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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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466 腕輪の効力の無効化

「え?転移を使えないの?」


 私は思わず声を張り上げて聞いてしまった。


「そうですね。十回中三回は目的地に届かないですね」


 なに?その微妙な感じ。成功率が7割。あとは常闇に呑まれたという感じなのだろう。


 そう言われると現行で稼働している、人数制限ありの転移は凄いと言える。いや、何か明確に引き合う物が無いと駄目ってことか。


「それで、その鎧で試したってこと?」


 私は神父様の背後にある聖騎士の鎧を指して言った。


「そうですね。嵐を生み出すモノと戦う為には、必要だと思いましてね」


 確かに怪神という知らないモノと対峙するには、防具は必要かもしれない。だけど、それって第十一部隊長さんのところから拝借したってこと?

 えー?誰が着たかわからない鎧を着るのは嫌だよ。


「それ、どこの鎧?」


 私は嫌そうに聞く。絶対に着たくないオーラを出しながら。


「アルデバランに用意させたので、誰も使っていない鎧ですよ」

「誰か知らない人からもらっている!」


 アルデって誰?そんな人いた?

 いや、私はお飾りの副部隊長なので、紹介されていない人はたくさんいるはず。


「アンジュ。シスターマリアの元婚約者だ」


 あ!ルディから言われて何か思い出した。シスターマリアが、元婚約者と仲が悪いと。そんな名前だった?覚えていない。


 そうか。ということは、神父様の元部下なので、二言返事で用意したってことだね。

 ってことは、昨日連絡を取っていたのがその人だったってことか。


 神父様の影響力が酷いってことだね。


「だいたいわかった。それじゃ、ワイバーンで今からいく?」


 そうなると、到着は夕刻になるだろうけど。


「転移で行きますよ。そのための物を用意しましたので」


 そう言って神父様は、銀色の腕輪を私に見せてきた。それはもしかして……私の左腕についている黒い腕輪を見る。


 元は銀色だった腕輪をだ。


「え?神父様に隷属される可哀想な人って誰?」

「何を言っているのです。腕輪自体に引き合う力があるなら、契約など不要ですよ」


 うっ。冷たい視線で返されてしまった。元々一定の距離から離れると引き合う力が発動する代物だ。しかし、神父様の手には一つしかない。

 片割れのもう一つがない。


「もう一つはどこにあるの?近くにあるってこと?」

「はぁ、シュレイン。何も説明せずにアンジュにそれをつけたのですか?」


 そのとおり!私は婚約の腕輪しか聞いていない。あと、距離が4キロを超えると引き合うってこと。


「それがどうした?説明など無意味だろう?現にアンジュは独自でその腕輪が持つ能力を発見した」


 よくわからないものを渡されたら色々試すよね。それぐらい普通。


 だけど説明は必要だと思う。


「アンジュこれは装着者の魔力が無ければ、意味をなしません。ですから、魔力が枯渇すれば……」

「リュミエール神父!」


 ルディが、神父様に噛みつくように言葉を遮った。

 はは~ん?そういう事。


 魔力が無ければいいんだよね。


 私の魔力を内側に押し込める。外に漏れないようにギュウギュウに押し込める。


「はぁ。だから言いたくなかったんだ」


 そう!これで完璧に魔力をまとわない者になった。

 うなだれるルディを他所に、私はルディから離れて行き一言呟く。


「転移」


 しーん。

 何も起こらない。


「成功!これで王都の町の中を行き放題!」


 勝利のガッツポーズを決める私。王都に戻ったら色んなお店に行こう!


「そこで王都を出るってならないんだぁ。アンジュならそう言うと思ったのに」

「ロゼ。そっちは神父様の縛りがあるから駄目だよ」


 聖騎士であること。でもこれは抜け道がある。口には出さないけど。


 そう、だって今にも空間から何かが出てきそうなほど、背景が歪んでいる魔王様がそこにいるからだ。


 そんな魔王様の近くに行く。それも上機嫌でだ。


「ルディ。王都の町に行っても、お土産は買ってくるよ」

「アンジュちゃん。どうしてそこは一緒に行こうってならないの?」


 リザ姉。それを言うと私の行きたいところにいけないからだよ。


「アンジュ。俺から逃げようとしても無駄だぞ」


 深淵を覗き込んだような目をして、私を見ないで欲しい。

 まぁそれもわかっているよ。


 しかし、私への執着が事あるごとに、段々と酷くなってきている気がする。


「やりたくないけど、ものすごくやりたく無いけど、王様にまで説得されたから、王妃なるという約束は守るよ」


 その代わり色んな人を巻き込むからね。


「兄上に説得されたから?」


 うっ。だから、何も映さない目で見ないで欲しいな。


「あと。ルディからは、契約書にサインしろとしか言われていない。私が王妃になることが当たり前って感じだった。私が嫌だと言ったら、王様が説得してきた。逆に言えば王様しか説得していない。あとリザ姉は私の味方」


 あの時私を擁護してくれたのはリザ姉だけだった。だから、私の味方で居てくれるリザ姉は絶対に巻き込むと決めたのだった。


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