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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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453 冬眠中に襲うとは……

 町の中で……とはやはりいかず、高い塀が遠くに見える町外れの丘の上に、ワイバーンを着地させた。


 どうもどこぞかの騎士団の管轄地だったらしく、見張りの騎士を上空から目視した神父様が、着地地点を急遽変えたのだった。


 本当に聖騎士と一般の騎士って仲がわるいよね。


 因みに、移動時に神父様を中心として動いているのは、時間短縮のため神父様に術を使ってもらっているからだ。

 長距離移動の指示系統は、神父様が中心としている。



「それでなんですか?」


 ワイバーンに水を与え終わった神父様が、私に話しかけてきた。

 ちょっと待ってチートな毛皮のコートに、撥水加工をしているから……ただ単に水を弾く術をかけているだけなのだけど。


 全体に術を施したかったので、毛皮のコートを脱ぐのに、一旦地上に降りたかったのだ。

 そう、ワイバーンの上だと絶対に、魔王様が解放してくれないからだ。



「以前、王都に降る雨から玄武の力を感じるとヘビ共が言っていたんだよ。それで晴れているのに雨が落ちてきたのが気になって聞いてみたんだけど……」


 その雨はこの晴れた青い空から落ち続けている。前世ではキツネの嫁入りと呼ばれる天候といえるのだけど、この雲がどこにも見えないのに、この状況はおかしいと言えた。


 だからヘビ共に聞いてみたのだけど……。


「緑龍が知ってね。水を司る怪神という情報だけなんだよ。緑龍以外その名を知らなくて、尋問……ちょっと詳しく聞きたかったんだよ」


 これは絶対に北は普通ではない雨が降っている予感しかない。


「じ……尋問……」


 どこからか乾燥している木を持ってきた緑龍が突っ立っていた。

 私が休憩をしようと言ったために、小腹を満たす準備をしているのだ。


 急ぐことではあるのだけど、腹が減っては戦はできぬというからね。リザ姉とロゼは町の方に行って買い出しをしてきてもらっている。

 第七部隊がいたあの場所にも食べ物があったのだけど、保存食が多かったので、やはり新鮮な食べ物が欲しい。

 まぁ、肉はたんまりとあったので文句は無かった。硬かったけど。……はっ!文句を言ってしまった。


「この辺りに美味そうな肉がなかったんだが、これでいいか?」


 そこに大きな毛皮の物体を担いだ酒吞が戻ってきた。その背後には氷の塊を持った茨木もいる。

 いったい二人して何を持ってきたわけ?


 そして地面にドサリと置かれた物体はクマだった。それも赤い毛並みのクマ。

 これは目立つよね。

 っていうか、この世界でクマって初めてみたよ。


「穴に潜んでいるところを仕留めたのですよ。ですから、あまり美味しく無いかもしれませんね」


 酒吞がどうやってこれを狩って来たか説明してくれる茨木。

 それって、穴に潜んでいたというより、冬眠していたんだよね?


魔赤熊(レッドベアー)ですか。北部にしか生息していない魔獣ですね。美味しいかどうかはわかりませんが、この辺りはこの前のリュージンというものの所為で豪雪地帯になってましたから、生存するために穴蔵にいたのでしょうね」

「え?この辺りって、第一部隊の管轄になっているの?おかしくない?」


 第七部隊の管轄地が豪雪になっていたかは知らないけど、第一部隊の管轄地はこれ以上降るとヤバいというところまで雪が積もっていた。


 でも北東方向に進めば、第11部隊の管轄地なのに、何故に東に進路を変えて進んでいるのだろう。


「アンジュは知らないのか?エルアール山のことを。国の地理は習っているはずだろう?」

「エルアール?」


 ルディから何か聞いたことがある名前がでてきた。

 確か、そこには空の王がいるから、その辺りは飛行禁止区域だと言われた気がする


「キングギドラがいると言われた気がする」


 すると複数の視線が私にブスブスと刺さってきた。だってどういう魔物かという説明すると、一言で言えば、頭が三つあるドラゴンなのだ。


 まさにキングギドラ。


「頭が三つあるドラゴンで、その空域を飛ぶなってことで合っているよね!」

「合っていますが、勝手に変な名前をつけないようにしてください」

「はーい」


 おざなり返事をする私。

 そして、シレっと話題を変えるために茨木のところに行ってみる。さっきからその氷の塊が気になっていたんだよね。


「ねぇ。それってなに?」

「卵ですね。そのクマがいた場所にあったのです」

「ああ、魔獣の卵でしょう」

「は?」


 聞き間違えかと思い、神父い様聞き返してしまった。


「魔獣って卵から孵化するの!」


 なんという衝撃的な事実。魔獣の繁殖は卵からだったとは……すると再び私に視線がブスブスと突き刺さってきたのだった。


 私がよくさぼっていたのは、周知の事実だよね?

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