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12 親族会議 (会話のみです)

「それで、鈴木さんはどういった用向きで」

「お宅の息子さんが挨拶に来て、結婚前提で付き合いたいと言いだして。それで話を聞くと、子供ながらに本気っぽいので、親同士で話しておいた方がいいのかと思いましてね」

「そうですか。それでビデオは」

「ビデオ?」

「そんな場面、見たいじゃないですか。まして自分の息子のだったら。撮ってないんですか?」

「そんなの撮ってないですよ」

「残念だなぁ」

「こっちはそれ所じゃなかったですよ。娘の初めての色恋沙汰で、付き合っている報告かと思ったら、結婚前提の許可が欲しいとか。こっちもいっぱいいっぱいでしたよ」

「そうでしょうね。私もそこまでとは思ってませんでしたよ」

「こう、あるでしょ。娘を貰いに来た時に、娘はやらんとか、一発殴らせろとか。そういうのが台無しですよ」

「ああ、ありますね。そういうの」

「今日挨拶に来るって言うから、そう遠くない将来、そういうセリフの場面が来るんだろうなと考えていたら、いきなりですよ」

「うちは息子ひとりだけですけど、そういうのやってみたいって気持ちはわかりますよ」

「でしょ?」

「でも、これからだってそういうチャンスはありますよ。まだ学生じゃないですか」

「そうですかね?」

「ええ。でもその時はビデオを撮ってくださいね。ボコボコにしてもいいですから」

「ボコボコにはしませんよ」

「いやぁ、でも見たかったなぁ、息子の姿」

「私が言うのもなんですが、お宅の息子さんは、なんでそこまでうちの娘がいいんです?何か聞いてます?」

「可愛くて優しいとか。あと息子のために志望校を替えたとか聞いてますよ」

「そうなんですよ。それこそ急に志望校を替えたいって言い出して。初めてできた彼氏だから近くにいたいんだと思いますが、そう言われると今より将来を考えろと言いたくなりますよ」

「やっぱり親としてはあれですよね、少しでもいい学校出て、いい就職して、で人生は穏やかに過ごして欲しいですよね」

「本当にそう思いますよ」

「自分の子供ですけど、よく高校性で結婚なんて考え付くよな。もっと遊びただろうに」

「おっ、噂をすれば」


「ただいま戻りました」


「めずらしい挨拶だな」

「えっ、その、先輩の両親もいるし」

「佐藤君も、いやコウスケ君も一緒に話をしないか。いろいろ聞きたいこともあるし」

「はい」

「そうそう。さっき聞いたけど、結婚を申し込んだんだって」

「結婚って言うか、その覚悟がありますって」

「今もその話してたんだけど、お前すごいな。鈴木さんの前で悪いけど、その頃ってもっと遊びたいもんだろ?なんで人生決めようってするんだ」

「先輩とだって遊べるし、イツキにも聞かれたけど、付き合った先って結婚だろ。だったら遅かれ早かれでしかないって」

「コウスケ君は今どきの子じゃないね。まっすぐって言うか。逆に今どきなのか?悟り世代って。普通リスク回避とか考えるもんだけど」

「そうですよね。結婚って一大決心ですよね。それで人生決まってしまうし。責任って問題もあるし」

「なかなか踏ん切りがつかないですよね」

「そういうもんなんですか?」

「ああ、結婚したいって気持ちがあっても、将来は不安じゃないか。コウスケ君もお金こととか考えていただろ」

「はい」

「お金だけじゃない問題もたくさんある。これから付き合っていくとだんだんとわかってくるはず。それでも彼女と結婚する意思が変わらなければ結婚すればいいさ。ただし、彼女にも彼女の両親にも誠意をもって恥ずかしくない付き合いをしないとな」

「わかってるよ」

「コウスケ君はまだ高一だけど将来は考えてるの?」

「正直あまり考えてなかったです。でも一昨日くらいから先輩とのことを考えるようになって変わりました。高校出たら働いてお金を貯めて、俺が二十歳になって先輩が大学卒業したら結婚したいって思ってます」

「それは賛成できんな。佐藤さんはどう思います?」

「私も賛成できないな」

「どうして?」

「コウの考えは短絡的なんだよ。お金を貯めてって言うけど、高卒と大卒では給料が違う。それはわかるな」

「うん」

「その差はできることへの差だ。もっと言えば資格やスキルでも差が生じる。お金を貯めると言うのなら遠回りに見えるかもしれないけど、大学を出た方が近道になる」

「そう……」

「佐藤さんも同じ考えだと思うから、賛成はしなかったと思うんだ」

「そうですね。高卒でもできることはたくさんあるけど、大卒でないとできないこともたくさんあるから。大学に行けるのなら行った方がいい」

「わかりました。もっと考えてみます」

「そうは言ったけど、そこまでヒカリのことを考えてくれんだな。娘を盗られるって気持ちもあるけど、うれしいよ」

「ゆくゆくはうちの娘になるんだな。やっぱり娘にお父さんって呼ばれたいよな。お母さんもそう思うだろ?」

「そうよね。よくあるけど娘とキッチンに並ぶって夢よね」

「あの、夢を壊して申し訳ないんですが、うちの娘、料理しないんですよ」

「そうなんですか」

「しないって言うか、たぶんできないんじゃないかと」

「いいじゃないですか。私だって結婚してから料理がんばったし」

「それは私もそうなんですが、やっぱり娘の母親としては恥ずかしくて……」


 こうして両親の初顔合わせが進んでいく。





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