表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スマホを充電するために、曹操と織田信長が異世界で奮闘します  作者: 「大和 尚羅夢」小花羅夢一生推し


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/30

三方会談はコンセント争い

一行は森を抜け、比較的平坦な草原地帯に出た。日はすでに傾きかけ、長い影が地面に伸びている。

「此処で一夜を明かすのが良かろう」趙雲が提案した。「夜の森は危険すぎる」

諸葛亮もうなずいた。「然り。此の開けた地ならば、敵の襲来も早期に察知できる」

毛利元就は家臣たちに陣営の設営を命じた。手慣れたもので、あっという間に簡素な野営地ができあがる。

問題は、照明だった。

「夜になれば、真っ暗だ」信長が言った。「狼の目ならまだしも、人間の目では何も見えぬ」

「我が軍の松明は、数に限りがある」毛利の家臣が報告した。

全ての視線が、羅夢と彼女の携帯に集まった。

エネルギーノードは展開されたままだったが、その効果は「金属を微かに光らせる」程度。暗闇を照らすには不十分だ。

「ならば、もっと強くできぬのか?」曹操が尋ねた。

「バッテリーを多く使えば、強くできますが……」羅夢はためらった。「でも、無駄遣いはしたくないし」

「無駄遣いではない」信長は即座に言った。「夜の警戒は、生死に関わる」

「織田殿の言う通りだ」毛利も同意した。「では、如何すればより強く光らせられる?」

その質問が、混乱の始まりだった。

第一ラウンド:学術討論

諸葛亮が先に口を開いた。「雷の力は、陰陽の調和によって制御される。強く光らせようとすれば、陰陽のバランスを――」

「陰陽など、どうでも良い」毛利が遮った。「重要なのは、実際に光るかどうかだ。雷をより多く集め、効率よく変換すれば良いだけのこと」

「無闇に雷を集めれば、制御不能になる」諸葛亮は扇をあおぎながら反論した。「先程の龍の例を見よ。過剰な力は、破滅を招く」

「ならば、過剰にならぬ程度に集めれば良い」

「其れが難しい。雷の力は測り知れぬ――」

「ならば、測れば良い」

「どうやって?」

二人の視線が、鋭くぶつかった。

「孔明殿は風水や易学に詳しいと聞く」毛利が言った。「雷の気配を読むことはできぬか?」

「読める。しかし、読むことと制御することは別だ」

「我は、雷の起こりやすい地形を知っている。山の頂、高い木、金属の多い場所――」

「其れは雷を『呼び寄せる』方法であって、『制御する』方法ではない」

二人の議論は、次第に専門的で難解になっていく。陰陽五行、地形、気象、電気の性質(毛利は経験則から知っている)……時代も分野も超えた、異次元の学術討論が始まっていた。

