〈ことね〉
〈ことね〉
なんだが外が騒がしい。
こないだは裏のおうちに消防車が来たし、お隣のお隣には救急車が来たし、
ウーウー、カンカン、サイレンの音は聞き飽きていた。
サイレンはだんだん近づいてくる。音が大きくなってくる。
ウーウーウーウー聞こえてくる。
一番大きく聞こえたところで、サイレンの音はピタリと止んだ。
そっとお部屋のドアを開けると、階段を挟んで向かい合う、あやねちゃんのお部屋のドアも開いた。わたしはニッコリ微笑んでお部屋のドアを閉めた。
こうするとあやねちゃんは絶対私のお部屋にきてくれるのだ。
トトトンとリズミカルなノックの後、ゆっくりとドアを開け、
探るようにしてからあやねちゃんは私の部屋に入ってきた。
信ちゃん、ちゃんと買ってきたかしら、ママにプレゼント。
今日は大丈夫だよね。
今朝、ボケーッとご飯を食べている信ちゃんに近づき、
私は信ちゃんの右の耳に、
「今日は何の日?」
と囁いた。信ちゃんはあやねちゃんと私の顔を交互に見ては、
キョトンとしていたから少し心配だった。
外の騒がしい声が大きくなっている。
あやねちゃんと私は、大きな窓から外を見た。
外にはお隣のおばちゃんやら、見知らぬ金髪のお兄ちゃんやら、
ぐちゃぐちゃいた。
二人で外を眺めていると、お部屋のドアが少し乱暴に開いた。
ちゃんとノックしてっていつも言ってるでしょう?と振り返ると、
そこには知らないおじちゃんが立っていた。