VP、休日に街へ出る③
シズが、この学校に転校してきてからだが、時が過ぎるに連れ、本当の妹のように見える。
甘えてくるし、スキンシップも多いし。
シズがそんな風に接してくるなら、俺も兄のように接しないとな。
「今日、どこか一緒に出掛けるか?」
「いいの!?」
2段ベッドの上から、嬉しそうに身を乗り出す。
シャツがたるんで、アレが見えるから止めなさい!
「する事ないしな」
「じゃあさ、食べ歩きしに行こうよ!」
1人で「レッツ、ゴー!」と叫んで、行く気満々だ。
かわいい奴だな。
「いいよ。今から行く?」
「今、すぐ!」
いい返事だ!
お兄ちゃんも、楽しみになってきたぞ。
「レッツ、ゴーー!!」
2人で腕を上げて叫んでいる様子は、傍から見たら親と子供、または兄妹のように見えた。
ちなみに、他の3人は訓練に励むようだ。
偉いな、俺と違って。
俺たちは、スキップ気分で街に向かった。
・・・・。
同じショッピングモールか。
俺たちが向かった所は、この前シビーと行ったばかりのショッピングモールだった。
「ふうま~、元気ない?」
ヤバい!悟られた。
ポジティブシンキングだ、俺。
この前シビーと行ったのは、服屋だけだ。
だから、まだまだ行ったことのない店がある。
そうだ、この考えが正しい。
「全然。元気いっぱいだよ」
俺の筋肉を見ろ!の時に使うポーズで元気をアピールする。
こんな所で恥ずかしいけど。
「良かった。さあ、行こう行こう!」
手を引かれるままに、連れてこられたのは、
「アイスクリーム!」
アイスクリームの専門店だ。
女性は、甘いものが好き。
これは、鉄則のようなものだな。
「何にしますか?当店のおすすめは、チョコアイスクリームです」
チョコは、ちょっと苦手だな。
甘すぎるのは、頭が痛くなるからな。
「私はチョコアイスクリームで。楓守は?」
無難で行くか。
「じゃあ、俺はバニラアイスクリームで」
「かしこまりました。2分ほどお待ちください」
1分30秒くらい待っていると、すぐに手元にアイスがきた。
俺たちは、溶けたら困るのでベンチに座って食べることにした。
俺は、心の中でツッコんだ。
食べ歩きちゃうやん!!
まあ、そんなこと本人に言えるはずもなく、モクモクと食べていると、
「交換しよう」
語尾を上げて、可愛くおねだりしてきた。
「俺は良いけど、シズはいいのか?」
交換したら、間接キッスになるわけだから一応の確認だ。
「バニラ食べたい~」
あっ、これは何にも考えてないな。
妹だから許せるけど。
『妹』だからね!
「はいはい」
仕方なく、仕方なく交換をする。
分かってるか!仕方なくだぞ!
「おいしい~。楓守のバニラ、甘くておいしい」
おい!
爆弾発言やめろ!
今はこの周りのベンチに誰もいないけど、居たらどうするんだ?
シズは、無垢な女の子だから兄として寛大に許すけど、ワザと言ってるんだったら犯罪に近いものだからなそれは!
よく覚えとけよ。特に、ミク先生。
「完食~!」
両手を上にあげて、喜ぶ。
「シズ、口の周りチョコで汚れてるぞ」
俺は、妹には恥をかかせたくない。
単純に、かわいそうだから。
「拭いて~」
甘えん坊さんですね。
ポケットから、きれいなハンカチを取り出して口の周りを拭いてあげる。
「んぐ:*>‘ぞぉ」
拭いてる手が振動するから、喋らないで。
「プハー!」
よし、これできれいになった。
チョコ唇から、ピンク色のきれいな唇に戻る。
「ありがとう!」
「どういたしまして。それで、次はどこに行く?」
「ん~~、まだ決まってない!」
ガクッ!
ベンチから落ちそうになったが、ギリギリ耐える。
「じゃあ、探そうか」
そして、俺たちは新たな店を目指して、歩き始めた。
ⅤP、休日に街へ出る④につづく




