452 怪神って何なの?
丸一日の休息後、私たちはワイバーンで空に飛び立った。
しかし、ワイバーンの中で怪しい物体が混じっていることに誰も何も言わない。
そう緑龍が緑色の角があるヘビ状態で空を飛んでいるのだ。誰か突っ込もうよ。
そんな状況で更に北を目指している。
第十一部隊が管轄しているジャンエース地方にだ。
「ジャンエース地方って一番北側だよね?」
第十一部隊の管轄も国の一番北側になるので、第七部隊の管轄地よりも北になる。
「吹雪いていると嫌だなぁ」
寒いし視界が悪くなるし、戦闘向きじゃない条件になってしまう。
「防具も新調する時間も無いし、不利になるだろうな」
そう天神の所為で金属である甲冑は溶けてしまったから、誰も甲冑を纏っていない。
いや、私と神父様はもともと甲冑は着ていなかったけど。
王都に戻れば予備があるらしいのだけど、王都まで戻る時間が惜しいということで、そのままジャンエース地方に直行しようという話になったのだ。
そして私はがっしりとルディに捕獲されながらワイバーンに乗っている。
それも、かなり力が強めである。
苦しいから力を緩めて欲しいと言ったら、魔王様降臨一歩手前になってしまったから、大人しくしているのだ。
「やっぱり王都に戻る?往復に丸一日かかるけど、戻れないことないよね」
「それは昨日話し合っただろう。糸を操る異形だと蜘蛛系になるのではとリュミエール神父も言ってたことだし、他の者も同意していた」
ジャンエース地方に現れたモノは糸を操る異形らしい。だけどその姿は見えず、詳細がわからない。
だけどここに来て私は本当にそれでいいのだろうかと思ってきた。
昨日話し合ったあと色々考えてみた。
安易に蜘蛛の妖怪と決めつけていいのだろうかと。
「今回も海の異形だと思っていたら、空にいる天神だった。そういう思い込みはよくないよ」
そもそも引っかかっていることがある。ジャンエース地方の異形の情報を聞くかぎり、蜘蛛の巣のように罠を張ったようなものではなく、見えない糸に突然絡まれるらしい。
そう、蜘蛛なら何もない空間に張り付くという表現を使うはずだからだ。
いや、思い込みはよくない。
天神のときのように臨機応変に対応するしかないのだろう。
「確かにそうだな……雨?」
ポツリと頬に水滴が落ちてきた。こんなときに雨だなんて……そう思って視線を上に向ける。
「晴れている」
私の視界には冬の寒々しい白群色の空が広がっている。あ……なんだか嫌な予感がする。
「青嵐!この雨はなに?」
私は左手を振って水を司る青龍に呼びかけた。
すると、青いヘビと黒いヘビがワイバーンの横に現れる。だが、その二匹のヘビが困惑しているような表情を浮かべていた。
「とても強い妖力を感じますが、どうも知っている者ではありませんね」
二匹の代わりに茨木が答えてくれた。やはりこの雨は普通ではなかった。しかし知らないってどういうこと?
そこに緑龍が寄ってきた。
「計蒙だ」
また知らない名前が出てきた!『けいもう』って何!
聞いたことがない妖怪だよ。
「ごめん何かわからないから説明をして」
「うむ。水を司る怪神である」
……え?なにか変な言葉が聞こえたよ。カイシンってなに?怪異の神?また神?どこの神?
「また神なのぉ!それもまた水!なんでこう水ばかり!それは世界も水底に沈むわ!」
あまりにものことに叫んでしまった。
これだと糸を出すやつは雑魚ってことになる。いや、糸を出す異形も神クラスってことないよね。
「『神父様!休憩と情報をまとめるために休憩がしたいです!』」
私は『響声』を使って神父様に呼びかける。
「『それは休憩がしたいだけに聞こえますよ』」
はっ!あまりにものことに、休憩したいことが前面に出てしまった。そしてこの二匹のヘビ共が横に並んで飛んでいる状況に、イラッとしてくる。
わからないのなら、わからないと言いなさいよ!
プライドだけは高いヘビ共が!
「『雨が強くなる可能性があるので、防水加工したいです』」
一人毛皮を着ている私は、このままモウケイという怪神がいるジャンエース地方に入ると、水分を含んだ重い毛皮をまとうことになってしまう。
その前にオリジナルで作った防水の魔術を使いたい。
「『雨が強くなるのですか?』」
「『なる。絶対になる。また水の神なの!』」
私と神父様の『響声』での会話を聞いていたロゼが遠くの方で悲鳴を上げている。
わかる。わかるよ。また水の神なんだよ。それも初めて聞く名前だし、茨木が知らないってヤバすぎない?
「『わかりました。そこに街がありますから、降りましょう』」
前方の下の方を見れば街があるのが見えた。だけど、ワイバーンが降り立てるところってあるのかなぁ?
それより、ヘビ三匹がひと目につくのはヤバいよね。
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(あらすじ)
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春の暖かい日のお茶会で公爵令嬢である『祝福の聖女』エリザベートは、堂々と私の元婚約者に腕をからめながら言ってきたのです。
婚約破棄された私に。エリザベートに毎回絡まれる私に。毎日汚水の浄化をしている私に。
もふもふの癒しがあってもいいではないですか。
なぜ癒しのもふもふが、隣国の皇子っぽい人になっているのですか!
興味がありましたらよろしくお願いします。
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