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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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440 太陽の聖王の望み

 当たりだ!


 私は太陽の聖痕を掲げた男性を掴む。

 ちっ!霊体は、やはり触れないのか。


『俺とお前とでは違う。たかが、異界から来た者が、俺に触れれるはずはないだろう!』


 はぁ、きっとこういう傲慢なところが獅子王と息があったのかもしれない。この傲慢さを抑えていたのが、緑の手を持つ女性だったのだろう。


 ファルを失っていたルディはきっと、この太陽の王と同じ道をたどったのかもしれないね。

 まぁ、ルディが王になった未来は、ゲームでも語られなかったようだけど。


 素手で触れないのであれば、これではどうかな?


「『茨の鎖(カテアンカーティ)』」


 茨の鎖で太陽の王の動きを封じた。


『なっ!』

「黒狐の王妃を炎で足止めできたからね。たぶん物理的ではなかったら接触できるんだよね。ちなみに私の茨はとても能力値が高いんだって、たぶん茨を聖痕にしようと思った人が居なかったのだろうね」


 獅子王もそうだけど、私は聖女システムを作ったこの男も嫌いだ。よくもまぁこんな非道なものを作れたと関心してしまうよ。


「ねぇ。貴方は何をしたかったのか聞いていい?何年も何百年も千年もかけて何がしたかったのか聞いていい?獣人を憎んでいたはずの貴方が獅子王と手を組んだ理由を聞いていい?」


 私は既に死んで霊体でしかない男に詰め寄っていく。

 しかし答えない。


『獅子王は贖罪なのだろうと思う。最後の王にして、永遠の王。彼は民を自らの手で殺し贖罪した。でも、それでは足りなかった。だから、未来も差し出した。己の命をかけずに、なんと傲慢な王の所行』


 しかし、彼は最後に仕掛けをしているといっていた。だからその発動を見届けるために今のダンジョンの奥深くで生き続けているのかもしれない。


 この太陽の王は、その獅子王と手を組む理由がはっきり言ってないのだ。


 だけど聖女システムの中心に居たのがこの男だろう。濁った金色の瞳を見ながら尋ねる。


「貴方は死の世界で何を見たの?」


 その時、太陽の王の表情が変わった。

 やはり、死の世界に行ったのか。

 もしかしたら、この世界に厳密な死は存在しないのかもしれない。


 何故なら、異界の異形でさえその魂は精霊石と呼ばれる石に封じ込まれているのだから。


「はぁ……伊邪那美と伊邪那岐じゃないのだから」


 私は太陽の王の王冠のような聖痕に手を添える。


「思ったんだよ。魂がそのまま存在しているのであれば、聖痕の力もそのまま保持されているんじゃないのかってね」


 青嵐や月影が龍であることに変化はなく、元々もっていたであろう能力も持っていた。ならば、聖痕の力も魂に付随しているのではないのか。


 これが私の考察だ。


 それを今から実証しようと思っている。


「私は貴方が獅子王のように世界を思って行動しているのであれば、ここまでしようと思っていなかったのだけどね」


 世界の糧になればいい。そう思っていた。だけど、この男は一人の女性を想い行動したものの、伊邪那岐と同じように逃げ帰ったのだ。


「緑の手を持つ女性が死んだのは、能力の使い過ぎだ。それを望んだのは貴方であり、周りの者達だった。それを彼女は受け入れた」


 トドメが最後の大木を作り出したことなのだろうけど、人々の食料を一人で賄っていた時点で、彼女の聖痕は限界に達していた。


「同じ緑の手を持つ人が言っていたんだけど、王に同じ命令をされて死ねと言われたらどうするって聞いてみたんだよ。『それは名誉なことだ』って答えていたね」


 すると敵意丸出しだった太陽の王は、一瞬ん驚いたような表情をして、そのあと朗らかな笑みを浮かべた。


『そうか。名誉なのか』


 私と同じ太陽の聖痕に触れる。そして私の力で侵食した。


 そう、黒い鎖のときと同じように私の力にしようとしているのだ。


「アツッ!」


 右目に痛みと熱さが襲ってきて、聖痕を外へと放り出した。

 すると一気に闇が光に満たされる。


『俺の仮説は合っていたようだな。俺の望みは……』


 霊体である太陽の王の胸から剣が生えている。それも真っ黒な剣身が……あれ?詰め寄って居たはずの太陽の王から離れている?


「アンジュ。あの男は誰だ」

「ふぉ!」


 近くで魔王様の声が!

 斜め上を見ると金色の目と視線があってしまった。


 ……正気に戻って……ヨカッタネ。


 え?私、聖痕の力をフルにしてからルディをぶん殴ろうと思っていたのに、太陽の王を呼び出し損?


「あの男は誰だと聞いているんだ」

「ソールのセイオウサマデス」


 その姿は既になく、ルディの漆黒の剣が金色の雲に突き刺さっていた。


 金色の雲!


 辺りを見渡すと、全体的に薄く常闇のモヤが残っているものの、天神が作り出した世界に戻っていた。

 それも金色の雲の上に木がいっぱい生えているんだけど?なにこれ?


「なぜ。その聖王という輩とキスしていた」

「いや、してないよ」


 魔王様……何故にそんな解釈になったのかなぁ。



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