ギャルJK女神との、よくある異世界行く前の会話
よくあるやつっぽい
光の中に包まれている中で、誰かが呼ぶ声がする
俺はそっと目を開く
「・・・・はぁい!元気かしら?」
俺はそっと目を閉じる
「ちょちょ!!なんで!目を閉じるの!」
わずらわしく目を開けて、この方向性の間違えたような姿の、ギャルJKっぽい服装の茶髪の、結構カワイイ、たぶん女神様に向かって、言う
「それで、俺が飛ばされる先の世界を統べる女神様、何の話があるんだい」
「なんでそれを理解してるのよ」
私の正体を晒してビックリする顔が見たかったのに、と女神はついでにぼやいた
でも、そういうのいらない
はっきり言ってめんどい
「それで何の用だ」
女神らしきギャルは、ううん、と頭を押さえながら話し出す
「気がそがれたし、いろいろ気になることがあるけど、まぁ、説明してあげる。まず、あなたは救国の英雄として、召喚されているの。しかも、今、国は危機に瀕している。ほかの国や魔人、魔王の侵略を受けつつあるのよ。その状況を打破するために」
「俺が呼ばれたか」
「そう。いきなりで申し訳ないけど、救国のために戦ってくれない?」
ギャルJKはウィンクしながら可愛らしく頼んでくる
あざとい、が、カワイイ
いや、それとこれと話が別だ
「その国に何か思い入れがあるのか、世界を統べる女神様とやら?」
「・・・いや、世界のパワーバランス的に?いま、その国に潰れられると、私の世界経営にも悪影響が出るし、せっかくいい感じで回りだした世界を荒廃させるのもよくないかなとかそんな感じで」
「雑だな!・・・ほんとにそれだけか?」
ギャルJKは、微笑みを張り付けている
だが、目の奥が少ししか笑っていない
「あらかた、ひまつぶしか、起爆剤代わりだろ。神ってのはいつも興に飢えてるからな」
ギャルJKは参ったとばかりに手を挙げる
「あんたが何でそんなに神に詳しいのか、分からないけど、実際はその通り、ひまつぶしみたいなものよ。だって、神は暇なのよ!?」
「はぁ、そうですか、、、」
実際知ったことではない
「それで暇つぶしになんで、俺が召喚とか、そんな話になるんだ」
それがね、と女神は顔色を少し変える
「実は呼び出そうとしたのは、わたしではなく、あなたがこれから行くことになる、帝国の魔法騎士団なのよ。」
「ああ、なるほど。最初からあんたが俺の事、呼んだわけじゃないのか」
「あんたってねぇ、わたしは一応女神な」
「そんで、呼び出そうとしたってのは?」
「話聞けよ。えーとね・・・その国では、禁術とされる魔術を多数同時詠唱して、あなたを呼び出したの。魔法騎士団、というよりも、一人の少女が」
「ア?」
「そんな怖い顔しないでよ」
しかし、これには理由がある
魔法とは、恐らくどの次元であっても、人為的な作用、または自然的変化を発生させる
だが、それには
「その少女は・・・代償に何を払った・・・?」
代償がいるのである
それは大きければ大きいほど、魔法の使用範囲も広がるし、効果も大きくなる
そしてそれは大きくなくても、使用者に大事なモノであればあるほど、その効果が増える
つまり、もっとも、禁忌であり最大の魔法であるといわれる召喚術、死の呪文などは、たいがいに、自分の命を差し出すときもあるのだ。
女神は、少し顔を落とし、言った
「それが、その子の親が死ぬ寸前に親自らの命を代償に、その子に魔法を起動させたのよ。そして、その親が死ぬ理由になったのは、反乱と戦争、そして他国の侵略からの、犠牲だった。でも、そこまでしても、召喚には事足りなかった。」
つまり、少女は命は出していないのか
「じゃあ、その子は生きてるんだな・・・・それで、あんたが、手を貸したのか」
「ま、まぁ、暇つぶしがてらね?別に慈善事業とか、人間に憐みを覚えたわけじゃないから」
それで、目の奥が少し笑わせていたのか
少し、見直した
「ア!今少し、見直したなって顔したでしょ!私にはわかるわ!」
やっぱ訂正する、こいつは見直さない
「さて、それで、無残にも命を落とした親のために、その子の無念でも晴らそうってことかい?いやに、私情が挟まれてるな、こっちの事情を考えてくれなかったのか」
「それはほんとごめんチャイ☆」
「アホ顔晒すな一応神だろ」
「やめてアホ面って言わないで・・一応じゃなくて神だから・・・・・まぁ、そこについては、ちゃんと、あなたが呼び出された理由である「救国の英雄」になることができれば、もといた世界に戻すわ」
「約束だぞ・・・だいたい、なんで俺なんだよ」
俺は本気でにらみつける
女神はなんでかしらね、たまたまなのよ、と少したじろいだ
あ、これ本気で運悪かった奴かな、と俺は膝をつきそうになった
がっくりをした俺を慰めるように女神はフォローを始める
「ま、まぁ、ええ、ではお詫びと言ってはなんだけど、あなたに能力を一つ授けるわ。何の能力がイイ?例えば、水を操るだとか、炎を操るだとか。最高の魔法使いになれる能力とか、いろいろあるわよ」
「いらん」
「え?」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔
本日何回目だよ、飽きるわ
女神が世界最高のアホ面を晒しているのを見るのも楽しかったが、俺はもう一度言う
「いらん」
「はぁ!?て、手ぶらで、転移する気!?あ、あなた前にいた世界の時の職業は!?魔法使いとか戦士とかでもやっていたの?」
「羊飼い」
「ひ、羊飼い!?あんた、何考えてるのよ!?」
「まぁ、いいだろう。早く転移させてくれ」
「死ぬ気なのかしら・・・ま、まぁ・・いいや・・はぁ・・・ええ、最後にもう一つ。あなた何でそんなに、異世界への移転、慣れている感じなの?それに、私が女神だってことも知っていたし!」
俺は心底めんどくさそうにこう話した
「いろいろ気になることあるんだろう?」
「うん!」
「教えて欲しいのか?」
「うん!」
かわいい、この女神めっちゃ可愛い
本当のことを話したくなるくらい、かわいい
だが、俺はこういう時にベラベラしゃべってもいいことはないと知っている
体は転移の光に包まれだた
そろそろ消えるころあいになってからようやく、このかわいい女神に言った
「神さえも知らぬ秘密ぐらい、人間には一つ二つあるのさ」
「な、なにを」
そう女神が言いかけているころには、俺は異世界に転移していた