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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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443 聖痕の覚醒

「あれを発生させたのはルディだ」


 私は目視できるほど近くにある空間のひび割れを指す。

 その間に天神の行動範囲を狭めるために、私たちごと銀色の鎖の檻に閉じこめるように空間を銀の鎖で仕切っていく。


「だから、広げることも閉じることも可能のはず。あのまま、ひび割れを大きくするだけでいい」


 天神を押し込める穴があればいいのだ。


「ということでよろしく!」


 私はそう言って、天神の元に突っ込んでいく。


「アンジュ!」

「ルディ。私とチートな神父様がタッグを組んで、負けるなんてことはない!私も聖騎士なんだからね!」


 私を引き留めようとするルディに牽制する。天神が私と神父様の死体を偽装したのが悪い。

 そして、あんなものに騙されるルディも悪い。


 私達は聖騎士だ。勝てなくても、負けない戦いに持っていかないといけない。


「シュレインがやらなければ、アンジュの未来は死ですよ」

「神父様。そういう言い方は駄目だって」


 天神に向って勇者の剣を振るう神父様がいらないことを言った。ほら、なんだかルディの背後が歪んで見えるじゃない。


「やればいいのだろう!」


 逆ギレされた!

 しかし、こっちもそんなに余裕はない。ファルの緑の鳥は全て雷で撃ち落とされてしまっていた。


『我に歯向かうなど、愚かしいことだとその身に刻め!』


 天神の声と共に全身にのしかかるような圧力がかかる。

 そして天井がない暗闇から雨のように落ちてくる(いかずち)


『主様に逆らうなど、ほんに愚かしいことよ』

『妾たちが相手をいたそう』


 何処からともなく、赤髪の白拍子と白髪の白拍子が現れた。

 これはもしかして……


「ロゼ!飛び梅を倒していないじゃない!」


 あれだけ、梅の木を全部倒すように言ったじゃない!いや、飛び梅だから飛んで逃げたってこと?


『主様。恐らく紅梅は先程とは別のモノと思われます』

『あれらの相手は我ら青嵐と月影におまかせを』


 ヘビ共が話かけてきたと思えば、指輪から勝手に抜け出してしまった。

 あれだけ凹ましたのに、勝手な行動を取るヘビ共。あとで締めておこう。


 流石に、ここまで雷の雨に降られると、まともに動けるのが、強固な結界を張れる神父様だけか。


 いや、ファルは無理かも知れないけど、ヴァルト様は行けるはず。


「ヴァルト様。空間を分解するんだよ!」


 私はそう言いながら、天神に向って拳を振るう。あ、避けられて左肩をかすっただけになってしまった。


 天神の着物に紫色の液体が付着する。


『――――――!!』


 声にならない悲鳴を上げる天神。左肩から紫色の煙が上がった。


『天照大神の化身……貴様は危険だ』


 天神はそう言って私に左手を伸ばしてくる。


「うぐっ!」


 これは、あの浄蔵とかいう僧兵が使ってきた術。動けない。息もできない。

 いや、あの浄蔵よりも力が強い。


「アンジュ様!」

「はっー!」


 息ができる。

 何の術かは不明だけど、解放された。

 そして天神と言えば右手が消失している。


「私が不甲斐ないばかりに申し訳ございません」


 ヴァルト様。そんなことはないよ。

 天神は右手が消滅して苦しみ悶えているから……え?ヴァルト様の聖痕の術が天神に通じている!


 よく見るとヴァルト様の首元に紫紺の紋様が出てきていた。

 これはルディと同じく聖痕の覚醒というやつ?


「貴様!俺のアンジュに何をした!」


 ふぉ!魔王様の激怒の声が聞こえ、天神の姿が視界から吹っ飛んでいく。


 うん。なんとなくわかった。聖女シェーンが知っているゲームの世界で、壊滅状態であった聖騎士団が戦えていた理由だ。


 生き残った者たちの殆どが、聖痕を覚醒させていたのだ。だって神をぶっ飛ばすほどだ。

 そして団長(コマンドール)も覚醒していたのであれば、ラスボス化して最強だったのかもしれない。


「ルディ!凄いよ!」


 ふっとばされた天神は、床から空にかけて大きく開いた常闇の側に転がっていた。

 ならば、このまま押し込めばいい。


 握っている銀色の鎖を思いっきり振り上げる。天神の左腕に絡みついた鎖は、天神を上に引き上げた。すると、神父様の勇者の剣が天神を捉えて袈裟斬りにした。


 ヤバい。悪魔神父まで聖痕を覚醒している。勇者の剣がまばゆいほどの光を放っているよ。


 そのまま常闇に!


 しかし、空間の縁に手をかけて留まる天神。だが、ここまでくればいい。


「落ちろ!」


 ルディが満身創痍の天神をぶん殴って、常闇に叩き落とした。空間の隙間に落ちていく天神。

 その時、キーンという甲高い音が聞こえてくる。


「ルディ!そこから離れて!」


 天神に繋いでいた銀色の鎖を外す。両手を漆黒のひび割れに向け、私達を囲っていた鎖を常闇を縫い合わせるように覆った。


 しかし、タイミングがズレてしまい、銀の鎖の隙間から黒い鎖が飛び出してきてしまう。それも私達を捕らえるように複数の鎖が飛び出てきたのだった。


 やはり、この距離は近すぎた。




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