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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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494 直接会うってどうかな?

「知っている人に聞きたかったのだけど」


 どうやら私の聖痕に目がやられたわけじゃないとわかった。なので、外套をまとったまま跪いている第十一部隊長さんの前に立つ。


「偽物の聖女ってどんな感じ?」


 私は目の中に隠した聖痕を光らせながら、身体を屈めた。

 まぁ、聖痕は気を抜くと光るのだけど。


「偽物の聖女とは聖騎士団で保護している平民のことですかね?」


 そっちじゃないよ。


「シェーンは偽物じゃないよ。月は太陽の光を反射するものだからね。そっちじゃなくて、『天意はこれから示される』という方だよ」


 私の言葉に第十一部隊長さんの方がビクッと揺れ動いた。

 まさか、あのとき言ったセリフが聖女のことだと、私が知っていると思わなったのだろう。そのことに、驚いたのかもしれない。


「ああ、別にそのことがどこからか漏れたわけじゃなくて、情報源はシェーンの……未来視?だからね」


 未来視といい切ってしまっていいのか微妙だけど、別にいいか。


「直接には知りませんよ。戻ってくるように言われていまして、聖女シェーンのお披露目パーティーまでに面会の機会が与えられる予定です」

「ああ、このタイミングで会うってことかぁ。そうなるとシェーンの話にも合うよね」


 だからシェーンが知るゲームの未来で、第十一部隊長さんが玉藻側に寝返ることになる。


 シェーンが偽物の聖女という情報が既に行き渡っているようだね。そして、呼び出して個人個人で面会をするのか。

 そこで相手の心を掴むという感じかな?


「茨木。直接玉藻に会うのはどう思う?」

「アンジュ!」


 ルディはちょっと黙っておいてよ。玉藻の知り合いの茨木の意見を聞きたいのだよ。


「アンジュ様がですか?」

「そう、第十一部隊長さんが会いに行くときに、ついていくっていいと思わない?」


 この世界で人としてどういう姿で、どんなふうに過ごしているのか知りたいよね。

 こう言ってはなんだけど、酒吞や茨木のように人に混じって問題なく暮らせていけるのなら、話し合いで解決できると思う。


 玉藻という人として暮らしていたのなら、言葉も通じるだろうし、意志も通じるだろう。


 まぁ、話してもわかりあえない人はいるのは理解している。だから、無理そうなら諦めるしかない。


 すると茨木は困った表情で答えた。


「それは勧められませんね」

「どうして?」

「玉藻は人の心を読むのに長けており、その心の隙をついてきますので……」

「あの黒狐の仲間が、だいぶんやられているんだろう?アマテラスが間者とわかれば、その首が飛んじまうかもなぁ」

「アンジュ。それは却下だ」


 茨木と酒吞の意見は同じらしい。

 敵と認識されれば、排除されると。

 ルディに反対されるのはわかっているよ。


「でもルディ。人の中にぬるりと入ってくる異形って怖いよ。今の状況を知ることができるのなら、それに越したことはない」


 すると、ルディは鬼の二人と緑龍に視線を向けた。

 普通にそこにいても、誰も彼らを人外だとは思わない。見た目はどうみても人なのだ。


「でしたら、レクトフェールにそのまま行かせればいいのです。それで、情報をこちらに漏らせばいいだけのこと」


 神父様が第十一部隊長さんに、スパイをさせるように言ってきた。

 でも茨木が言ったことが本当なら、第十一部隊長さんの首が飛ぶことになるんじゃないのかな?


「敵を目の前にして、逃げようとした愚か者にはいい薬でしょう」


 悪魔神父は、第十一部隊長さんに死ねと言っている。

 いや、初恋を引きずっている神父がいるのに、ルディの母親を(けな)したのだ。

 それは笑顔の下で沸々と怒りを溜めていたのかもしれない。


 怖いよ。


「ちょっと待ってください。その言いようでは、聖女カセツ様が異形だと言っているようなものです。そのようなことはありえません!」


 私たちの話から、本物と謳っている聖女が異形だと言っているのがわかったらしい。普通は否定するよね。

 人の中に異形が混じっているとは考えたくもない。


 だけど……


「カセツ?仮説?変な名前」

「アンジュ様。時期的に白雪を示す珂雪でしょう」

「ああ、時々王都でも雪が降っているから?」


 ん?そう言えば、玉藻は言葉が理解できているということ?


「名を名乗ったということは、玉藻はこの世界の言葉を理解しているというの?」

「違うんじゃねぇのか?ただ単に雪が降っていたから呟いた言葉を名と勘違いしたんだろう」

「しかし、人を食らって知を得ることもあると言っていましたので、言葉はなんとでもなるでしょう」


 酒吞の言い分も理解できる。が、茨木の言葉を聞くと、場所的にどうなのだろうか。


「予想では、聖騎士団の中に開いていた常闇から出てきたのではとしてきたけど、それだと誰か行方不明者がいることになるよ」


 聖騎士団の敷地内にある北側の森に開いていた常闇。開いていたのに、どこにも異形の姿がなかった。

 だから、聖騎士団の隊員に気づかれずに外に出たのなら、それは力がある異形ではと予想していたのだ。


「質問しているのは、私なのだが?何故にいつも人の話を聞かない」


 第十一部隊長さんに文句を言われてしまったのだった。


いつも読んでいただきましてありがとうございます。

もうすぐ500話になるのです。いつもの100話ごとの

おまけ話の別視点を希望されるキャラっていますかね?


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