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「強大な力にはリスクが伴うものだ。それに魔力コントロールを身につけなければ君の身が持たない」


「………はい」 



マグリットは顔を伏せて頷いた。

ローガンはマグリットを心配して言っているのだとわかるが、できるならばガノングルフ辺境伯領に帰りたい。

それにマグリットにも譲れないものがある。



「ローガン様、この力は人に害を及ぼすことはないのですよね?」


「ああ、そうだね。今のところは空だけのようだね」


「つまりそれは……わたしが魔力をコントロールを身につけることができたら帰ってもいいということでしょうか!?」



マグリットの問いかけにローガンはヘラリと笑う。



「まぁ、そういうことにはなるけどそんなに簡単じゃないよ?」



マグリットが魔力コントロールを会得しなければ、帰れないのなら今からやるべきことはただ一つだ。



「なら、なるべく早く魔力のコントロール方法を見つけてガノングルフ辺境伯領に帰りますっ!」


「……マグリット」


「どうしても帰りたいんですっ!」



熱意あるマグリットの言葉を聞いてイザックはマグリットを援護するように口を開く。



「マグリットがある程度魔力コントロールを身につけたらあとは俺がガノングルフ辺境伯領でマグリットに教えよう」


「イザックが?」


「イザック様……!ありがとうございますっ」



ローガンは唸りつつも腕を組んで考えている。

しかしマグリットの意思が固いと判断したのか頷いた。



「わかった。マグリットが身につけることができたらそれで構わないよ。だけどマグリットの力はとても貴重で珍しい。前例もないため、こちらも調べたいんだ。面倒だと思うけど月に一度は絶対に魔法研究所に来てほしい」


「……!」


「でなければその条件は飲めない。マグリットが不安定のまま帰せない。安全面を考えてだ。それに今すぐにその強大な力を毎日観察したいし、本当ならどうにかして圧力をかけるところだけど……」


「…………」


「イザックの顔がとても怖いからやめておくよ!」



マグリットはローガンの言葉に何度も頷いた。

これでも大分譲歩してくれたのだと理解したからだ。

するとイザックが唇を開く。



「なら、俺もマグリットと共にここに通う」


「それはそれは……!国王陛下がお喜びになりますね。すぐに報告しなければ」



ニヤリと笑ったローガンにイザックは苦い表情を浮かべた。

ローガンはイザックを気にすることなく、マグリットに耳打ちするように手のひらを当てて唇を寄せる。



「マグリットを運んできたイザックはそれはそれは……」


「──ローガンッ!」


「僕もね、イザックとは長いけど、こんな彼は初めて見たよ。それに魔力不足のマグリットに……」


「……ローガン、それ以上は溶かすぞ?」


「わははっ、イザックは怖いねぇ!新しい力なら是非見せておくれ!」


「はぁ……」



ローガンは余裕の表情で頬を押さえながら腰をくねくねと動かしている。

イザックは溜息を吐き出している。


(イザックさんが魔力不足のわたしを助けてくれたのよね。改めてお礼をしなくちゃ……!)


イザックに声を掛けようとしたマグリットのお腹からグーッと大きな音が鳴った。

すると女性研究員がマグリットのために食事を運んできてくれた。

軽食を食べた後すぐにマグリットは魔力コントロール訓練を受けることにした。


イザックがガノングルフ辺境伯領に帰るまで今日含めて三日だそうだ。

馬車で帰る時間も含めればそうなるだろう。

行きに一日、マグリットが寝ていて一日、そして今日含めて三日で魔力コントロールを習得して二日かけて帰る。

急ぎの仕事もあることと急に出てきてしまったためそれ以上は待てないそうだ。


(イザックさんがわたしのために一日中、馬を走らせてくれたのよね……)


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