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01 エピソード0

よろしくお願いします

 今日で中学も卒業だ。

 周りでは写真を撮ったり、卒業アルバムに寄せ書きしている生徒がいる。

 高校の入試が終わってからずっと続いている風景だ。

 女子は毎日毎日写真を撮っているけど、あとで見るのかと疑問に思いなが教室を眺める。

 しばらくしたら名前を呼ばれたので声がした方を見ると、友人のコウがいた。


「最後なのに今日もギリギリだなコウ」

「まぁな」

「やっぱりゲーム?」

「ああ」


 友人のコウは同じサッカー部だったけどゲーム好きだ。高校に入ったらバイトをしてパソコン買ってガッツリゲームをしたいそうだ。

 俺はゲームなんかよりは女子の方が気になるから、卒業式のあとに行われる打ち上げが気になる。

 いろんなところに顔を出したいと思っているから、式のあとはどこに行くのかコウに相談する。でもコウは消極的で、とりあえずはクラスの所でと返事が帰ってくる。

 だから、なんで女子よりゲームがいいかって聞いてしまう。

 正直このやり取りはたまにしていて、必ずゲームを選択していた。でも今回は少し違った。


「そんなにゲームばっかりしていて三次元に興味がなくなっても知らないぞ」

「さすがにリアルの方がいいよ」


 お?なんかいつもと違うぞと思ったので、好きなヤツでもできたか?と聞いたら、今はいないと返してきた。

 今は?気になって、前はいたのかと聞き返す。

 コウとは小学校3年からの付き合いで部活も一緒になったりして七年の付き合いになる。でも一度も好きな女子の話をしたことがない。


「えっ?いや、あの、好きだった子はいたよ」


 なんだか歯切れの悪い返事だ。こんなコウは初めて見た。少し楽しくなって追及したら衝撃な事実が判明した。

 なんと、コウの初恋の相手が俺の姉ちゃんだった。

 俺たちも中三だから恋の話もちらほら聞こえてくるけど、まさかコウの初恋がアレだとは思わなかった。

 それで気になったからきっかけを聞いてさらに驚いた。一目ぼれだって。

 いやいや、アレだぞ。あの姉ちゃんだぞ。どこに一目ぼれした?

 すっげぇ気になる。なんなら中学三年間で一番の話題だ。

 それからは俺の質問タイムが始まった。

 それで要約すると、小学四年生の昼休みかなんかの時、体育館で姉ちゃんが俺の面倒をみていたところを目撃をして好きになった。そしてすごく可愛いかったと。

 それは本当に俺の姉ちゃんなのでしょうか?すごく不安です。

 でも俺の姉ちゃんだったということはよく覚えてると言っていた。

 なんかこう、納得がいかない。違和感が拭えない。

 しかし会ったのはその一回だけで、俺の家に何度も遊びに来たけど見かけたこともなかったらしい。

 それに初恋だとは思っているけど、今どうこうしようって考えはない。正直あまり思い出しもしなかったと言う。

 それはよかったと思った。今見たら絶対幻滅する。やっぱり世間で伝うように初恋は実らないものだと思った。


 そして中学の卒業式は終わった。打ち上げは自分のクラスから始まって、近くでやっていた他のクラスにまで顔を出した。当然女子と連絡先は交換した。


 しかし高校でコウと姉ちゃんが付き合いだすとは、この時は想像もつかなかった。





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