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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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434 孤立

 いくつかの建物を駆け抜け、一番奥の建物が見えた。屋根がついた渡り廊下の先には、目が痛いほど鮮やかな建物が建っている。


 赤く塗られた柱に、屋根の下にある空間には造形物が形作られ鮮やかに彩色がされていた。

 それも瓦が金色に見える。目の錯覚?


 それに、こんな鮮やかな建物って、修復されたばかりの神社仏閣ぐらいしか見たことがない。

 誰がこんなイタイ家に住むっていうの?


 あ……天神だから別にいいのか。


「(思っていたより時間を食ってしまった)」


 ルディが言うように、ここにたどり着くまでに、うざい小物が邪魔をしてきて、何度か足止めをくらってしまったのだ。


「(そうですね。これ以上はあまり時間をかけると我々の方が行動不能になってしまいますね)」


 私の毒の花の所為でね!

 しかし、毒無効効果には助かった。途中で毒霧を吐く蜘蛛が現れたし。


「(しかし、これが最短だったのも事実だろう。聖女様がほぼ一撃で倒して進んできたのだからな)」


 ヴァルト様。だから聖女呼びはやめてくださいと言いましたよね?


「(そうですね。一撃でしたね。姿を見せた瞬間には消えてましたね)」

「え?それは私に文句があると?」

「(アンジュ。念話を使いましょうか。それから容赦のない一撃だったと褒めているのですよ)」


 神父様から言われても褒められているとは全く思わない。


「(無駄口はここまでだ。建物の中に入って、天神とかいうモノを確認次第、総攻撃だ)」


 あと十数歩で色彩豊かな……目が痛い建物に入ろうというときに、ルディから戦闘準備の声がかかった。

 それに対して、神父様とヴァルト様が剣を抜く。いつでも攻撃できるようにだ。


 そして、渡り廊下から、黒檀の床を踏みしめた瞬間。世界が歪んだ。


 これは……この感覚は知っている。転移だ。いや、正確には違うけど、何処かに飛ばされた感覚があった。


 私は立ち止まって周りを見る。だけど、誰もいない。

 まさか!ここに来てバラバラにされた!

 確かに、あの場所は必ず通らなければならなかった。そこに転移の罠を仕掛けていたなんて!


 取り敢えず、この状況を把握しよう。

 視線を前方に向ければ、黒檀の床が続いており、何処まで続いているのか確認できない。そして両側には、なんとか派とか言われそうな、色彩豊かな襖絵が廊下を挟んでいる。


 あれ?何故こんなに綺麗に色が見えるのだろう?


 明かりなんてどこにも灯っていない。……違う。空間全体に光が満ちている。足元を見ても私の下には影は存在しない。


 何?この空間は?


 横にある襖を思い切り両手で開け放つ。畳の部屋の先にも襖。

 この際どこに飛ばされても同じだ。

 せめて誰かと合流しなければならない。


 畳の間に土足で上がる。……今までの板間の廊下も土足だったよ。敵陣に踏み込むのに、靴を脱ぐ馬鹿はいないよ。

 ちょっと畳の上を歩くには私の良心が……


 そんなことを気にしていては、先に進めない。

 その先の襖も開け放つ。しかしまた畳の間に襖……あれ?これもしかしてヤバいかも?


 後ろを振り返ると、廊下があったはずの場所には閉じられた襖があるのみ。


「ちっ!無限ループか」


 廊下を進もうが、畳の間を進もうが結局同じだっただろう。私が飛ばされた時点で、空間が閉じられたところに放り込まれた可能性が高い。


 空間とかはルディの方が得意だと思うんだよね。

 しかし、この場にいないルディを頼っても仕方がない。


 こうゆう空間は完璧なようで完璧じゃない。どこかにほころびがあるはず。


「さて、どうやって脱出しようかな。でも時間も無いと思うし」


 私は両手を広げて、下に向ける。そして紫色の液体をボトボトと落とした。


「空間といっても作り出されたものだからね。金色の雲が消えたのなら、空間も消えるはず」


 足元に広がっていく紫の液体。紫色の煙を上げだす床。そして足元が崩れた。


「流石。毒の聖痕」


 そのまま落ちていくと今度は真っ白な空間にたどり着いてしまった。


 え?みんながいる空間に戻れないの?

 もしかして、金色の雲の中とか言わないよね?


「アンジュではないですか?」


 少し離れたところから、神父様の声が聞こえてきた。視線を向けると、いつも通りの姿の神父様が立っている。


「まさか……神父様の偽物!」


 人を油断させておいてグサリとかいうパターンか!


「誰が偽物ですか。そうですね三年前にコーベ・ギューが食べたいと言って、炎魔牛を狩りに火山地帯まで行こうとしていた者がいましたね?あのときは……」

「本物の神父様です!それ以上は言わなくていいです!」


 そんなこと思い出さなくていいよ。結局、引きずり戻されて、神父様の監禁部屋で説教されて論文を書かされたのだ。

 しかし、本物の神父様はなぜここにいるのだろう?


「神父様は初めからここに飛ばされたのですか?」

「いいえ。誰もいない廊下に立っていましたのでぶち壊したら、ここに落ちてきました」


 そうか。神父様も空間をぶち壊して来たんだね。

 ん?空間を侵食できるルディがここにいないということは……


「今まで力を見せてきた私と神父様が隔離されたってこと?」


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