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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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75 振動の原因


 翌朝、朝食を終えたあと、いつもどおりルディに手を繋がれ、第13部隊の詰め所に向かう。ルディの横では凄く疲れた様子のファルが歩いている。昨日遅くまで会議があったから疲れているのだろうか。


「ファル様おつかれ?」


「ああ、あんまり寝ていない」


 ん?ルディは日付が変わる前に戻ってきたけれど、ファルは戻れなかったのだろうか。


「そう言えば、魔物討伐の方針が決まらなかったって言っていたけど、今日は会議はないの?」


「第1部隊長と第2部隊長が出掛けているから、今日明日はないだろう」


 ルディが教えてくれた。ああ、妹のモエモエポイントの推しのお迎えシーンね。第2部隊長がいたとは聞いていなかったけど、妹の中では抹消されたのだろう。


 会議が無いというなら、いつもの開店休業状態の第13部隊にかわりはない。変わりははずだったのに、これはどういうことなんだろう?


 私は目をこすって目の前の風景をもう一度確認する。おかしい。とてもおかしなことになっている。第13部隊のぽつんと一軒家がある森が森ではなくなっている。なんというか焼き畑の跡という感じだ。


 絶対におかしい!私は森を燃やさないように凄く頑張った。あのバニーの爆破攻撃を最小限に留めて、森も第13部隊の洋館も守ったはず。それなのに守ったはずの洋館の2階の一部がえぐれている。


「え?これなに?私、なるべく被害がでないように頑張ったのに?」


「アンジュ。アンジュが怪我をするとこうなるから、なるべく怪我はしないようにしてくれ」


 ファルがとても疲れたように言った。思わず、ルディを仰ぎ見る。昨日の振動はもしかしてコレだったのか!


「ロベルも肋骨三本折れた状態で、行ってしまったしな」


 第1部隊長!!ルディに連れて行かれたと思ったら、肋骨を折られていたのか!

 ちょっと待って、バニー達はどうなった?


「ねぇ。私に攻撃してきた人たちはどうなってるの?」


「一応、生きている」


 生きてはいるんだね。それなら、これ以上は聞かないでおくよ。しかし、この焼き畑はどこまで続いているのだろう。


「これって、このまま?」


 私は焼き畑状態の森を指して言った。でも、何ができるかって言われても、何も出来ないよね。


「あ?これでも大分マシになったんだぞ。殆ど寝ずに、ここまで再生した俺を褒めてくれてもいいんじゃないのか?」


 大分マシ?森を再生したってこと?

 あ!そうだった。ファルは私の鞘を作ってくれた時に木の聖痕って言っていた。でも、どこを再生したかわからない程、精密に森を再生できるってことは、緑の手とかいわれる力なんじゃないのだろうか。


「じゃ、褒めてあげるから、手を出して」


「あ゛?」


 なぜかルディから低い声が漏れ出てきた。元々はルディがやったことをファルが尻拭いしているだけじゃない。


「回復してあげるだけ」


 私はそう言って、ファルに右手を差し出そうとするけど、ルディにガシリと恋人つなぎをされて外れそうにない。


「ルディ。ファル様が寝ずに頑張ってくれているんだから、回復ぐらいしてもいいと思うんだけど?」


「あー。アンジュ、別にしなくていい。アンジュはシュレインの機嫌をこれ以上損ねないようにしてくれればいい」


 え?大人しくしているように、遠回しに言われた?わかったよ。今日は大人しくルディについていればいいってことだね。


 ファルは今日は一日外での作業だからといって、詰め所の洋館には入らず、焼き畑の森の中に一人入っていった。なので、ルディと二人で居間兼プレイルームに入ると、いつも朝から各々(おのおの)が好きなように過ごしているのに、今日は入り口に4人が整列していた。


「お、おはようう、ご···ございます」


 ヴィオが言葉に不自由なのかと思うほど詰まった声で挨拶をした。その後に続いて、3人が頭を下げて挨拶をしたが、皆一様に顔色が悪い。


「ああ、今日も特に予定はありませんから、いつもどおりで構いませんよ」


 胡散臭い笑顔のルディが今日も予定が無いことを告げると、脱兎の如く4人が部屋の一番端まで駆けていった。松葉杖をもったティオでさえもだ。

 あの、私まだ挨拶していないのだけど?


 ルディはいつもどおり、本棚から一冊本を抜き取り、一人掛けのソファに座り、私を膝の上に乗せた。

 えっと···これは何?私は立ち上がろうとするけれど、腰を抱えられ、全く動けない。

 顔を横に向け4人の方を見ると、4人共青いお顔で首を横に振って、こっちに来るなと手を振っている。


 何がいつもと違う?ただ、ファルがここに居ないだけだよね。ファル?

 あれ?そう言えばいつも4人は隊長であるルディの前じゃなくて、副隊長であるファルの前に整列していた。話すのもファルとは話しているのは見たことはあるけど、ルディと雑談しているのを聞いたことはない。ただ、ルディが隊長として命令を彼らにしていることはあった。

 ファルってもしかして、ルディと彼らの緩衝材になっている?


 昼食も一緒に食べないのはルディの所為だったりする?



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