03 弟の憂鬱
ゴールデンウィークが終わった。
なんか中学より部活がキツくね?連休明けたらインターハイの予選だからか?部活はまだ始まったばっかだってのに憂鬱だよ。
……憂鬱って言えば姉ちゃんだ。
なんなん、あれ?
がっつりコウを狙ってる。あんなん初めて見た。ってか、姉ちゃんも女だったんだな。なんていうか、いろんな意味でキモかった。
う~ん、確かに姉ちゃんも悪くはないと思うよ。ちょっとがさつだけど、なんだかんだやさしいトコあるし。
でもなぁ、姉ちゃんにコウはもったいない気がするんだよな。
中学んときは誰とも付き合ってなかったと思うけど、そこそこ人気があったし。
姉ちゃんだと……負けるよなぁ。
あれか?コウの初恋が姉ちゃんだってので本気になった?いやいや、だって小学校の話だぜ。それはちょっとなー。
それにコウはおっきい方が好きだしな。姉ちゃんだと……泣けてくるよ。
どうしたんもんかなー。
それにコウもコウだしな。
ゴールデンウィークにやった中学のクラス会で、付き合い始めた奴はいなかったけど仲良くなったって奴がちらほらいた。
だからコウに姉ちゃんのことを聞いてみた。
「そう言えば、姉ちゃんが初恋だって言ってたけど、今見てどうよ?」
「あー、やっぱ可愛いな」
「はい?」
「あー、やっぱり嫌だよな。身内のことを言われるって」
「そうでもねぇけど」
「そう?ならいいんだけどさ」
「なに?うちの姉ちゃんいいの?」
「なんだよ」
「なんだよはこっちだよ」
「今日はやけにグイグイくるなぁ」
「そりゃそうだろう。コウの話なんて聞いたことないからな」
「そうか?」
「ああ。それにうちの姉ちゃんがってのも気になる」
「やっぱ嫌か?」
「ちげーって。アレのどこがいいのかなって」
「アレって。まぁ見た目かな?」
「はぁ?お前おっきい方が好きだったろ?」
「なに言ってんだよ!」
「見てわかるけど、姉ちゃんちっせーぞ。いやどのくらいかはわからんけど」
「だから、そうじゃないって。清楚っていうか落ち着いてる感じがさ」
「はぁ?」
「ボブって言うのか?わからんけど、サラサラした髪とかいいんじゃんか」
「……」
「なんだよ」
「コウは知らねーんだよ。姉ちゃんはかなりガサツだぜ」
「そんな風には見えんな」
「……」
「だから、なんなんだよ」
「いや何もねーよ」
「そんな感じしねーけど」
「あと母親も胸ねーからな」
「だからなんなんだよ。それ」
「こんなはずじゃなかったとか、どうしてこうなったとか言うなよ」
「だからなんだよそれ。それってイツキのことだろ。おっきい方がいいって」
「あたりまえだろ。ないよりあった方がいいし、大は小を兼ねるって伝うし、コウだって嫌いじゃないだろ」
「そうだけどさ」
「そのコウがアレくらいでいいって言うから」」
「アレくらいとか言ってると怒られるぜ」
「……ああ、殺されるな」
「他の子にも言うなよ」
「あたりまだろ。女子全員なんか敵にできんし……でもあれだ」
「なに?」
「結構気に入ってるんだな」
「なんだよ」
「手伝えることがあれば言ってくれ」
「そんなのねーし」
「未来の兄貴かもしれんしな」
「はぁ?……でもそっか、結婚したら俺の義弟になるんだ。そう考えるとなんか変な感じだな」
「はぁ?結婚ってなんだよ」
「いやいや、たとえ話だろ。俺ら幾つだと思ってんだよ」
「いや、コウがびっくりするようなこと言うからだろ」
「それは悪かったけど、余計なことはしなくていいからな」
「わかったよ、兄貴」
「だから、そうじゃねって」
なんだよ。コウも好きなんじゃねぇか。どっちか告ったらもう終わり、じゃなくて、始まるんじゃんか。
でも、どーすっかなぁ。
どっちに言ったらいい?相手も好きだって思ってるって。
いっそお見合いにするか?
なんだか面倒くせーなー。