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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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455 却下されてしまった

 ここから移動できないとなると、聖女のお披露目パーティーに間に合わないことになりかねない。


 他に移動手段を模索するべきかもしれない。


「先程、この辺りに住む者から情報を得たのだが」


 私が移動手段を考えていると、ヴァルト様が言ってきた。


「どうも晴れているのに、小雨と大雨が降るというのを繰り返しているらしい。だから、少し待てば小雨になる可能性があるのではないのか?」


 おお!ヴァルト様は地元の人から変わったことがなかったか聞いてくれたようだ。そういう情報が欲しかった!


「流石、ヴァルト様です!」

「アンジュ様の役に立つことが、我々の務めですので」

「だから私に敬称はいらないです。あとルディ、背後から不機嫌を振りまかないで」


 後ろを振り向きたくない。ヴァルト様を褒めると、魔王様が降臨する確率が非常に高くなると思う。


 でも、雨が強くなるのと弱くなるのを繰り返しているってどういうことかな?

 スコールみたいに局地てきな雨?

 でも繰り返しているのがわからない。


 それにそう言っているということは、小雨になって空を移動していると、再び大雨に遭って足止めされてしまうことになる。


「台風みたいな感じに強弱がある?」


 台風なら風の強いところと弱いところがある。雨も強く降っても弱くなることがある。

 私が地面に木の棒で台風の目を中心に湾曲した矢印をかいていると


野分(のわき)のことですか?」


 茨木が聞いてきた。だけど、『のわき』がわからない。


「それどういう現象?」

「秋から冬にかけてくる強い嵐のことですね」

「ああ、それそれ」


 どうやら古い言い方は『のわき』というらしい。

 こういうところが生きる時代が違うって思うよね。


「それがどういう波なのかだよね」

「波ですか?」


 いつの間にか神父様が私の落書きを覗き見ていた。いや、大したことは描いていないよ。


「えっと、その異形中心に放射状に雨が降っているだけなら、同じところしか降らない。だけど、それがぐるぐると回っていれば、繰り返し雨の波がくる」

「それが雨の強弱の原因だと?」

「うーん?もう一つ考えられるのが……」

「水の波紋のような中心点からの雨ですか」

「そう、それだとどうしても足止めされる。まぁ、どちらにしろワイバーンが飛べない雨ならどうしようもない」


 あとは天神がいたぐらいの超上空飛行になるけど、これは神父様の結界次第になる。


 でも、これほどの雨を操る怪神というものはいったいどういうものなんだろう?

 いや、巨大な海のような湖を作り出した天神の方が恐ろしいと言っていい。


「若しくは強引な手を使うか」

「アンジュやめろ。お前がいうとろくなことにならない」

「そうよ!アンジュ。こっちにも被害がくるから止めてよね」

「あらあら、何かするなら事前に言って欲しいわ」


 ファルとロゼに否定されてしまった。まだ何も言っていないのに。それからリザ姉は何をするか申告して欲しいと。


 いったい私が何をすると思っているのか。


「それでアンジュの案はなんですか?」

「禁忌の転移を使う」

「それは世界に取り込まれますよね?」


 そう、世界の裏側に落ちるはず。だけど天神はいとも簡単にやってのけた。あの時、私と神父様を別の空間に移動させたのだ。


「空間の隔離。空間の干渉。それは世界の安定化。そして世界の点と点をつなぎ、移動する。できるはず。……たぶん」

「却下です」


 まぁ、やっぱりそう言われるよね。

 これは神父様とルディの力の合せ技で、世界の安定化をしなければならない。全く似ていないけど、性格が似ている叔父と甥ならできると思ったんだけどなぁ。

 今は魔王様になりかけているから無理か。


「そう、それじゃ。すべてをぶっ飛ばそう」

「なんか滅茶苦茶なことを言いだしたぞ」

「なに?雨をぶっ飛ばせるはずないじゃない?」

「あらあら?相変わらず、やろうとしていることがわからないわ」


 それはたぶん私だけでできるはず。だけどその後がどうなるかがわからないんだよね。


「具体的には?」

「巨大な風の渦を作ればいい」


 使うのは『旋風(せんぷう)静寂(せいじゃく)』だ。この現象は怪神の力がここまで届いているから起こっているのであれば、その力をふっ飛ばせば、雨は降らない。


旋風(せんぷう)静寂(せいじゃく)』であれば、圧縮した力が暴発するように周囲に爆散する。だけど、地上ですると色々問題がある。

 だから私一人で上空に行っておこなわないといけない。だけど、それを魔王様が首を縦に振るかという問題が出てくるのだった。


 そう今も無言で私を捕獲している魔王様がだ。



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