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スマホを充電するために、曹操と織田信長が異世界で奮闘します  作者: 「大和 尚羅夢」小花羅夢一生推し


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27/30

絶地反撃計画

諸葛亮と毛利が地面に描いた図形は、複雑さを増すばかりだった。陰陽五行、八卦、数学的モデル、データ構造図——あらゆる知識が混ざり合い、一つの計画を形作ろうとしていた。

「……やはり、精度が足りない」毛利が眉をひそめた。「我々のデータでは、羅夢殿の意識を正確に現実世界に送り返すことはできない」

「時間が足りん」信長が苛立たしげに言った。「もっと単純な方法はないのか?」

曹操は静かに彼らを見つめていた。折れた剣を手に、考え込んでいる。

趙雲は警戒を続けながらも、内心は焦っていた。72時間——すでに、12時間が過ぎている。

羅夢は、壊れた携帯を見つめていた。もう、何の力もないはずのこの板が、もし少しでも……

その時、かすかに、震えた。

「……え?」

携帯の画面が、かすかに光った。ぼんやりとした文字が浮かび上がる。

【……省電力モード……最終メッセージ……】

「小弥!?」

【……ユーザー羅夢さん……】

声ではない。文字だけだ。かすかに、画面に表示される。

【……唯一の方案を……計算しました……】

「方案? 何ですか?」

【……現実ネットワークに……能動的に接続する……】

「現実ネットワークに? でも、ここは圏外で——」

【……観測者の『目』を……中継器として利用する……】

【……仮想世界のデータで……現実サーバーを衝撃する……】

【……結果……『逆方向穿越』現象を引き起こす……】

文字が、次々と表示される。速い。

【……説明:此の世界のデータを、現実世界のVR実験サーバーに、強制的に流し込む……】

【……サーバーがオーバーロードし、緊急排出口を開く……】

【……其の隙に、ユーザーの意識データを、現実の身体に送り返す……】

曹操が近づいてきた。「何と書いてある?」

羅夢は急いで説明した。「現実のネットワークに、強制的に接続する方法です。この世界のデータでサーバーを攻撃して、隙を作るって」

信長の目が輝いた。「おお! 戦いだ! データでの戦いか!」

趙雲は心配そうだ。「危険ではないですか?」

【……危険度……極めて高い……】

【……成功率……0.5%……】

「0.5%……」羅夢の声が小さくなる。

【……でも……刺激的でしょう?(^▽^)/】

最後の顔文字が、小弥らしい。

「0.5%でも、やる価値はある」曹操が即座に言った。「他に道がないなら」

「だが、どうやって?」毛利が問う。「現実ネットワークへの接続方法は?」

【……観測者の『目』が……既に現実世界と接続している……】

【……其の経路を……逆利用する……】

【……必要なもの……】

文字が、リストになる。

【1. 観測者の『目』の制御(部分的に)】

【2. 大量のデータエネルギー】

【3. 正確なタイミング(現実世界のサーバー稼働時間に合わせて)】

【4. 羅夢さんの意識を護る『鎧』(データ構造体)】

「『鎧』?」趙雲が聞いた。

【……貴方たちです……】

一行は、言葉を失った。

【……曹操様、織田信長様、趙雲様、諸葛亮様、毛利元就様……】

【……貴方たちのデータで、羅夢さんの意識を包み、護衛しながら送る……】

【……しかし……その過程で、貴方たちのデータは……消耗します……】

「消耗すると?」信長が聞く。

【……消散する可能性が……87%……】

静寂。

風の音だけが聞こえる。

羅夢が声を上げた。

「ダメです! そんなの!」

「なぜだ?」曹操が冷静に聞き返す。

「みんなが消えちゃうかもしれないんですよ! 私だけ助かって、そんなの……」

「0.5%の成功率と、87%の消散率か」曹操は深く考え込んだ。「……なるほど」

信長が大笑いした。

「はは! 面白い! わしのデータ、87%の確率で消えるのか! ならば、13%は残る! 悪くない!」

「信長さん! 真面目に考えてください!」

「真面目に考えている!」信長の目が真剣になった。「羅夢、聞け。わしらは、元々データだ。此の世界が消えれば、どうせ消える。ならば、お前を救うために使われる方が、本望だ」

