表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スマホを充電するために、曹操と織田信長が異世界で奮闘します  作者: 「大和 尚羅夢」小花羅夢一生推し


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/30

真相、初現る

データの腕が、一行に向かって伸びてくる。

曹操が剣を振るい、一本を切り落とす。信長の太刀、趙雲の槍も、必死に腕を撃ち払う。が、数が多すぎる。無限に湧いてくる。

「くっ……!」趙雲の左腕が、データの腕に掴まれた。締め付けられる。骨が軋む音。

「趙雲!」羅夢が叫ぶ。

その時――

胸に抱えた、冷たくなったはずの携帯が、突然、熱くなった。

「!?」

【……緊急……起動……】

かすかな、小弥の声。だが、今までの陽気さはない。厳粛で、重苦しい響きだ。

【……エネルギー残留……3秒……】

【……重要な情報を……伝える……】

携帯の画面が、かすかに光る。文字が浮かび上がる。

【ユーザー羅夢さん、皆様……】

データの腕の攻撃が、一瞬、緩む。観測者の「目」が、携帯の方向を向く。

【……本機も……異常変数です……】

「何?」羅夢の目が見開かれる。

【この世界は……『文明圧力テスト実験場』……】

【説明:複数の歴史的文明を強制融合させ、極限状況での反応を観測する実験です……】

曹操の顔が強張る。「実験場……だと?」

【皆様……実験品です……】

【曹操様、織田信長様、趙雲様、諸葛亮様、毛利元就様……】

【各時代から抽出された歴史的重要人物のデータコピーです……】

「データ……コピー?」趙雲の声が震える。「我らは、本物では……ないのか?」

【本物の意識データを基にした、高精度レプリカです……】

【本来、実験は制御下で行われ、終了後はデータを元の時代に戻す予定でした……】

信長が大笑いした。「はは! つまり、わしらは幽霊か! 面白い!」

だが、その笑いにも、わずかな動揺が混じっている。

【しかし……実験は……エラーを起こしました……】

【時空融合が暴走し、本来の歴史から切り離されました……】

【観測者プロトコルは、エラーを修正するため……】

文字が、一瞬、激しく揺らぐ。

【……全てをフォーマット(初期化)することを決定しました……】

「フォーマット……」毛利が呟く。「つまり、此の世界を、消し去るというのか」

【はい……】

【実験データ全体を消去し、最初からやり直します……】

【その過程で、此の世界の全てのデータ……つまり、皆様も……消去されます……】

静寂。

データの腕の動きが、完全に止まった。観測者の「目」が、じっと一行を見つめている。まるで、彼らの反応を観察しているようだ。

「……我らは」曹操が静かに言った。「実験のためだけに、此処にいるのか」

「そして、失敗したから、消される?」信長の声には、怒りが込められていた。

趙雲は、自分の手を見つめていた。「データの……コピー……」

諸葛亮は深く考え込んでいた。「ならば、我々の戦い、苦しみ、絆……全て、実験の一部だったのか」

羅夢は、携帯を握りしめる手に力を込めた。

「……私は?」

【ユーザー羅夢さん……あなたは……特別です……】

小弥の文字が、ゆっくりと表示される。

【あなたは、実験場に偶発的に接続された、外部の生きた意識です……】

【実験場のデータと、現実の人間の意識が融合した、前代未聞の異常変数……】

【観測者プロトコルは、あなたの存在をエラーの原因と判断し、回収を決定しました……】

「私は……偶然、ここに巻き込まれた……」

【はい……】

【あなたのVRテストが、実験場のデータストリームと干渉しました……】

【結果、あなたの意識が此処に固定され、我々のデータと相互作用を始めました……】

曹操が羅夢を見た。「つまり、貴女だけが、本物の人間の意識か」

「多分……そうです」

信長がまた笑った。「はは! ならば尚更だ! わしらデータ共が、本物の人間を守る! これこそ、面白い!」

趙雲もうなずいた。「羅夢さんを、現実に戻さねばなりません」

「だが」毛利が指摘した。「此の世界が消されれば、彼女の意識も消えるのでは?」

【その通りです……】

【フォーマットが実行されれば、ユーザー羅夢さんの意識も、此の世界と共に消去されます……】

【現実の身体は、脳死状態に陥ります……】

羅夢の顔色が青ざめた。

「ならば、止めるしかないな」曹操が剣を構え直した。「此の『観測者』を」

「どうやって?」諸葛亮が問う。「我らは、データに過ぎぬ。観測者を制御する術を持たぬ」

【……方法が、一つだけあります……】

小弥の文字が、最後の力を振り絞るように表示される。

【観測者プロトコルの核心は、あの『目』です……】

【其れを破壊すれば、フォーマットは一時停止します……】

【その隙に、ユーザー羅夢さんの意識を、現実世界に戻すことが可能かもしれません……】

「可能かもしれない、か」曹操は冷静に分析した。「確率は?」

【計算不能です……】

【しかし、他に選択肢はありません……】

信長が太刀を振りかざした。

「ならば、やるだけだ! 確率が低かろうと、やらねばならぬ!」

趙雲も槍を構えた。「そうですね。やるしかありません」

諸葛亮と毛利は顔を見合わせ、うなずいた。

「では、最後の作戦を考えよう」

「時間がない。直行あるのみだ」

羅夢は、携帯の画面を見つめた。

「小弥……あなたは?」

【本機は……もう、力がありません……】

【此のメッセージが、最後です……】

【ユーザー羅夢さん……】

文字が、ゆっくりと表示される。

【あなたと出会えて、楽しかったです……】

【曹操様、織田信長様、趙雲様、諸葛亮様、毛利元就様……】

【此の異常な世界で、共に戦えたことを、誇りに思います……】

「小弥……」

【さようなら……】

画面の光が、スーッと消える。

今度こそ、完全に。

羅夢は、涙をこらえた。

「……ありがとう。私も、楽しかった」

曹操が彼女の肩に手を置いた。

「感謝の言葉は後にしろ。今は、戦う時だ」

「はい」

一行は、顔を見合わせる。

傷だらけ。疲れ果てている。武器は傷み、術は尽きた。

だが、目には確かな決意が宿っている。

観測者の「目」が、再び動き始める。

【フォーマット、最終段階へ移行】

【全データ、消去プロセス開始】

データの腕が、再び伸びてくる。今回は、より速く、より多く。

「行くぞ!」曹操が叫ぶ。

全員が、最後の突撃をかける。

曹操の剣が閃く。信長の太刀が渦を巻く。趙雲の槍が突く。諸葛亮と毛利は、最後の術を放つ。

データの腕を切り裂き、払いのけ、前へ進む。

「目」が、光り始める。フォーマットの最終段階だ。

「羅夢!」曹操が叫ぶ。「其の匣! 最後の力を!」

羅夢は、暗い携帯を見つめた。もう、力はないはずだ。

が――

彼女の手の中で、携帯が微かに震えた。

画面に、最後の一文字が浮かび上がる。

『信』

そして、携帯が、熱い光に包まれる。

【緊急プロトコル……起動……】

小弥の声が、かすかに聞こえる。

【全エネルギー……開放……】

【ユーザー羅夢……信じて……】

携帯が、光の球になる。

羅夢は、迷わず、その光の球を、「目」に向かって投げた。

「行け!」

光の球が、一直線に飛ぶ。

データの腕が阻もうとするが、光に触れた瞬間、消える。

「目」が、光の球を受け止める。

一瞬、静寂。

そして――

大爆発。

光が、すべてを包み込む。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