曹操と信長は、最初は興味深そうに聞いていたが、すぐにうんざりした表情になった。

「……ちっとも結論が出ん」信長が舌打ちした。

「そうか」曹操は溜息をついた。「ならば、我々は我々で考えよう」

第二ラウンド:覇権争い

曹操が羅夢に近づいた。「其の匣、一時的に力を強くすることはできぬか? 例えば、戦場での狼煙のように、強く光らせ、その後、弱める」

「多分……できると思います」羅夢は頷いた。「でも、一度にたくさん使うと――」

「ならば、試させよ」

「待て!」信長が割り込んだ。「曹公、先を越されるわけにはいかん。我が軍こそ、夜戦の経験が豊富だ。此の力の使い道は、わしが一番よく分かっている」

「経験が豊富だからこそ、慎重に使うべきだ」曹操は冷静に反論した。「無闇に力を振りかざせば、敵に位置を知らせるだけだ」

「敵が来れば、返り討ちにすれば良い!」

「無駄な戦いは避けるべきだ」

「は! 曹公はいつも慎重すぎる!」

二人の間に、火花が散る。

趙雲は困ったように二人を見つめ、そして羅夢を見た。「羅夢さん、どちらが先にお使いになるか、お決めください」

「え!? 私が決めるんですか!?」

第三ラウンド:全面混乱

「我の短刀にも、光を宿せ!」毛利の家臣の一人が叫んだ。

「我の槍もだ!」別の家臣。

「待て、我の鎧の飾りにも――」

「皆、黙れ!」毛利が一喝した。しかし、その目は確かに興奮していた。「孔明殿、結論は出たか?」

「未だだ」諸葛亮は眉をひそめていた。「雷の力を安全に増幅するには、地脈の流れを考慮せねば――」

「地脈など、後回しだ! 今、光が必要なのだ!」

「急いては事を仕損じる!」

「のんびりしては、夜が明ける!」

曹操と信長の争い。諸葛亮と毛利の議論。家臣たちの要望。

羅夢の頭が痛くなってきた。

【ユーザー羅夢のストレス値、上昇中!】

小弥の通知が表示される。

【現在のストレス:85/100】

【限界突破で、仮想体に頭痛などの症状が現れる可能性があります!】

【提案:早く決めてください! どんな方法でも!】

「わかってるよ!」羅夢は心の中で叫んだ。「でも、どう決めればいいの!?」

【提案:公平な方法で決めましょう!】

【例えば:じゃんけん!】

「またじゃんけん!?」

【じゃんけんは、古今東西を問わず、公平な勝負です!】

【あるいは、くじ引き、さい振り、腕相撲……】

その時、羅夢は我慢の限界に達した。

「ちょっと―――っ!!」

彼女の叫び声が、草原に響き渡った。

すべての議論、すべての争いが、パッと止んだ。

曹操、信長、諸葛亮、毛利、趙雲、家臣たち……全員の視線が、彼女に集まる。

羅夢は息を整え、顔を上げた。目には、本物の怒りの涙が光っていた。

「みんな……自分たちのことで、勝手に決めようとしてるでしょう!?」

「此の力は、私の携帯の、私のバッテリーなんだよ!?」

「みんなで使いたいなら、みんなで協力して、どうやったらうまくいくか考えればいいじゃない!」

「『俺が先』『いや私が』って……子供じゃないんだから!」

一瞬、静寂が流れた。

風が草を揺らす音だけが聞こえる。

そして――

信長が、まず笑い出した。

「ははは! その通りだ! わしら、確かに子供じみていたな!」

曹操も、微かに笑みを浮かべた。「……確かに、見苦しかった」

諸葛亮は深くうなずいた。「羅夢殿、おっしゃる通りです。我々は、力を合わせるべきでした」

毛利も、少し恥ずかしそうに頷いた。「……我も、興奮しすぎていた」

趙雲はほっとした表情を浮かべた。

家臣たちも、どよめきながらうなずいている。

羅夢は、怒りがすっと引いていくのを感じた。代わりに、少し恥ずかしくなってきた。

「……ごめんなさい。怒鳴っちゃって」

「いや、謝る必要はない」曹操が言った。「お前の言う通りだ。我々は、協力すべきだった」

「では」信長が提案した。「どう協力する?」

全員が考え込んだ。

その時、小弥の声が響いた。

【皆様、まとまられたようで良かったです!】

【では、改めて提案します!】

画面に、図解が表示された。

【『協力発電システム』計画!】

【手順1:皆様の金属製装備を、一箇所に集めます】

【手順2:羅夢さんの携帯を中心に、エネルギーノードを最大出力に設定】

【手順3:集めた金属が『アンテナ』となり、周囲の自然エネルギー(地熱、微弱な大気電気など)を集めます】

【手順4:集めたエネルギーで、携帯のバッテリーを補給しながら、照明などに使います!】

【要するに:充電しながら使える、持続可能なシステムです!】

