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一つの小さな部屋の中で、こはくとぼくは小さなテーブルに向き合って、床に座って、いろんな作業をした。
その日は日曜日で、窓からはきらきらとした太陽の光りが差し込んでいる。窓は開けていて、そこからは、気持ちのいい春の風が吹き込んでいた。
部屋の中にはアパートの庭に咲いている桜の木の満開の桜のはなびらが、二、三枚、風に流されて、部屋の中に迷い込んでいる。
一か月のスケジュールをこなして、みんなの評判を見て、いろいろと企画を考える。
少しのトラブルや、少しよりはもう少し大きなトラブルがあったりして、へこんだり、大変なことになったりした。
配信が無事に終わった日には、カレンダーに〇のマークを付ける。(白虹こはくの手作りのグッズの紙の卓上カレンダーを二人で一緒につかっていた)
とても忙しい毎日だった。
でも、なんとか順調に毎日は進んでいた。
「ごはんどうしようか?」とふと思い出したように顔をあげて、こはくがいった。(きっとお腹がすいたのだろう)
「なにか食べたいものとかある?」とこはくはいう。
「なんでもいいよ。こはくはなにが食べたい?」とぼくは作業をしながら(ペンでデジタルの絵を描いていた。もう少しあとの配信でつかうための絵だった)言った。
「どこか食べに行く? お散歩もしたし」と窓の向こう側を見てこはくは言った。
こはくのきらきらとしている子供っぽい大きな目の中に満開の桜の花の色が、ほんのりと残っている。
「お散歩か。……、そうだね。たまには外も歩かなくっちゃね」とうーんと背を伸ばしてぼくは言った。(その、まるで一枚の絵みたいな、こはくを描きたいなって思いながら)
「じゃあ、ファミリーレストランいこう。いつものお店ね」とにっこりと笑ってこはくは言った。
「わかった。いいよ。ぼくはオムライス食べたい」とぼくは笑って、そう言った。