プロローグ 「始まり」
ピピピ…ピピピピ…ピピピピ…。
スマホの電子音が部屋の中で鳴り響く。画面には朝7時と表示されている。
オレは今まで閉じていた目を開く。
途端に、鼻にスーッと透き通った空気が流れ込む。空気が乾燥しているため、喉も少し痛い。
正直、ベッドからは抜け出したくない。
だが、オレはベッドという天国のような場所から体を起こし、朝の支度を始める。
しかし、ベッドから、起き上がるも、周りには誰もいない。家にもオレ以外、誰もいないのだ。
無論、母親は存在しているが、いつもパチンコに行っていてほとんど家にいない。父親はもう既に他界している。
本来なら、オレは母親からDVを毎日受けているという流れになるのだろうが、
オレは違う。〝母親が自分の息子に興味すらないのだ。”正直、俺も〝母親になど興味がない”。
オレは朝の支度を終え、ランドセルを背負い、家を出て、鍵を閉める。
外に出ると、寒さでブルブルっと、体が震える。
まだ、太陽が昇って一時間と半分しか経っていない。
オレも家でゆっくり本でも読みながら、太陽が一番高いところへ昇った時間に外に出たいのだが、そんな悠長なことは言っていられない。
オレも職業は学生という身なので、学校に登校しなければならない。
勿論、学校では欠席や遅刻などの出席確認も行われるため、遅刻しないために急いで学校に向かわなければならない。
それに、オレはみんなに会わなければならない。
そう考え、歩き始めると、後ろから強烈なタックルが来た。その後ろから、ランドセルを背負った2人が走ってやってくる。
「おい、待てよ。置いてくなよ。カズ~」
ちなみに、今タックルしてきた奴は川村元気。ゲンちゃんと呼ばれている。服装はポロシャツに短パン(周りはみんな長袖、長ズボン。)で、髪の色は黒。いつも元気がよく、行動からしてバカそうだが全国模試はオレと一点差で全国第二位の称号を持っている。学力でもオレと十分タメを張る。実は、オレが初めて自分から作った友人でもある。
「ちょっと、ゲンちゃん。ハア・・あって早々・・・タックルは・・ないんじゃない・・・ハアハア」
ちょっと走っただけで息の上がっているこいつは沢波桃子。髪の色は茶色。ショートカットが特徴の女子。モモと呼ばれている。天然なところがあるが、根はしっかりとしていて、なぜかわからないが、いつもオレにくっついてくる。
自分の信念は曲げないタイプで、一度決めると、他が「嫌だ。」と言っても全く聞かず、何が何でも、実行しようとする。
この前なんか、いきなりカメラを片手に、猫耳を差し出してきた。
「モモ だいぶ息上がってるけど、大丈夫?」
この心配性のやつは斉木ユウマ。ユウマと呼ばれている。メガネをかけていて、
ここまで聞くと、真面目そうだが結構なバカである。髪の色は何故か金髪。
でも、ユウマは周りをいつも気にかけてくれている。時には暴力的な手段に出ようとも、オレらを助けてくれるのだ。
「集合場所って俺の家だったけ?」
最後にオレ。河合 一輝 カズクンとみんなは呼ぶ。
全国模試1位。ただ運動は底々。
なぜか、モモにいつも絡まれて、少々うんざりしているものの、こうやって友達と一緒に居る時間が一番幸せだ。
「いやだな~カズクン。いつもこの一本先の交差点だよ~。」
当たり前のように言っているが、モモの間違いだ。
それを、真面目そうな顔で言うあたり、将来は、役者に向いているのではないだろうか。
「いや、2年前からカズの家の前に移動したけど。」
ゲンちゃんが申し訳なさそうに事実を言うと、えっそうなの?という顔をして他3名がきょとんとする。
結局、全員天然さんなのだ。
「いや、いい加減覚えてくれよ!!」
ゲンちゃんの心の悲痛が町中に鳴り響いた。
一人だけまともな奴がいたとしても、この場ではそれが、まともではない。と判断されてしまうのだ!
そんな四人はゆっくりとした足取りで、学校へ向かう。
はじめまして 筆者の西田東吾です。
私事ですがこの作品がデビュー作だったりします。
この物語は、本当は動画投稿者の話なのですが、
私があとがきを書いているこの状況では一切動画投稿の『ど』文字も出てきておりませんw。
(1章から本格的に出していきます。)
なぜ動画投稿者なのかというと、自分がなんか物語を書きたいな~程度に思っていたら、そういえば、動画投稿者の物語って見たことないな...。と思いつきで物語を発展させていったのがこの作品なのです。
思わぬところからネタは出てくるものですね。
では、こんな形で今回は終わらせていただきたいと思います。
また次回のあとがきでお逢いしましょう。
2017/7/6追記。
加筆編集しました。
様々な部分を加筆したのですが、できるだけ当時のカズ達の雰囲気を維持するように話を進めてみました。