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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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422 聖痕の異常

 空を上空に向かって降下している。

 おかしな表現だけど、上を見上げると空の色を映した金色の水の天蓋から雨が降り注いでいる。


 下を見ると金色の雲が浮かび、その中に時代劇でみたことあるような、いくつかの建物を繋いだ平屋の建物がある。

 時折、その金色の雲から雷が上に向かって放出される。


 なんとも奇妙な空間だ。


 だが、重力はその雲を起点とされているように私達はワイバーンに乗って空に向かって降下しているのだ。


「流石聖女様の聖花ですね。呪いの雨を空中で弾いています」

「神父様、その聖女様っていうの止めてって言っているよね。寒気がする」


 そう、結局呪いで死ぬか、聖花で死ぬかの選択なら、一時間の猶予がある聖花をみんなは選んだ。

 そして神父様、私を聖女と呼ばないでよね。


「アンジュ!寒いなら結界を強化するか?」

「ルディ、精神的な寒さだから大丈夫。そもそもこの毛皮のコート、えげつないぐらいに色々付与されているよね?」


 ルディから渡された黒い毛皮のコート。普通の甲冑より防御力がある。もちろん寒さを感じないほど温かい。多分権力というものを使って作ったものなのだろう。


「雷もそれていくって凄いわ」


 リザ姉の驚嘆の声が聞こえてきた。先程からとめどなく、雷が水の空に向かって雲から解き放たれている。しかし、その雷も途中でそれて、水に落ちていた。


 うん。物語の話でも思ったけどチートなんだよ聖花って。邪を寄せ付けない能力に長けている。

 しかし一時間という時間制限があるとは、使い勝手がいいのか悪いのか。


「それで何度も確認するけどファル様、この花を出せないの?」

「無理だ」

「気合い入れても出せないの?」

「しつこいぞ。出現させようとしたら、聖痕が焼けるような痛みを発するから無理だ」


 聖痕の力には制限がある。聖痕の大きさ、色の発色や色の違いにより、同じ属性でも個人によって能力値が全く違う。


 その制限を超えると聖痕が異常をきたすのだ。それは痛みであったり、熱であったり、かゆみを発する。


 あ、痒いっていうのは稀らしい。


 重力の起点を二つに分けようとして、私の重力の聖痕がある隠し場所に痒みが発したのだ。

 頭をバリバリ掻いているとシスター・マリアからシラミがいる疑いをかけられて大変だった。ぐしゃぐしゃの髪だったけど、頭は洗っていたんだからね。


 そのあと神父様に聖痕の異常にかゆみってあるのかって聞いてみたら、馬鹿な子を見る目を向けられて鼻で笑われたから居ないらしいことがわかった。


 多分、私がおかしな使い方をしたのだろう。


 それでファルが聖痕が痛いと言ったことは、その聖痕の許容量をオーバーしているってことだ。

 時々袖口から青い聖痕が見え隠れしているファルだけど、恐らく全身を覆うほどの聖痕だと思われる。

 それほどの聖痕を持っているファルでさえ無理ということは、やはり聖花というのは花ではなくて、花の形をした何かということになる。


「それじゃ、私がズバッとブスッとやっちゃっていいってことだよね!いいよね!ルディ!」


私は上を向いて、黒い甲冑に笑顔を向ける。これは私が動いて良いってことだ。


「そんなこと許されると思っているのか?」

「思っている。だってファル様が出せないっていうなら仕方がない。私がやるべきだね」


 なぜ、このような言い合いになっているかと言えば、相手が怨霊ということが問題になったからだ。

 言うなれば怨霊とどうやって戦うのかという話になったからだ。


 いや、神となった怨霊と戦えるのかという問題だった。チートな神父様は戦えると思える。それに私以外で浄化ができるのは神父様だけだ。


 酒吞と茨木は陽動はできるけど決定打は難しいと言ってきた。


「神殺しは、こぇからな」


 酒吞はこう言ってきたけど、夜叉とは嬉々として戦ってきたことは言わないでおこう。


 そうなると、浄化が使える私が前方に出て戦うことになる。だけどルディが駄目と言ってきたので、ファルが聖花を出せれば、無敵だよって言ったけど、ファルの緑の手では聖花は生み出せなかった。


 そして先程に言い合いになるわけだ。


「私だって戦いたい!」


 この閉じ込められた空間に入ってから、わくわく感が止まらない。空と海を逆転させる発想!私には思いつかなかった。

 蒔絵から出てきたような金色の雲の中にある屋敷にいる者に興味津々!


「剣も持ってきていないのに、戦わせるわけないだろう」


 ……私の剣はルディたちのように神殺しの剣じゃないから、あってもなくても変わらないと思う。


「剣だけが攻撃力じゃないよ……は?」


 まだ金色の雲から離れているからと油断していた。いや、そもそも気配がない。


 私の視線の先には、薙刀を振り降ろしている着物を纏った女性がいたのだった。


 赤い色の袴を身に着けていなかったら、視界に収めるタイミングが、もっと遅くて対処に遅れただろう。


 私が手をあげると、赤い色が視界を横切った。


「アマテラス!式神の相手は俺達に任せろ!」


 そう言いながら金色の雲の中に女性と共に落ちていく酒吞。


「式神?」

「アンジュ様。露払いはしておきますね」


 ワイバーンに乗ったままの茨木も金色の雲の中に突っ込んでいった。そういえば、呪術師とか言っていたよね。もしかして相手は天神だけではないってこと?



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