図解には、携帯を中心に、剣や槍や鎧が放射状に並べられ、そこからエネルギーが流れる様子が描かれている。

「……成る程」諸葛亮が感心したように呟いた。「力を分け合うのではなく、力を生み出す場を共に作る、と」

「持続可能……か」毛利も深く頷いた。「我が三本の矢の教えにも通じる。力を合わせ、永続的な基盤を作る」

曹操と信長は顔を見合わせ、うなずいた。

「では、早速試そう」曹操が指示した。「趙雲、金属を集めろ」

「はっ!」

趙雲を中心に、家臣たちが動き出す。

曹操の剣、信長の太刀、趙雲の槍、毛利の家臣たちの武具……金属製の装備が、草原の中心に集められていく。

羅夢は携帯をその中心に置き、小弥の指示通りに設定を変更した。

【エネルギーノード、最大出力モードに設定!】

【消費:バッテリー3% / 時間】

【自然エネルギー収集率:推定0.5% / 時間】

【差し引き:2.5% / 時間 の消費になります!】

【現在のバッテリー:280%】

「まだ消費の方が多いけど……」羅夢が呟いた。

「ならば、もっと金属を集めれば良い」信長が言った。「わしの鎧も外そう」

「待って!」羅夢は慌てて止めた。「そんなことしたら、信長さんが無防備になっちゃいます!」

「はは! 心配するな! 此の程度の暗闇、わしには関係ない!」

そう言いながらも、信長は鎧を脱がなかった。さすがに、武将としての本能があるらしい。

代わりに、彼は地面を掘り始めた。

「何をしている?」曹操が聞いた。

「金属が足りぬなら、土の中の鉱石を探せば良い」

「……馬鹿な真似はよせ。夜の草原を掘り返すなど――」

その時、諸葛亮が叫んだ。

「皆、伏せよ!」

本能的に、全員が地面に伏せた。

次の瞬間――

空中に、無数の光の粒が現れた。

歴史修正者のデータ兵たちだった。しかし、今回は少し違う。それぞれの兵が、剣や槍の代わりに、奇妙な器具を持っている。それは――

「……我々の金属を、狙っている?」毛利が鋭く指摘した。

確かに、データ兵たちの視線は、地面に集められた金属の山に集中している。

「我らの会話を、聞かれていたか」曹操が歯ぎしりした。

「エネルギーノードの活性化を、感知したのだろう」諸葛亮が分析した。

信長は大笑いした。「はは! 良い! 我らが金属を奪おうというなら、戦って奪ってみよ!」

趙雲が槍を構えた。「守りましょう」

羅夢は携帯をしっかりと握りしめた。バッテリーは279%。

戦闘になれば、消費は加速する。

しかし――

【新提案:『協力発電システム』、戦闘モードへ移行!】

小弥の声が、興奮気味に響く。

【金属の山を『エネルギー増幅器』として使用!】

【羅夢さん、携帯でデータ兵をロックオン!】

【金属がアンテナとなり、ロックオンした敵にエネルギー波を集中照射します!】

【効果:敵のデータ構造を一時的に不安定にします!】

【チームのみなさん、その隙をついてください!】

「それだ!」羅夢は叫んだ。「みなさん、私が敵を狙うから、その隙に!」

「了解した!」曹操が即座に答えた。

羅夢は携帯を掲げ、カメラをデータ兵たちに向けた。自動追尾機能が起動し、敵をロックオンしていく。

【ロックオン完了!】

【エネルギー照射、開始!】

携帯から、目には見えないが確かに存在するエネルギーの波が放たれる。

地面の金属の山が、共鳴するように微かに震え、青白く光る。

ロックオンされたデータ兵たちの動きが、一瞬、鈍る。

「今だ!」信長が叫び、太刀を振るった。

鈍った敵は、回避できない。一刀で、数体が消滅する。

曹操の剣、趙雲の槍、毛利家臣たちの攻撃が続く。

戦闘は、驚くほどうまくいった。

敵は金属を奪おうと接近してくるが、ロックオンされると動きが止まり、簡単に倒される。

【バッテリー消費:戦闘中 5% / 分】

【現在:275%】

「少し、消費が速いけど……」羅夢は計算した。「でも、これなら……」

「効いている!」信長が笑った。「面白い! 此の戦法、なかなか良い!」

しかし、その時――

データ兵たちの後方から、より大きな影が現れた。

歴史修正者・分析型「記録官」の強化版らしい。体は大きく、手には複雑な計器のようなものを持っている。

【警告:強力な敵性データ生命体を検知!】

【名称:歴史修正者・収奪型『資源回収官』】

【特徴:高価値データ(金属装備など)を強制収奪します!】

【戦闘力:高い! 特に、金属装備に対する攻撃が脅威です!】

「我らの武具を、狙っているな」曹操が冷たい目をした。

「ならば、渡さぬまでだ」信長は相変わらず楽観的だ。

