月と太陽
私は小さい頃から輝いていた。小学校にいた時分も、かけっこでは一番だったし、テストではいつも100点ばかりだった。中学校では、かけっこでいつも一番とは行かなくなったが、テストでは常に上位で、背丈もあったから良く女子に好かれた。自ら灼熱の光をあげ、周囲を照らす恒星。私は太陽だったのだ。だが、太陽でも光れなくなる時がある。中学校三年生の時、遠くへ引っ越し、そこで私は光れなかった。呑み込まれたのだ、光が。
そんな私には、いつも妹がいた。歳の離れた妹で、よく私に虐められながらも私を慕う可愛いやつだ。私なんかと違って家族によく愛され、いつも無邪気に笑っていた。どんなに苦しい日もこいつと一緒にふざけ合って、乗り越えた。どんな差別だって、こいつといれば怖くなかった。だが、彼女は自殺した。僕は泣いた。初めて心が壊れた。彼女の死後、僕はもう光れなかった。そう、僕は最初から太陽なんかじゃなかったんだ。君が身を削って放つ優しい温かな光。それを反射し光る、月だったんだ。月は君なしでは輝けない。僕は君を求めて、虚空の中に沈んでいく。暗闇の中に君を見る。
創作であればいいのに