表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

484/507

481 茨姫の城がありそうだね

「晴れていてよかったね」


 あちらこちらに水たまりがある町の中を歩くルディ。私は残念ながら、歩かせてもらえず、未だにルディに抱えられていた。


 町の人たちはこちらの方にちらちら視線を向けるものの、つかの間の晴れの時間を使って、慌ただしく動いている。


 どうやら町を出ていく準備をしているみたい。

 第一部隊の駐屯地がある町では露天が並び食材が豊富に並んでいたものの、この町では露天そのものが見られない。


 やはり長雨が続いている北側は、食料不足になっている。しかし、この地を治める領主は何をしているのだろう?


 前もこのようなことを思ったけど、領主が食料不足に対して、動き出すべきなのではないのか。


「この晴れ間もいつまで続くのか……騎獣ぐらい出しても罰はあたらないと思うが?レクトフェール」


 ガシャガシャと音を立てて歩く鎧から文句が出ている。そして何故か前方を馬型の騎獣に乗って進んでいる第十一部隊長。


 それは文句も出るよね。あとから来て自分だけ一人騎獣に乗っているのだから。


 しかし文句を言っているのはファルだけだ。

 ロゼとリザ姉は気配を消すようにヴァルト様の後ろからついてきている。

 酒吞と茨木と緑龍は少し距離をとった後ろから、なにか会話をしながらついてきている。

 どうやら茨木が緑龍に色々教えているようだ。


 そして神父様と私を抱えているルディは無言で歩いている。怖いぐらい無言で歩いている。


 いつもなら神父様が何かと話しかけてくるのに、それすらない。怖すぎるのだけど。


「どう見ても目的地はアレよね?」

「リザ副隊長もそう思います?」


 だから、ヴァルト様の後ろからコソコソと話をしているのが聞こえてくる。

 目的地がアレ。それは前方に見える小高い山のことだろう。


 一言でいうなら、茨姫の城でもあるんじゃないの?という雰囲気が遠くからでもわかる。


 そう、冬なのに青々と茂る緑。木と思えなくもないが、山全体にツタが絡みついているように見える。それも檻のように山を囲っているのだ。


「あんなのが突然現れたら、それは逃げるよね」

「できた瞬間を見ていないけど、この慌てようは相当なものだったのではないのかしら?」


 ……え?この人々が慌ただしく町をでていこうとしているのは、私の所為?


「あ……あれはその……『けいもう』っていうのを閉じ込めるためであって、人に危害を与えるものじゃないんだからね」


 私はコソコソと話しているロゼとリザ姉に向かって言い訳をする。


「私たちはわかっていますが、今も蠢いて見えるのを見ると、普通は逃げ腰になりますよね?」


 神父様もロゼとリザ姉と同じ意見のようだ。でもそれは私が悪いわけじゃなくて……。


「あれは、中で『けいもう』っていうのが移動しているから、外に出さないようにしているだけで、動かなければいいんだよ」

「アンジュ。お前の魔術ってえげつないな」


 ファルからおかしなことを言われてしまった。っていうか、騎獣に乗って移動したいって文句を言っていたのはもういいわけ?


「聖痕なので魔術じゃないよ。ファル様もしようと思えばできるはず」


 何故なら、植物系の聖痕の頂点がファルの緑の手の聖痕のはずなのだから。


「できるか!聖痕の力なんて、手を離れればそれまでだろう。術の増幅はありえない」


 あれ?おかしいなぁ?


「できるはずだよ。初代の緑の手を持った女性は、地面から植物を生やして成長させていた」


 それはダンジョンで見せられた映像なので、真偽のほどはわからない。だけど、あの場面を偽る必要もないので、本当のことなのだろう。

 そう、聖王の想い人の姿を偽る必要はない。


「いや、あれは命を削っていたじゃないか。普通はできることじゃない」


 あ……そうなんだ。でも命を削ることなんてしなくてもできるはずなのに。


「それはファルークスが、理解していないからですね。力の根源は世界だということに。聖痕は力の変換器と考えれば、力は世界から奪って増幅することも可能でしょう」


 いつもの感じに戻った神父様が、ファルに説明をする。無知だと力の使い方もわからないと。


「アレをアンジュが?……アレの所為で皆がパニックを起こしていたのですが、どう責任を取るつもりなのですか?」


 前方で一人だけ騎獣に乗っている第十一部隊長さんがこちらに振り返りながら聞いてきた。責任と言われてもねぇ。


「そのときに私の術で床と仲良しになっていた第十一部隊長さんに言われたくないよね」

「全部貴女の所為ということではないですか!」

「レクトフェール第十一部隊長。アンジュの所為ではなく、今まで対処できなかった己の無能さを悔め」


 ルディが苛立ったように言う。

 なんだか、昔から思っていたけどレクトっていう人は、すぐに喧嘩腰になるよね。

 心が狭いというか度量が小さいというか。

 ビクビクして、すぐに吠えだす小型犬のよう。

 あ、犬はいないのだった。


「でもこの状況を作ったのがアンジュっていうなら納得できるところあるよ」

「山一つを囲もうという発想はないものね」


 会話に参加するつもりはないロゼとリザ姉が、なにか酷いことを言っている。なに?納得って?


「そうだな。それか納得しろ」


 ルディも便乗しないでよ!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