甘い香 3
ドンドンドン。
「大丈夫か?リンツ!」
ザットの声だ。
・・・シュース恨むからな。
手を交差し肩ににかけ体をさらにギュッと抱きしめる。
すでに体が熱く、頭がふわふわしている状態で、ザットに会うのは本当に嫌だ。
大丈夫だと声を出す気さえしない。
このままやり過ごせばいい、早く帰ってくれ。
何度目かの問いかけが途切れたので、帰ったのかと安堵していたら、
「入るぞ。」
鍵がかかっているので入れるわけがない。
そんな思いと裏腹にまさかの出来事がおきた。
カチャ
『!!』
扉が開く音がした、心臓が飛び跳ねる。
嘘だ、鍵を開けたのか。シュースがまさか渡した?
本当に許さないからな!
声にならない怒りを感じながら、足音が近づいてくる、
逃げなければならないと体にかけていた毛布をはいで立ち上がった。
慌てたせいか足元がよろめき倒れそうになる。
しまったと思った時、目の前に両腕がのびてきて
気付いたら体を胸で受け止められていた。
「危機一髪だったな。・・それにしてもこの家全体甘い香がする。」
「離せ。」
顔は上げずに胸に向けて言い放つ。
ザットはさらに背中に腕を回し、私を抱きしめてきた。
「お前からするんだなこの甘い香。」
「!」
嫌だ、嫌だ、嫌だ。
敏感になっている体なのに、さらに密着された事で
ザットがふれている部分だけさらに熱くなってくる。
それにザットから人間の雄を感じる。私にとって魅惑的な甘い香もする。
同性なのにどうしてこんなに感じてしまうのか。
離して欲しい、じゃないと理性が持たない。
こんな姿見られたくなかったと思ったら、涙が自然と目元に集まりだした。
「体がどんどん熱くなってくぞ。毛布がこんな所に、まさかずっとここにいたのか?
ベッドで寝てた方が良かったのに。」
抗議しようと、涙であふれている顔を上げた。
「どうしたんだ?辛いのか?それとも泣くほど俺が嫌なのか?」
すごく悲しい顔ををしていた。慌てて首を横に振る。
「違う・・、こんなの私じゃない・・から、こんなはしたない姿・・
んっ・・、駄目、離して・・、おかしくなるから・・・。」
「ま、まさか、これって発情してるのか!!」
ザットが目を大きくして、私を見る。
しまった気づかれた。この状態で何を言っても駄目だろう。
甘い香が私の体中に染み込んでくる。この男の支配下になってしまう。
「ザットから・・甘い香がして・・変に体が熱くなって・・抱きしめないで、
ふっ・・ああっ・・・このままで、違う・・・たまらない・・ダメ・・。」
頭がもうろうとしてきた。もっと抱きしめて欲しい、このまま香を堪能したい。
欲情した私を見て欲しい。こんな淫らな妖精を。
「妖精には発情期があると聞いていたが、こんな風になるのか。」
そう、もうどうにでもなればいい。ザットの好きにすればいい。
私も望んでいるんだ。だったらいい。そうだ。
「んんん・・あっはぁ・・いいよ。ザット・・・ねぇ・・・。」
見つめるザットは困った顔をしていた。何故?
「今のお前を抱いても何も嬉しくない。その言葉はいつものリンツが言ってくれれば
すごい嬉しいんだけど、本当に今じゃない。ベッドに運ぶぞ。」
紳士なんだな、紳士すぎて涙がさらに出るよ。
この香に包まれていたいのに。
もう考えられない。起きたらまた文句を言おう。お前なんか・・・・・・。
続く




