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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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427 誇りなんて叩き落とすことだね

『あれでございます』

『そう!確か坂東の虎というものを調伏し、乱を鎮めた者でございます』


 坂東の虎って首だけの怨霊の『乱』ってなに!あれどう見ても怨霊の(たぐい)だけど『乱』を起こしたの?

 ……全然意味がわからない。


「いや、さっき怨霊を調伏できなかったと言っていなかった?」

『『それは道真という怨霊のことです』』


 ……それって、あの好戦的な武者よりも今から戦うヤツがヤバいっていう話だよね?

これどうにかなるのかなぁ?

 結局、首だけの武者も決定打に欠けて、常闇に落としたっていう感じだったし。


 いや、そもそも陰陽師でもないのだから、怨霊に対してどうこうできるものでもない。


『『名は確か浄蔵』』

「全然知らない!せめて空海ぐらいの有名人ならわかる」


 やっぱり蛇共は使えなかった。結局そこにいる僧兵が強いのか弱いのかさえわからなかった。ただ、天神がヤバいっていうのだけはわかったよ。


「アンジュ?」

「蛇共の情報は役に立たなかっただけ」

『『グハッ!!』』

「強いのか、弱いのかわからないけど、あれも私が倒すから」


 私は外廊下を挟んだ向こう側にいる者たちに向けて指を差した。こちらのことは認識しているのに、一向に攻撃を仕掛けてこないということは、こちらをナメているのか?


「アンジュ一人だけでは……」

「ルディ。天神は見ている。それを忘れてはならないよ」


 そう言って私は先手必勝と言わんばかりに、僧兵と龍に向かって手を掲げた。この者たちも重力の聖痕で押しつぶすためにだ。


 すると私が手を動かした瞬間に周りから異様な圧迫感に襲われ動けなくなる。呼吸もままならない状態と言っていい。


 何が起こった?


 近いのは殺気を放たれた威圧感だけど、そんなものは感じず、ただ空気に締め付けられるようだ。


 視界は動かせるので周りを見てみるけど、僧兵と龍以外居ないと思われる。


「アンジュ!」


 視線だけでルディには黙るように促す。後ろで剣を抜く音が聞こえる。

 駄目だ。まだ早い。


 どうやら私だけに何かをしているのだろう。僧兵が黒い数珠を持って何かを唱えている。


 そして僧兵の隣にいる人の姿をした龍が、鱗をまとった巨大な蛇になって向かってきた。

 そっちが巨大な蛇を使うなら、こっちもだそう。


 私は念話で月影に呼びかける。


『この前、約束した月影にやってもらう仕事ができたよ。あの龍を始末して』

『御意』


 私の呼びかけにより、黒い指輪からでてきたとは思えないほどの巨大な黒龍が出てきた。そして、緑の鱗をまとった龍に向かっていき、首元に噛みつく。


「……以前、見たときより巨大化していない?」


 確かに大きさを変えることができるのは知っていた。そして最近人の姿をとるようになった。

 私が知る蛇どもの胴回りは私の身体と大差ない太さだったはずだ。それでも大きいと思っていたのに、何か三倍ぐらい太くなっていない?


『すねておりましたから、張り切っているのでしょう』


 青嵐は気分で大きさが変えれると言わんばかりのことを言った。張り切るだけで巨大化されては堪ったものじゃない。


 そして、いつの間にか身体が動くようになったので、僧兵を重力の聖痕を使って、この場から排除する。

 そう排除。ここの地面は金色の雲だから、重力によって地面との間で押しつぶされるというよりも、金色の雲に潜り込むと言い換えた方が正しいだろう。


 建物の床と共に消え去る僧兵。

 私を動けないようにしたのは称賛にあたいするけど、こっちも龍を持っているんだよ。


 しかし私の動きを止めたのは何だったのだろう?よくわからないけど、調伏とか蛇どもが言っていたから、捕縛系だったと推測される。


 これの手は打っとかないと、天神にバレていることだろう。この術は使えると。


『主様!』


 私がどう対策を打とうかと考えていると月影が声をかけてきた。それもでかい龍のままで。


『このモノを新たな従者にいたしますか?』


 何?従者って?

 視線を巡らすと月影の五本ある指に緑色の蛇が捕まえられている。それもくたりと力なく項垂れており、ピクリとも動いていない。

 それ、死んでない?


「蛇は、もういらないし」


 私がそう言うと緑の蛇がビクッと揺れた。

 あ、生きていたんだ。


「それよりも、黒蛇デカすぎ。外廊下の幅と変わらないし、ものには限度ってあるよね?」


 すると月影はパカリと口を開けて固まった。


「建物の中にいるサイズじゃないよね?せめてそこの緑の蛇ぐらいの大きさが限度って馬鹿でもわかるよね?」


 私の胴周りと同じ太さに戻った月影は廊下にパタリと倒れ、さめざめと泣き出した。そして何故か緑の蛇もグズグズと言いだした。


 何故に敵だった緑の蛇まで泣き出すの!


『主様。我々は誇り高き龍族です』


 青嵐が指輪の中からボソリと言っていた。


「それは天日干しをして埃を叩き落とせは良いってことだよね。説明が下手過ぎるのを自覚した方が良い。誇りなんてポッキリと折ったほうが今後のためだと覚えていたほうが良いよ」

『『『グハッ!!』』』



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