21 初詣
結局、年末にコウ君に会ったのはクリスマスが最後になった。
年末のファミレスは毎日ごった返していて大晦日まで大変だったって。
そして元旦だけが唯一のお休みなので二人で近くの神社に初詣に行く約束をしている。
コウ君は寒いから待ち合わせでなく、うちまで迎えに来てくれるって。どこまで優しいんだろう。
だからコウ君を待っている。
毎日連絡をしているけど、一週間も会わなかったのは初めてなのですぐにでも会いたい。でもあんなことしたあとだしとも思う。
そして約束の時間にコウ君が来る。私が贈ったお揃いのマフラーを着けて。
玄関で新年のあいさつを交わしたあと出かけようとしたら、コウ君が出かける前に両親に挨拶したいと言う。
それで家の中に通したらお正月の挨拶を丁寧にしていた。でも弟はすでに遊びに出ていていなかったけど。
こういうところが年下に見えない理由なんだって思う。そして初詣の帰りには私もコウ君の家に行って挨拶をしなくっちゃって思う。
お参りに行く時、振袖じゃなくてごめんねって言ったら、そんなドラマじゃないし俺も和服なんて持ってないですよって。
でも、振り袖姿も見たかったかもって言われると、ドキッとしてしまう。
だから振袖は七五三以来着たことがないって教えると、七五三の写真とかないですか?あったら見てみたいって言われて、さらにドキッとしてしまった。
そのあとはお参りをしておみくじを引いて写真を撮る。
いろんな写真も撮ったけど、二人で並んだ写真を撮ったあといきなり右の頬にキスをされる。
突然のことに驚いてコウ君を見ると、コウ君も右の方を向いていて視線を交わすことができなかった。
コウ君は照れてるんだってと思うと笑みがこぼれる。そしてキスをしてもらったことがうれしくなる。
クリスマスのファーストキスはなんでしてしまったんだろうって後悔みたいなものもあったし、自分からしてしまった恥ずかしも大きくてうれしい気持ちは乏しかった。
でも、今コウ君からしてもらったキスはすごくうれしかった。
私からした初めてより、頬にしてもらった方がうれしいって変かもしれない。でも本当にうれしい。
だからコウ君の左腕にしがみついて、大好きと伝える。
するとコウ君は私に向きなおしいて、俺もですって言い、
「やっぱり先輩って積極的ですよね」って続いた。
その言葉を聞いて、しまった、また人前でやってしまったって思って、慌ててコウ君から離れる。
もうなんで短絡的に行動しちゃうんだろう。私ってこんなに感情的だったって思っていたら、
「でも先輩の髪ってさらさらしていていいですよね」
「そう?」
「ほんとは前から気になってたんです」
「何?」
「えっ、引かないでくださいね。ちょっと触ってみたかったって言うか……」
こっちが、えっ、だよ。
コウ君はなに、髪の毛が好きなの?だったら……
「ちょっと触ってみる?」
「えっ、いいんですか?」
「ちょっとだけだからね」
じゃぁと言ったコウ君が右手を伸ばしてきて、左側の髪先から手櫛を入れてかき揚げて離れていく。
ぞくぞくした。
友達と髪形をアレンジした時とは全然違ってた。
そしてあまりの恥ずかしさから、もう一度しがみついて「コウ君のえっち」とつぶやく。
お参りのあとはコウ君の家に向かったけどお互い無言だった。
それでもコウ君の家にお邪魔して新年の挨拶をする。
そしてこれからは毎年挨拶に来なくっちゃって思った。
お読みいただいてありがとうございます。
明日、二話続けて終わりになります。
最後まで読んでもらえると嬉しいです。




