2校トーナメント戦③
シズの快撃から、5分が経過した今でもまだ会場の喝采は続いている。
これは、プレッシャー半端ないな。
俺の頬に冷や汗が垂れる。
「楓守が勝ったら、そこでもう終わり」
「そうだけど・・・・」
「大丈夫。絶対に勝てる。楓守は、誰よりも強い」
手を取り、シズが励ましてくれる。
優しい妹で良かった。
比べて、俺の師匠兼姉のようなメイは、これはこれは性格が悪いことで、困っていたものだ。
「分かった、ここで終わらせる。酒木君」
「はい、兄貴」
「酒木君の出番は、回ってこないと思うよ」
カッコいい、宣言をしてみる。
やってから思ったが、けっこう気持ち悪かったかも。
「やっちゃってください!」
何かやけに必死な返しだな。
・・・・・! 分かった!
「さては、会場で鳥化見せたくないんだな」
「!? 何故それを・・・!」
図星だな。
能力としては、強いんだから恥じることないのに。
そんなんだったら、成長しないぞ!
俺が、酒木君の鳥化のことをいじっている時、
「1年生代表の部、第2回戦の選手は準備をしてください」
アナウンスが流れた。
こんな風にアナウンスされると、余計に緊張するから止めて欲しいわー。
「行ってらっしゃい」
「絶対に勝ってきてくださいね!」
2人の声に押されながら、俺は会場の真ん中に足を進めた。
「ではこれより、1年生代表の部、2回戦。国上、佐々木海人 対 羽愞、古谷楓守の試合を始めます。双方、向き合ってください」
審判に指示に従い、双方向き合う。
けっこうな迫力があるな。
服を着ていても分かる筋肉の隆起。日頃から、筋肉トレーニングをしていることが見受けられる。
身長は、俺と同じくらいか。
持久戦に持ち込んだら、俺の体力が先に尽きることは明白だ。
だから、すぐに終わらせる!!
「では、始め!!」
審判は、上に挙げた手を勢いよく振り下ろす。
やはり、国上はいきなり特攻か。
地面を抉りながら、こちらに走ってくる。
見切れるか、これ。
眼を中心的に活性化をかける。
「死ねぇぇー!!」
野蛮だな。怖い怖い。
そんな力任せの攻撃、見え見えだよ。
正直、眼に活性化をしなくてもよかったかも。
「そのまま返す!」
飛び込んできた相手の勢いを利用して、心窩に活性化した拳を見舞う。
これでどうだ!
「おあぁぁぁーー!!」
あまりの衝撃に、腹を押さえてのたうち回る。
やりすぎたはないよな。
あっちもあっちで鍛えてるし。
「おぁぁー!!ギ、ギブ。ギブ・・・・」
「えっ、ああ。試合終了!!国上、佐々木選手のギブアップによって羽愞、古谷楓守選手の勝利!!これによって、1年生代表の部羽愞の勝利が決定しました!」
?
一撃だけだよ?本気じゃないし。
国上のレベルが、落ちた?
「羽愞!羽愞!羽愞!羽愞!・・・・・」
今度は、羽愞コールかよ。
嬉しいは嬉しいけど、顔が赤くなっちゃうよ。
結果楓守は、本気を出さずに勝ってしまった。
何か、申し訳ない・・・・。
2人の方に視線を向けると、
「やった~~!!」
「よっしゃーーーーーーーー!!!!」
笑顔で喜んでいた。
まあ、約1名が異常に喜んでいたのは、見なかったことにしておこう。
2校トーナメント戦④につづく




