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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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84 鬼だ。ここに鬼がいる。


 小休憩が終わって皆が席を着いたところで、団長(コマンドール)が発言する。


「聖女様にも各部隊が担当する地域を順番通りに巡るということで、了承を得た。巡る順番を公平性にするために、聖女様にクジを引いてもらい決めるということで、問題はないな?」


 各部隊長が首を縦に振って頷く。団長(コマンドール)の発言に反対意見はないようだ。というか、私の提案そのままだけど!それでいいのか団長(コマンドール)


「入ってもらえ」


 団長(コマンドール)の言葉に入り口に控えていた。騎士(シュヴァリエ)が扉を開ける。その先には胸までの桜色の髪に戸惑ったような桜色の瞳をオロオロさせ、白いワンピースに身を包み、可愛らしい感じの少女が立っていた。


 その少女が後ろに居た女性の騎士(シュヴァリエ)に促され、会議室に入ってくる。

 少女の前には四角い箱が差し出され、そこから一枚づつ紙を取り出すように説明されている。


 されているが、私はその少女の姿をみて思った。確かにスチルどおりだ。だけど、二次元から三次元になるとそうなるのかと、遠い目になってしまった。


「あれって頭の上に皿を掲げているみたい」


 私の言葉にルディがピクリと反応する。いやだって、宗教画の天使の輪のように円状の平らな物が頭上にあるのだ。それが光っているっていうなら、神々しい(?)と言えなくもない。しかし、私の目には白い皿が頭の上に浮かんでいるのだ。

 違和感しかない。


 だって、私の天使の聖痕は光っているよ?気を抜くと光ってしまうから、すっごく気を使っている。


「ふっ」


 斜め後ろから思わずといった感じの失笑が聞こえてきた。また、ファルだろうかと振り返って後ろをジト目でみてみれば····


 横では真面目な顔をしている団長(コマンドール)の腹筋がぷるぷるしているのが見え、後ろで控えている侍従(シャンベラン)が口元を押さえていた。恐らく侍従(シャンベラン)の彼が吹き出してしまったのだろう。


 ファルの姿が見えないと思えば、床にかがんで笑うのを我慢していた。そこまで笑うことだったかなぁ。


 しかし、普通は咎められることを言ってしまった。あとで怒られそうだ。


 どうやら、順番が決まったみたい。まぁ、第13部隊には関係のないことだけど。

 聖女様には頑張って常闇を閉じていって欲しい。そして、自力で18禁乙女ゲームを制してほしい。私は関わりたくないからね。


「あ、シェーンと言います。一生懸命頑張りますので、よろしくお願いします」


 シェーンと名乗った少女はニコリと笑って頭を下げた。普通の少女にみえる。頭に皿を乗せていなければだ。


 少女は後ろにいた女性の騎士(シュヴァリエ)に何かを囁かれ、会議室を出ていった。


「早速だが、明日は第3部隊が聖女様··ふっ、につくように」


 団長(コマンドール)笑いが漏れてますよ。



 解散が団長(コマンドール)の口から出れば、他の部隊の人達はさっさと会議室を出ていった。聖女様に閉じてもらう常闇をどれにするか決めるのだろう。


「ぐふっ。はははははははっ」


 とうとう笑いを堪えられなくなったファルが床を叩きながら笑いだした。


「くすくすくす」


 膝の上に乗せている私の首元に顔を埋め、ルディも笑いだしてしまった。


「いやー。まいりましたね。笑いを堪えるのがこんなに大変な事だとは」


 侍従(シャンベラン)が私の顔を覗き込みながら言った。ちょっと近くありませんか?


「ごめんなさい?」


 取り敢えず謝っておく。しかし、ぎりぎりと腹が絞められている。


「フリーデンハイド。それ以上アンジュに近寄ったら、殺すぞ」


 私の耳の後ろから地獄の底から響き渡るような声が聞こえてきた。怖すぎる。


「怖い怖い。これ以上、兄上の機嫌は損ねたくないですね」


「は?」


 兄?って言うことは、この性格悪そうな侍従(シャンベラン)は王族!!

 しかし、似ていない。全く似ていない。いや、性格が悪いのは似ているところか?でも、ルディよりその弟の方が階級が上ってどういうこと?王族もにょもにょの何かがあるのか?


「ああ、私はさっさと王位継承権は放棄していますから、王族扱いはしなくていいですよ。面倒ですからね」


 私に言われても、そうですかとしか返答できないよ。何が面倒かわからないけど。


「しかし、団長(コマンドール)。ここ数日のうだうだとした無駄な会議が、2刻で終わってしまいましたね。良かったですね。ここ数日の無駄なこの時間を私に返還してほしいぐらいです」


 上官であるはずの団長(コマンドール)にチクチクと嫌味を言えるのはきっと彼が王族だからなのだろう。継承権を放棄していようが、その血筋には変わりない。


「それも私が兄上の婚約者を副隊長にするように進言したおかげですよね」


侍従(シャンベラン)フリーデンハイド。今度は何だ?」


「リリーマルレーンの菓子を全種類買って来てください。もちろん団長(コマンドール)の分は買ってはダメですよ」


 鬼だ。ここに鬼がいる。ガタイのいい隻眼の団長(コマンドール)にこの辺りで有名やケーキ屋の名前を出して、甘いものが好きな団長(コマンドール)に全種類買わせて、自分の分は買ってはダメだと言っているのだ。

 これは相当な嫌がらせではないのだろうか。


「いや、せめて一つぐらいは」


「ダメです」


 私の目には侍従(シャンベラン)が悪魔神父と重なって見えてしまった。



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