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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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472 上官と部下の関係で…

「神父様に言われてから考えているのだけど。私にとってルディは何なのかって」


 食堂で言われてから考えているけど、しっくりくる言葉がない。


 ルディのことを好きかと問われれば、好きと答えるだろう。しかし恋人かと問われれば、はて?と思う。

 前世の妹が言っていたようなキュンキュンするよりも、また魔王様が降臨しちゃてっいるよ……ドキドキ。が多い。


 ほぼ一緒に暮らしているけど、一部を除いては特に苦にはならない。そう、私の行動制限が多いということ以外はだ。


 たぶん、キルクスで一緒にいた影響が大きいのだと思う。行動を共にするファルが、特に問題視しないのと同じようにだ。


 ということは、答えは一つしかない。


「ほとんど一緒に行動しているのだから、部下と上官……」

「アンジュ!お前ワザと言っているだろう!」

「ちっ!外野は黙っていてよね!」


 ファル。絶対に魔術で声を拾っているよね。そんなに大声を出していないのに、離れた場所に聞こえるはずないもの。


「はぁ、家族ってことでいいじゃないのかなぁ」

「アンジュ!」

「だから、話し合うことは大事だと思うんだよ。私は色々言っているけど、ルディはそのことに対して、無言で不満を現しているよね」


 そう、いつも思っていた。

 たぶん、それは今までのことがあったから、人が多くいるときに言葉数が少なくなっていたのだと思う。


 痛い二つ名と、黒をまとう所為だ。

 ルディの言葉を聞いてくれる人がいなかったと。

 隊長としてはルディは発言していたけど、それ以外は副部隊長のファルが話していたようにだ。


「言いたいことがあるなら、言って欲しい。言わないとわからないよ。それで、妥協点を探せばいい」


 私がさっき言ったことを忘れてしまったのだろうか、驚いたようにルディが呆然と私を見ている。


「さっき言ったよね。キルクスで得た絆は、聖騎士団に入っても有効だよ。ルディの言葉を聞いてくれる人はいる。それに、敬語を話していたときのルディはキルクスで共に過ごした人たちと、気安く話していたよね?」


 本当に普通に話していたんだよね。だから、やっぱり、キルクスでの軍人教育……神父様が理想を掲げていたことは間違いではなかったということだと思う。


 そして、黒い隊服を着せられている少女っぽい元ツチノコの出来損ないの頭に手を乗せた。

 ……やっぱり太い髪の毛の一本がヘビか。


「それに、これはルディが思っているよりも扱いは難しいよ。神でしか倒せないヤマタノオロチだからね」


 酒吞たちと同じだ。あまり干渉しすぎると駄目な部類だ。ある程度自由を与えているほうがいい。


「見た目が女の子なのは……私に合わせたからかなぁ〜」


 ルディの好みを反映していると思われる。それで油断をしたところで牙を剥く。そんなところだろう。


「こういうのは、弱みをみせたら負けなんだよ。あと、私に執着しているとかね」


 私に怯えたような目を向けているものの、その瞳の奥は、なんの色も浮かんでいない。


「酒吞」

「おぅ」


 酒吞に呼びかけるとすぐに返事が帰ってきた。……やっぱり近くにいたよね。

 同じような黒い隊服を着ている酒吞に手を差し出す。


 すると、何故か大きな酒樽を背後から出してきた。準備がいいというか、自分で飲むつもりだったのか。

 酒樽の上を風の魔術で切り取る。すると、ワインの匂いが樽の中から香ってきた。

 前世からワインよりもビール派だったので、私は特に飲みたいとは思わない。


 だけど、先ほどとは違い、瞳孔が縦に伸びた瞳で樽の中身を凝視してる。そして、先が二つに分かれた舌を大きく裂けた口から出して、舌舐めずりをしていた。


「リト君。飲みたいかな?」


 髪の毛もざわざわと動き出していた。

 気持ち悪い。


 酒吞は用意がいい。木で作られたジョッキもさしだしてくれた。


 そのジョッキを樽につっこみ、ワインで満たす。


「ねぇ?飲みたいのかって聞いているのだけど?」

「うまそうだ」


 樽に顔を突っ込みそうなほど、ガン見している異形。


「ふーん。別にいいんだ。酒吞いらないって」

「なんだ?ぶどう酒は気に入らねぇか。それは仕方がねぇ」


 酒吞は樽を持ち上げて、そのままゴクゴクと飲みだした。


「我はいらぬとは言っておらぬ」


 身体が膨張するように巨大化してきた途中で、銀色の鎖で黒い物体の動きを止める。

 ミシミシと銀色の鎖が、頭が八つあるヘビに食い込んでいた。


「ルディ。これが王城に封じられるようにあった精霊石の正体だよ」

「流石、アンジュ様。素晴らしいです。変化途中で縛り上げるなど、鬼畜の所業ですね」


 茨木、それ褒めていないよね。


「これの扱い方も話し合おうね」


 そう言って蠢く黒い物体を足蹴にして、重力の聖痕で地面にめり込ませたのだった。


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