表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

〈あやね〉

〈あやね〉


 くまみたいに大きい知らないおじちゃんは、私たちに近づいてきて、

本物の熊みたいに大きな手で私たちの頭をなでながら、

「一緒においで」

と言った。

私とことねちゃんは、いつものように手をつないで、

くまのおじちゃんにくっついてトントンと階段を下りた。

くまのおじちゃんは、最後の階段で急に止まったから、

私とことねちゃんは、くまのおじちゃんの背中に頭をぶつけた。

くまのおじちゃんは、熊みたいにおっきいから、

前は何にも見えなかった。

わたしはくまのおじちゃんの左後ろから前を一生懸命のぞいて、

信ちゃんを探した。

信ちゃんは真っ赤なバラの花束を右手にもったまま、

朝ごはんを食べていたときよりも、

もっとボケーッとした顔で玄関に突っ立っていた。



     プレゼントだ!



 おんなじようにくまのおじちゃんの右後ろから覗き込んでいたことねちゃんと、

くまのおじちゃんに隠れて、信ちゃんに見えないように握手をした。

 

 信ちゃんはちゃんとママにプレゼントを買ってきたんだね。

 よかったね。


 わたしたちは握手をしたまま、

くまのおじちゃんに聞こえないようにお話した。


 わたしたちはくまのおじちゃんを後ろから突っついた。

信ちゃんのそばに行きたかった。

くまのおじちゃんは、

「ごめん、ごめん」と言ってどいてくれた。

ひらけた視界の下の方には、

マネキンのようにぐちゃぐちゃになったママが倒れていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