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死して尚続く恋  作者: ゆっきー
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死んだ彼

 ある日、1人の男子高校生、柳雪の人生は幕を閉じた。死因は高所からの落下、状況証拠により自殺と判明。原因はイジメ。恋人関係にあった高澤由美は校内どころか市内では美少女として有名であり、その彼氏ということだけでイジメを受けていた。中には暴行すらもあったらしく、現在はその実態についての捜査がされている。


_____________


 私には彼氏がいた。私には勿体無いほど優しく、かっこよかった。付き合う前から彼のことは仲が良かった。告白は彼の方からされた。


「ずっと前から好きでした!僕と付き合ってください!」


アニメでも使われないだろうベタベタな告白のセリフ、いつもは俺の一人称が僕に変わっていて可愛くもあった。でもそれが彼らしく、私たちは付き合い始めた。でもきっとこの頃からだったんだ。彼がいじめられ始めたのは…


 アザができている時もあった。彼は転んだだけと言っていた。彼の教科書が異様に汚れていた。彼は勉強中に汚してしまったと言った。他にも気づける場所は多かったはずだ。それに気づけなかった自分が愚かしく、憎く、悔しかった。愛しの人すらも救えない自分に嫌気がさす。


 彼が死んでからだった。私が幻覚を見始めたのは。最初は彼が居なくなり精神的に弱くなったせいで幻覚を見ているのだと思った。だけどその幻覚は日が経つにつれて形が整っていく。彼が死んでから10日目だった。


「ふあぁぁ…おはよー」


一人暮らしだから誰の返事も来ない…はずだった。


「おはよ」


体が硬直する。男性の声が聞こえた。しっかりと…しかも部屋の中からベットの下を覗き込む。誰も居ない。タンスの中にもいない。部屋中探したが男の影はない。寝ぼけていただけかと思い安堵していると


「ここだよここ」


再び声が聞こえる。今度は確実だ。後ろから聞こえた。私は咄嗟に後ろを振り向く。そこにいた人物に私は驚愕した…そこにいたのは死んだはずの彼…柳雪だったのだから…


「雪…雪ぃ!」


幻覚とは思わなかった。私はそのまま彼に抱きつこうと飛びついた…私は彼の体を通り過ぎて地面に思いっきりダイブした。目覚めの1発にしてもかなり過激だ…


「いや、俺幽霊だから触れないぞ」


いつものトーン、いつもの話し方。全てが彼が柳雪であることを証明しているようにも感じる。触れないこと以外…


_____________


 今日は運良く日曜日、学校じゃないからどれだけ家にいても怒られない。本当はバスケの部活があるのだが、先輩たちから、『彼氏がいなくなったばかりだから』という感じで気を遣われているから大丈夫だ。


「で、なんなのそれ」

「あー、なんか気づいたら幽霊になってた的な…」

「…」

「ごめん…」


さっきまで適当な雰囲気だった彼だが、私の真剣な顔を見て察したらしい。私が彼から今一番欲しい言葉、それは謝罪だ。なぜ死んだ。なぜ相談してくれなかった。なぜ1人で抱え込んだ。私には言いづらくても親や先生だっていたはずだ。


「この10日間…どれだけ辛かったかわかる?」

「…ごめん…」

「なんで死んじゃったの?結婚するって約束までしたよね?一生大切にするって言ったよね?」

「…ごめん」

「…」


涙が溢れる。未だこの状況を飲み込め切れているわけじゃない。でも彼の姿、彼の喋り方、それを思い出すたびに言いたくなる。


「…」


無言が続く。死んだ人との思わぬ再会(?)。話したいこと、言いたいことはまだまだある。でもその全てがなぜか喉で詰まる。


「ねぇ…本当に雪なの?」

「あぁ…柳雪16歳、春咲高校2年、男子バスケ部所属」

「…好きな食べ物は?」

「唐揚げ!」

「好きなアニメは?」

「陽の実力者になりたくて!」

「好きな人は!」

「由美!」

「雪ぃ!私も好きぃ!」


再び私は地面にぶつかった。

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