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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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516 身分がないということは

「甘っ」


 ティオは躊躇なくファルから渡された回復薬を飲んで、ヴィオを肩に担いだ。

 あ、そういう運び方ね。


 そして私たちは四人を連れて、王城の中に戻ってきた。


 その間ずっとヴィオがブツブツと言っていて、ちょっと怖かった。たぶん、自分が失敗して皆が牢に入れられたことに責任を感じているのかもしれない。


「副部隊長。さっきの回復薬すごいっすね。痛みがなくなったっす!」


 ん?もしかして尋問って拷問的なことが行われていた?


「ロゼ。シャールに回復薬を渡してくれる?」


 あのシャールが、ヴィオやティオに何も言っていないのがおかしい。何かと毒舌を吐くシャールがだ。

 横目で様子を窺うと、すました顔をしているが右足をかばう様子が見られた。


「はい。これを飲むといいよ」

「……」


 いつも一言は言い返してくるシャールが、黙って小瓶を開けて中身を飲み干している。


「飲みやすい」

「特別な回復薬だからね」


 あのシャールが普通に感想を言っている!


「シュレイン様。ファニングの者がアンジュ様を訪ねてきておりますが、如何致しましょう」


 私がシャールの反応に驚いていると突然横から声が聞こえてきた。

 横目でみると黒髪の青年が隣を歩いている。


 黒狼の人、神出鬼没で怖いよ。


「ファニって誰?私、知らないけど?」


 そもそも王城に知り合いなんていないし、ファニっていう名前に記憶がない。


「レクトフェールだ。アンジュ。いい加減にその適当な名前の覚え方どうにかしろ」

「いや、私が駄目人間だと、三歳児の私が言ったの覚えていないわけ?ファル様」


 どうやら第十一部隊長さんが情報を持ってきてくれたようだ。

 あ、そういえば、もう一人頼んでいた方はどうなったのだろう?


 両方からの意見を聞きたいな。


 その前に……


「ご飯を食べたい。ご飯食べながらでいいなら話を聞くよ」

「陛下の命で皆様の食事は用意させていただいております。では、食堂にご案内いたします」


 どうやら、王様はお腹が空いたという私のために、遅い昼食を用意してくれたようだ。

 助かるよ。

 ひもじい思いをしていると、嫌なことも思い出してしまうからね。


 それにしても、ここは嫌だな。


「あ、俺達は遠慮するっす」


 ヴィオを背負ったティオが一緒に食事をするのを断ってきた。たぶん、時間的にぽつんと一軒家の詰め所で食べたばかりなのだろう。


「今は、食べる気になれないよ。どこか休める場所に案内して欲しい」


 うーん?いつものシャールじゃない感じが気になる。


 回復薬を飲んだのに調子が悪そう。

 精神的な物かな?


 私は気になって、ルディの腕から飛び降りて、シャールの前に行く。


「なに?」

「元気がないから、どうしたのだろうと思って」

「別に……」


 そう言って視線を背けるシャール。

 普通なら皮肉が飛んできそうなのに。


「まだ、どこか痛い?」

「どこも痛くない。いったいなに?」


 右側をかばう素振りはなくなったから、痛みはなくなったのだろうと思って確認した。やはり、傷は治っているらしい。


「ティオ。シャールと一緒にいた?」

「別っす」


 別々に尋問……もとい拷問されていたのか。

 シャールの皮肉って虚勢だと思うんだよね。自分を守るための壁。


「聖騎士団に来る前のことで何か言われた?」


 その言葉にシャールは、ビクリと肩を揺らした。

 そうか、ティオとシャールに身分はない。

 そして牢に入っていたミレーとヴィオは貴族。ミレーは元貴族だけど。


 やはり、ここでも身分がない者は人扱いされないのか。


「『(まこと)に柳の枝に雪折れなしとかくや、心のしなやかさは世俗にひとしい』」

「なにを言っているのか聞き取れないけど?もしかして、頭おかしくなった?」


 うん。いつも通りに戻ったみたいだね。


「元気ならそれでいいよ」


 私はそう言って、リザ姉の方に行こうとすれば、魔王様に捕まってしまった。

 いや、こうやって抱えられているから目立つのだ。

 リザ姉とロゼと一緒にいれば、そこまで注目されないはず。


「シャールに何をしたのだ?」

「心を柔軟にする言葉をかけただけだよ」


 確か、ファルが言っていたよね。シャールの教会の者たちはシャール意外が全滅したと。火事だったかな?

 シャールはほとんど覚えていないと言っていたけど、それを知っているということは周りから幾度も言われたからなのだろう。


 その火事はお前の所為だったのではないのかと。


 その真偽は私は知らない。それに過去は変わることはない。


 だけど受け入れる心は変わることができる。


 雪が積もった柳の枝が折れないように、心もしなやかになるようにと。


「はぁ、やっぱり王城に来るべきじゃなかったんじゃない?身分がない者の扱いって結局これなんだよ」


 身分制度があるのだ。

 こういう扱いになるのは目に見えていた。


 国民からはシンデレラストーリーとして受け入れられるけど、貴族どもからの扱いはかわらない。


「そいつらはすぐに排除する。安心しろアンジュ」


 ……はぁ、それは王様がするんだよね。

 詳細は話されなかったけど、容赦無き鉄槌がくだされそうなんだよ。



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