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淡々と説明するローガンにマグリットの頭は混乱していた。

そもそもマグリットが魔法が使える前提で話していること自体がおかしいのだ。



「ど、どういうことでしょうか?わたしは魔法を使えないはずじゃ……」


「ふむ。君には一から説明しないといけないようだね」



いまいち話が見えない中、不安からイザックの手を握りしめた。

イザックもマグリットを安心させるように握り返す。

マグリットはローガンの話を聞くために耳を傾ける。



「君の魔法は間違いなく天候に関するものだろう」


「天候、ですか……?」


「そうだよ」



マグリットは首を傾げた。

天候とは天気のことだとわかるが、そんな魔法属性は聞いたことも見たことない。



「マグリットが寝ている間にイザックから話を聞いたんだ。それから色々と仮説を立てつつ、ネファーシャル子爵家の様子について遡って調べてみたんだ。あの土地は元々水害や雨が降りやすく不安定だったのにもかかわらず、マグリットが生まれてからは徐々に天気が安定し始めた。そして最近の様子を見てみるとマグリットがイザックの元に身を寄せてからは雨が降り続いていたんだっ!王家に提出された報告書を見るとネファーシャル子爵領の状況は十六年前の状況に戻りつつあることがわかるんだよっ」



ローガンが興奮気味に語っているが、早口すぎて内容がまったく耳に入ってこない。



「…………えっと」


「それにガノングルフ辺境伯領はこの時期は嵐が頻繁にやってくるはずだろう?それは毎年必ずこの時期にやってくるのに今年はずっと晴れていた。そしてなんと……!ネファーシャル子爵家から君が出て、ガノングルフ辺境伯領にくる時期と重なっているんだっ!そこまで聞くと答えはすぐに出るはずだ」



マグリットはローガンが結局のところ何が言いたいのかわからないままポカンと口を開けていた。

イザックがローガンに簡潔にまとめるように言うと、ローガンがモジャモジャの頭を掻いて「うーん、そうだなぁ」と、考え込んでいる。

イザックはその間、マグリットにローガンが昔からの知り合いだと説明してくれた。



「要はマグリットは天気を操る、晴天にさせる魔法を使うということさ!」


「……わたしが天気を操る!?」


「だが今は無意識に力を垂れ流している状態だよ。ネファーシャル子爵家でも幼い頃から力を使っていたんだろう。ガノングルフ辺境伯領では嵐を晴らすために力を使いすぎてしまっていたんだ」



ローガンの話をマグリットは信じられない気持ちで聞いていた。

しかしガノングルフ辺境伯邸でシシーと洗濯物の話していたことが頭を過ぎる。

『そうですねぇ……ですが本来、この時期は嵐がやってきてひどい雨になるのですが』

『この時期は何日も嵐で屋敷から出られなかったりするんですけどね。食糧を溜め込むんですよ』

毎年くる嵐をマグリットが無意識に晴れさせていたのだろうか。

ふとネファーシャル子爵がアデルが生まれたおかげで、ネファーシャル子爵領の天気が安定したと言っていたことを思い出す。


(アデルお姉様ではなく、わたしの魔法の力だったの?)


マグリットはローガンの説明を聞き終える頃には放心状態だった。

この部屋は特殊な素材で作られていて、ここににいる限りは外に魔法を通さないので大丈夫なのだそうだ。


(そんな、信じられない……!)


イザックから手を離して、マグリットは自分の手のひらを握ったり開いたりを繰り返していた。

するとマグリットは両手を掴まれてしまう。

顔を上げるとローガンがマグリットの手を包み込むように握っている。



「──未知の力だっ!なんて素晴らしいっ」


「……え?」


「これほどまでに強い力を今まで見たことがない!イザックにも匹敵する力だよ!いや~、やはり魔法は素晴らしいね。マグリットもそう思わないかい!?」


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