資源回収官が腕を上げた。その手にある計器が光る。

次の瞬間――地面の金属の山が、ゆらりと浮き上がり始めた。

「我の剣が!」曹操の目が見開かれた。

「わしの刀も!」信長も驚いた。

金属たちが、ゆっくりと資源回収官の方へ引き寄せられていく。

「だめ!」羅夢が叫んだ。「あれが奪われたら、エネルギーノードも、みんなの武器も!」

趙雲が飛び出そうとしたが、データ兵たちに阻まれる。

諸葛亮と毛利は、急いで作戦を考えているが、時間がない。

その時――

【緊急措置:『協力発電システム』、超臨界起動!】

小弥の声が、緊迫した響きに変わった。

【説明:全てのエネルギーを一時的に解放し、強力な電磁パルスを発生させます!】

【効果:周囲のデータ構造を一時的にリセット! 敵も味方の装備も、一時的に機能停止します!】

【持続時間:約10秒】

【副作用:エネルギーノードがオーバーヒートし、しばらく使用不能になります】

【実行しますか? Y/N】

羅夢は迷った。味方の装備も止まる? でも、今それしか……

彼女は顔を上げ、曹操たちを見た。

「みなさん、ごめんなさい! 今、強いパルスを出します! みんなの武器も、少しの間、動かなくなるかもしれません!」

曹操は一瞬考え、そしてうなずいた。「やれ!」

「面白い! やってみろ!」信長も同意した。

趙雲、諸葛亮、毛利も、それぞれにうなずく。

「……行きます!」

羅夢は、画面のYを押した。

【超臨界起動、実行!】

一瞬、時間が止まったように感じた。

そして――

白い光が、すべてを包み込んだ。

音もなく、衝撃もなく。

ただ、光だけが、草原全体を覆う。

光の中、資源回収官の動きが止まり、データ兵たちが凍りつく。

地面の金属の山も、光に包まれ、動かない。

十秒。

光が消える。

静寂が戻る。

資源回収官もデータ兵たちも、その場に立ち尽くしたまま、動かない。いや、動けない。

金属の山は、ばらばらに地面に落ちている。

曹操の剣、信長の太刀、趙雲の槍……どれも、光沢を失い、鈍く輝いている。

「……効いたな」信長がまず動いた。太刀を振ろうとするが、重い。「うっ……動きが鈍い」

「我の剣もだ」曹操も眉をひそめた。「まるで、錆びついたようだ」

「データ的な『錆』ですね」羅夢は説明した。「すぐに元に戻るはずです」

その言葉通り、徐々に武器は元の輝きを取り戻し始める。

一方、敵はというと――

資源回収官が、ゆっくりと後退し始めた。データ兵たちも、それに続く。

「逃げる気か」毛利が呟いた。

「追うな」諸葛亮が止めた。「我らの装備も、完全には回復していない。無理な追撃は危険だ」

確かに、武器はまだ本来の軽さを取り戻していない。

敵は霧の中に消えていった。

静寂が戻る。

そして――

【エネルギーノード、オーバーヒートのため一時停止】

【回復まで:約1時間】

【バッテリー残量:270% (パルス発動で5%消費)】

「一時間か……」羅夢はため息をついた。「それまで、真っ暗ですね」

「ならば、松明を使うしかあるまい」毛利が家臣に合図した。

かがり火がつけられる。だが、その明かりは、エネルギーノードのものに比べれば、はるかに暗く、揺らめく。

「……暗いな」信長がぼやいた。

「我慢せよ」曹操は淡々と言っていた。「一時間なら、すぐだ」

趙雲は周囲の警戒を続けている。

諸葛亮と毛利は、再び何か議論を始めていたが、今度は穏やかな口調だ。

羅夢は、かがり火の明かりに照らされた皆の顔を見回した。

曹操は相変わらず冷静だが、剣の調子を確かめている。信長は少し不満そうだが、笑みを浮かべている。趙雲は真面目に警戒している。諸葛亮と毛利は、知恵を絞っている。

そして、彼女は気づいた。

さっきまで「俺が先」「いや私が」と争っていた彼らが、今は自然に役割を分担し、協力している。

「……ほらね」羅夢は小声で呟いた。「協力すれば、うまくいくんだ」

曹操が彼女の方を見て、微かにうなずいた。

まるで、彼女のつぶやきを聞き逃さなかったかのように。

夜は更けていく。

星が、歪んだ時空の空に、不自然に明るく輝いていた。

一時間後、エネルギーノードが再起動する時、彼らは新たな計画を立て終えていた。

次に向かう先は――

時空の歪みの源へ。

そして現実世界では、病院のモニターに、また新たな脳波パターンが記録されていた。

複雑に絡み合い、同期する、複数の「意識」のリズム。

医師たちは、首をひねるばかりだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