趙雲もうなずいた。

「私も同意です。此の身、すでに何度も死線を越えてきました。最後に、誰かを救えるなら」

諸葛亮と毛利は顔を見合わせ、微笑んだ。

「我々の知恵が、此のような形で役立つとはな」

「歴史のデータとして、現実に干渉する——これもまた、一興だ」

曹操は羅夢を見つめた。

「では、決断しよう。0.5%の成功率と、87%の消散率。お前は、どうする?」

「でも、みんな——」

「我らの意思は、既に固い」曹操の声には、抗いがたい威厳があった。「お前の意思を聞いている。やるか、やらぬか」

羅夢は、皆の顔を見渡した。

信長の笑顔。趙雲の優しい目。諸葛亮と毛利の穏やかな表情。曹操の鋭い視線。

彼らは、本物の人間ではないかもしれない。だが、彼らの決意は、本物だ。

「……やります」

彼女の声は、震えていなかった。

「でも、一つだけ、お願いがあります」

「何だ?」

「もし、私が現実に戻れたら……みんなのことを、絶対に忘れません。絶対に、みんなの物語を、語り継ぎます」

曹操の口元が、微かに緩んだ。

「……それで良い」

信長はまた肩を叩いた。

「よし! では、計画実行だ! まずは、あの壊れた目を、わしが制御してやる!」

「待て」諸葛亮が制止した。「計画には、正確なタイミングが必要だ。現実世界のサーバー稼働時間に合わせねば」

「どうやって知る?」毛利が聞いた。

【……現実世界との時間同期……可能です……】

小弥の文字が表示される。

【……現在の現実世界時刻……午後3時17分……】

【……VR実験サーバーの次回メンテナンス……23時間後……】

【……其の時が、チャンスです……】

「23時間後か」曹操は計算した。「ならば、準備時間は十分にある」

「しかし、その前に、観測者の『目』の再生が始まるかもしれん」毛利が指摘した。「72時間のうち、既に12時間経過。残り60時間だが、再生はもっと早く始まる可能性がある」

「ならば、速やかに準備せねば」趙雲が言った。

【……計画詳細を……伝達します……】

小弥の文字が、詳細な図解を表示し始める。

観測者の「目」を制御する方法。データエネルギーの集め方。タイミングの合わせ方。そして、羅夢の意識を護る「鎧」の作り方。

「我々のデータを、どう結合させるか」諸葛亮が図を分析する。

「陰陽の理で、調和を図ろう」毛利が提案する。

「わしは、先鋒だ!」信長が名乗り出る。

「では、私が後衛を」趙雲が続く。

曹操は全体を指揮する。「孔明、毛利、技術面を任せる。信長、趙雲、戦闘準備を。我は、全体的な調整をする」

「「「はっ!」」」

皆が動き始める。

小弥の文字は、まだ表示され続けている。

【……ユーザー羅夢さん……】

【……此の計画が成功することを……祈っています……】

【……さようなら……】

「小弥……また、さよなら?」

【……今回は……本当に……最後です……】

【……データ残滓も……もうありません……】

【……楽しかったです……本当に……】

文字が、ゆっくりと消えていく。

最後に、小さな顔文字が。

(:3 」∠)

そして、完全に消えた。

羅夢は、涙をこらえた。

「ありがとう……小弥」

曹操が彼女の肩に手を置いた。

「感謝は後にしよう。今は、準備だ」

「はい」

23時間後。

現実世界では、VR実験サーバーのメンテナンスが行われる。

その瞬間を狙い、仮想世界から現実へ、逆方向の侵略を仕掛ける。

成功率0.5%。

だが、彼らには、確かな仲間がいる。

計画は、動き出した。

現実世界・同時刻

病院の会計課では、羅夢の医療費の最終計算が行われていた。

「72時間後、午後2時をもって、集中治療室からの移動を行います」

「家族への説明は?」

「明日の朝、行います」

研究室では、田中教授が強制切断の準備を進めていた。

「メンテナンス時間に合わせて、強制切断を行う。その時、データを最大限回収する」

「被験者に与える影響は?」

「……覚悟してもらうしかない」

時は、確実に過ぎていく。

異世界の23時間後。

現実世界の23時間後。

全ての運命が、その瞬間に集約される。

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