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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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72 4つ目の聖痕


 ぱちりと目が覚める。お、恐ろしい夢を見た。妹よ。なんて恐ろしいものを私に勧めてくるのだ。


 い、いや。ちょっと待って。よく考えてみよう。さっきの夢は魂の記憶だ。その前後の事も思い出した。両親からはもう30歳なのだから、いい加減に身を固めなさいと言われたことから始まった話だった。

 私の性格がサバサバしているから、付き合っていても長く続かないと妹に言われたのだ。


 結局、私はそのゲームに手をつけなかったが、妹のユイが私にゲームをさせようと、ここがいいとかあれがいいとか、スチルを見せながら説明したことも思い出した。姉の私に18禁のスチルを喜々として見せないで欲しかった。


 妹的には主人公がイケメンたちにチヤホヤされるのがいいと言っていたが、ストーリー的には王道といっていいほどまともだった。

 簡単に言えば、魔物の脅威にさらされた世界で聖騎士の者達と力を合わせて、世界を平和にしていこうというありきたりな話だった。しかし、私はそこで突っ込んだ。


「普通、そこは陰陽師でしょ」


 っと。なぜなら、出てくる魔物が妖怪と言われる姿をしていたからだ。酒呑童子とか蔵馬の烏天狗とか玉藻御前とか。見せられたのが麗美なイラストだったのだが、私には蔵馬の烏天狗が牛若丸にしか見えなかった。


 そして、私は安倍晴明を主人公にすれば、やる気になるとも言った。


 しかし、妹のユイはスチル画面を私に見せつけ言い切った。


「イケメンたちにチヤホヤされるのがいいのに、晴明の式神にチヤホヤされても全然萌えない」


 いや、晴明の式神は晴明をチヤホヤする為にいるのではない。

 その見せられたスチル画面は、いったい何人いるんだという男性の中央に桜色の髪に桜色の目をした女の子が立っているスチルだった。

 その絵を見て思った。あどけない顔をしながら、何人の男を食ったのだと。


 ゲームだから許されることであって、現実的には許されないことだろうとも思った。


 思った····が、アンジュとして、この世界に生まれた世界がその18禁のゲームの世界だったとしたら····ありえる。現実的にありえてしまうのだ。聖女の血をひく次の聖女を作り出すために、力の強い者達の子を産むために。

 私は200年前の聖女の死の原因はこれだと思っている。子供が産める体になってから、魔物の討伐をしながら、毎夜別の男のもとに(はべ)るのだ。聖女自身が狂っていてもおかしくはない。


 だから、ファルは私に聞いたのだ。私が考える最悪の事態に陥ればどうするのかと。


 私の答えは決まっている。私の持てる力の全てを使って、狂信者共を滅ぼしてやると。



 ん?桜色の髪に桜色の目?私は銀髪だ。目はピンクだが、どちらかというとロゼと同じ鮮やかなピンクだ。薄い儚げな色ではない。ということは私は聖女じゃなかった!



 答えがでたら、喉が渇いた。何か飲みたい。ベッドから身を起こし、周りをみるが、外は暗くルディの姿も見当たらない。きっと私が会議の邪魔をしてしまったから、会議が長引いているのかもしれない。


 ベッドの端まで行って、床に降り立ち自分の部屋の方にいこうとすれば、何かが足に引っかかり床に膝をつけてしまった。

 暗くてわからないが何か床にあったのだろうかと、床を手で触ってみると、ジャラっと音がした。それをたどってみると私の足首につながっていた。



 物理的に拘束されている!!



 これは···これは許されることじゃないよね。


 ハハハ。こんなもので私が拘束されるとでも?ご丁寧に魔力抑制までされている。それも生きるのに最低限必要な魔力しか出せないようになっている。


「『溶解の毒』」


 私の4つ目の聖痕。毒の聖痕だ。魔力なんて関係ない。聖痕に必要なのは発動キーである呪のみ。

 私は足首に付けられている足枷に指をそっと沿わす。とても強力なので少しの毒で大丈夫。毒を塗ったところを指で弾くとパキッと壊れた。


 ハハハ。私をなめてもらっては困る。教会からも貴族からも逃げる為に力をつけてきたのだから。

 ···こんなところが妹に男前だと言われてしまっていたのだろうな。


 はー。しかし、教会に連れて来られた時点で失敗だったけれど。



 壊れた拘束具は元をたどって、ベッドの支柱につけられた鎖を断ち切り、そのまま持って私の部屋まで戻りゴミ箱に捨てる。そして、部屋に明かりを灯し、簡易キッチンに行くと、見慣れない物があった。私の背ほどの金属の箱だ。


 前面のパネルを引くと引き出しのようになった中に野菜が入っていた。もしかして、これは冷蔵庫!どうやら、4段の引き出しの冷蔵庫のようだ。しかし、残念なことに冷凍庫はなかった。一番下ぐらい冷凍庫かと思ったけれど、中はワインの瓶が入っていた。残念すぎる。


 お腹も空いたし何か作ろうか。夢の影響か頭の中ではカレーが浮かんだ。

 月に一度は本格スパイスカレーが食べたいと自分で作っていたけれど、スパイスがないので諦め···スパイスらしきものが棚の中にある。え?この世界ってスパイスあったんだ。

 唐辛子風の野菜はあったけれど、香辛料を初めてみた。匂いを嗅いでみるといくつか記憶を刺激する匂いがあったので、使えそうだ。



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