
「おい星屑、そんなになぐもんじゃない、じっがりど、りゅうぎを見送るんだ、えっぐ…」
「いや、オレへの依存率高過ぎだろ!!少しは自立しろお前ら!!」
「なぁに心配することはないさ、リュウ。」
「覚吏…」
「いざとなったらわたしがレストランに連れてくから安心しな。」
「その発言のどこに安心出来る要素があるんだよ!!不安しかねえわボケナスがゴラァ!!」
「ああ、このツッコミも聞けなくなると思うとやっぱし寂しいなぁ…あれ?わたしそんな激しい運動をした覚えないのに、こんなに汗をかくなんておかしいなぁ…しかも目からすっげぇ出て来る。どうしちゃったんだわたしの身体…」
「お前は泣いてるんだよ!!!つかてめぇら自立能力0か!!!」
もはや呆れてすぐにでも出て行ってやろうかと思ったその矢先―――
「琉輝くん。」
「はい。」
景虎さんがオレを引き留めた。
「私は君を止めることはしない。悔いのない選択だと信じているからだ。」
「景虎さん...」
「―――旅立つ君に幸あれ。」
「…はい!」
そう言った後、チャイム音が聞こえた。
「失礼いたします。ここに壱原琉輝様はご在宅でしょうか?」
チャイム音に続いて、扉越しに誰かがそう言った。
「迎えか……?ちょっと出て来る。」
ドアを開けた先に、一人の青年が立っていた。
「失礼いたします。壱原琉輝様ですか?」
「あ、はい…オレが壱原ですが…」
「お待たせいたしました。奈々お嬢様のご命令で、お迎えに上がりました。」
「あ、そりゃどうも…」
「出立の準備は出来ましたか?」
「ま、まあ出来てますけど…」
「それでは私が先行しますので、琉輝様は後に続けてお向かい下さい。」
「はあ…んじゃ行ってくる。」
「おにーちゃーん!!!」「せんぱーい!!!!」「りゅうきー!!!」
「見送る時くらい静かに出来んのかあいつらは(#^ω^)」
そして着いて行った先に見えたのは―――
「おぉ…」
コンパクトながらも、機能性に溢れた高級車だった。
「ヘーイカレシ!乗ってかない?」
そこの窓から顔を出したのは、本当にこんな高級車とは釣り合わない態度を取った稲志田であった。
「お嬢様…行動には気を付けてとあれ程言ったではありませんか。どうしてその様な態度を。」
「ま、緊張はほぐれるかなって。プラスん、スマイルも大事だぜ?」
「人前でその様な―――いえ、乗ってからしっかり言わせてもらいます。さあ琉輝様。どうぞ車内へ。」
「あ、はい…」
新たな舞台、新宿での活動は車に乗るだけでもこの始末。
こんな、波乱に満ちた稲志田家でのお家騒動はどうなることやら。
それはオレが知るわけでもなく、全ては神のみぞ知るというところか。
最後はパロディと言っていいんですかね^^;
ともかく、ここまで読んでくださった皆さんには本当に感謝です!よければ感想や評価を、コメントして頂けるだけでも嬉しいです!
それでは、ご愛読ありがとうございました!




